著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
第2言語習得の理論を活かして英語授業をデザインしよう!
北海道教育大学札幌校教授横山 吉樹
2013/7/4 掲載

横山 吉樹よこやま よしき

北海道教育大学札幌校教授(博士)
北海道小樽市出身。東京外国語大学卒業後、北海道稚内高等学校、北海道苫小牧南高等学校勤務を経て、渡米。アリゾナ大学修士課程を修了。北海道教育大学在職中に、北海道大学にて博士号を取得。第2言語習得に関わる研究を幅広く行っているが、最近は、タスク研究、授業分析、コードスイッチングの研究をしている。

―本書は、フォーカス・オン・フォームの入門書となっています。本書を読者の先生方にどのように活用してほしいと思いますか。

 ここ20年あまりで応用言語学は大変進歩しました。本書では、その成果を取り上げて、フォーカス・オン・フォームを解説しています。それによって、タスクとは本来どうあるべきなのかを知り、本書で掲載されている様々な活動やタスクを授業に取り入れていってもらいたい。また、教科書にある活動を自らデザインする術を身につけ、タスクに基づく授業法を展開していってほしいと思っています。

―新英語教科書にも多く掲載されているタスク活動ですが、その成功の秘訣はどんなことでしょう?

 教師によっては、「このタスクは、自分の生徒にはちょっと難しい」と思うと、それを飛ばしてしまう、または、文法ドリルのように扱ってしまうということもあるのではないかと思います。しかし、それでは、コミュニケーション能力をつけることにはなりません。タスクはそのまま(オーセンティック)にしておいて、事前活動を工夫することでタスクに取り組みやすくする、事後活動でフォーカス・オン・フォームの指導をすることが必要です。タスクを用いて授業をデザインするには、生徒のレベルに応じて、事前と事後の活動を工夫することが必要となります。

―本書には帯活動とタスクの両方のアイデアが紹介されていますが、それはなぜでしょうか? 授業で無理なく導入するコツも教えてください!

 最初からタスクを導入していくことは、困難なことも多いと思います。本書では、その解決策として、まずは帯活動から始めて、徐々にタスクを導入していくという方法を提案しています。帯活動は、ルーティーン化した言語活動ですので、その土俵の上で英語学習を積み上げていくことができます。それによって、レディネスが高まった生徒に、タスクを与え、実践的なコミュニケーション能力をつけていくというのが、本書が提唱する方法です。

―最後に全国で英語を教える先生方に一言メッセージをお願いいたします。

 ロングやエリスと言った応用言語学の大御所が提唱する「タスクを重視する教授法」に、英語教育は大きく舵を切っています。そして、英語教師は、タスクを用いて授業をデザインし、フォーカス・オン・フォームの指導をすることが求められています。そういう変化の中にあって、日々の実践をどうしたらいいのかと悩んでいる先生方も多いと思います。本書は、そんな先生方に是非読んでいただき、明日からの授業に自信をもって臨むための術を与えるものとなっています。

(構成:木山)
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