- 著者インタビュー
- 算数・数学
現在、子どもの学習意欲の向上が求められています。そのときに大切なことが、算数を学ぶ喜びです。算数を学んで楽しいという気持ちです。この気持ちをもつためには、算数という「知」に対して「愛」を感じることが必要です。それを別の言葉で表現すると、「学ぶ心」となります。ともすると、「知」の習得・活用にばかり目がいきがちですが、「知」の前に「心」を育てたいと考えて、本書の書名にしました。
前作では、教師の「愛」によって子どもが変容することを述べました。ところが、現実に教師の「愛」が足りない授業を多く見てきたので、どういう授業では「愛」が足りないのか、どうすれば子どもに「愛」を感じてもらえるのかについて、赤裸々に現状を報告するとともに、具体的に指導の示唆を述べました。前作の後半部分は、○付け法、意味付け復唱法、音声計算練習に特化して書きました(手厳しいことを述べましたが、幸いにもランキング第一位を1か月間キープすることができました)。
今回の本書は、前書を受けて、Chapter1では、算数への「愛」を感じてもらえるように算数の面白さについて述べています。また、Chapter2では、○付け法、意味付け復唱法だけに限らず最新の志水メソッドをより深くコンパクトに紹介して、子どもの「愛」と「心」を育てる授業づくりを12か条にまとめています。
算数の授業で、子どもが「わくわくするような」授業を創りたい。そのためには、子どもは算数のどこに「わくわく」を感じるかを本書では述べています。具体的に言えば、問題解決の「解」を発見することも算数の授業では「わくわく」することです。「わくわく」すると、さらにやりたいという気持ちが生じます。この他、数理を導き出せた時や実感した時なども「わくわく」します。
例えば、1円玉は1gであることは頭では理解しています。これを実際にデジタルはかりで「1」という数値が出た瞬間「わくわく」します。言い換えると、「わくわく」することによって、さらなる学ぶ楽しさや喜びが生まれるのです。
落合康子先生は、私をモデルとして実践されてきました。そのおかげで授業が変容したと言います。したがって、落合先生と面談しながら、常々私が心がけていることをピックアップし12か条にまとめ、落合先生の実践を例に紹介してもらいました。現場のみなさんには、志水メソッドの最新の部分を学び、実践に生かしてほしいと願っています。
子どもは算数を「わかりたい」「できるようになりたい」のです。「面倒くさい」「なんでこんなことするの」と言っていた子どもも「わかるようになる」「できるようになる」と、算数への抵抗感が薄れていきます。
今回の本では、「わかりたい」「できるようになりたい」という子どもの気持ちを基盤としつつ、さらに、算数への「愛」を感じ、「学ぶ心」を育てるための具体的な面白さや指導法を述べました。ぜひともこの本を読んで、「わくわく」するような授業を創ってほしいと願っています。