著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
<特別支援>操作しながら本物の力を身につける!算数学習の基礎力を育もう
発達支援教室ビリーブ代表加藤 博之
2014/1/28 掲載
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  • 特別支援教育
今回は加藤博之先生に、新刊 算数「操作して、解く力」の基礎力アップ編について伺いました。

加藤 博之かとう ひろゆき

筑波大学大学院教育研究科修了。埼玉県内の小学校・特別支援学校及び昭和音楽大学の専任教員を経て、現在、発達支援教室ビリーブ代表。文教大学非常勤講師。学校心理士。ガイダンスカウンセラー。認定音楽療法士。

―本書は『学びと育ちのサポートワーク』のシリーズの4巻『算数「操作して、解く力」の基礎力アップ編』として刊行されていますが、本書のねらいをどうぞ教えてください。

 算数の学習は、言うまでもなく積み重ねが大切です。また、ただまんべんなく取り組ませるのではなく、学習において、その子に応じたアクセントをつけていくことが大切です。…とは言え、いくら弱点を見出しても、その部分ばかり一生懸命頑張らせたとすれば、苦手な分、子どもは勉強自体を嫌いになってしまうことでしょう。本書では、つまずきやすい箇所を項目ごとに分け、できるだけ、どの子も興味を持ちやすいようなユニークな課題設定を行っています。そして、それらを机上で解決させるだけでなく、具体物や半具体物を使い、「操作して、解く」ことを目指しています。頭と身体で身につけた力は、本当の力につながってくると考えるからです。

―特別な支援を必要とする子どもとの学習で、算数分野では特にどんなことに気をつけながら指導にあたらなくてはいけないとお考えでしょうか。

 まずは、子どもが今行っていることを本当に理解しているかどうかを見極めることが大切です。繰り返し行い慣れてしまったのか、それともきちんと理解しているのか。そこを丁寧に見ていくのです。発達レベルをたどっていくことが、子どもを育てる第一条件になります。…と同時に、算数と日常生活を結びつけていくことも大切です。机上の計算はできなくても、お店でスムーズに買い物をできる子もいます。実際場面で金銭感覚を身につけているわけです。日常生活は算数学習の宝庫であり、教室で学んだことを復習する絶好の機会になります。その意味で、ややレベルを超えた内容を含めた豊富な経験を、実際場面に取りいれていくとよいでしょう。

―先生は本書で紹介くださっているワークを子どもたちの学習で実際に活用されていますが、学習場面での子どもの様子などエピソードがあれば教えていただけないでしょうか。

 子どもたちを見ていると、必ずしも発達レベルと課題が完全に一致しているわけではないことに気づきます。この子なら、当然解けると考え提供しても、なぜかつまずいてしまう…。あるいは、まだ難しいかなと躊躇しても、すらすらと解いてしまう…。つまり、子どもたちは、経験だとか、興味・関心だとかを含めた実力で、算数という課題に向かっているのです。その意味では、1つのことを教えるにも、子どもの興味や育ってきた環境、背景をよく理解し、その子に寄り添った形で、タイミングよく課題を提供してくことが大切になってくるのでしょう。

―本シリーズはまだまだ続きますか?今後の展開やイメージなども教えていただけたら幸いです。

 今のところ、国語では、文字に興味を持ち始めた初期段階から、小学校の課題でつまずいている段階まで、また算数も同様に、初期段階から小学校段階へと進んでいます(1〜4巻)。この後、対人関係や集団場面での振る舞い方などを学習するソーシャルスキル編(5巻)へと続いてきます。さらに、子どもたちがつまずきやすい課題をより多く提供させていただくために、国語と算数の内容をステップアップさせた形で続編の刊行を予定しています。

―最後に、学校現場で頑張る先生にメッセージをお願いします。

 支援を必要とする子どもたちも、皆も学びたいという気持ちを持っています。しかし、残念なことに、それをうまく発揮できない子がいます。私たちは、子どもたちのために、できるだけ多くの引き出し(学習課題)を持ちながら、それらを、子どもたちの興味を引き出す形で提供していく必要があります。ワークは使い方によって、プラスにもマイナスにもなります。ただ数をこなすだけではなく、この中から子どもたちの興味を探し出し、いろいろな形に発展させることを是非行っていただきたいのです。子どもは、楽しいということをモチベーションに、日々の学習に取り組んでいくのですから。

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