著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
楽しいアクティビティで子どもたちのコミュニケーション力を高めよう!
淑徳大学教育学部こども教育学科教授橋 敏
2013/5/23 掲載

橋 敏たかはし さとし

淑徳大学教育学部こども教育学科教授。
1955年秋田県湯沢市生まれ。1978年法政大学社会学部卒業、1992年埼玉大学大学院教育学研究科教科教育専攻修了。2009.4〜2013.3まで、所沢市立明峰小学校校長を務める。主な著書に、『社会科教育の基底』(共著・梓出版)、小1・小2教育技術2月号増刊「2013年版指導要録記入のポイントと文例」(共著・小学館)他。

―まずは、子どもたちのコミュニケーション力を育成するために、必要なこととはなんでしょうか。

 「考えを説明する」ための技能と、それを受け入れる「温かい人間関係づくり」だと考えています。
 今、多くの子どもたちは、「自分の考えを上手く説明できない」「自分の意見に自信がない」という悩みを抱えています。その解決のためには、子どもが「話すこと、聞くことの技能」を学びながら、それを試し、試行錯誤できる「温かい学級づくり」が必要なのです。したがって教師は、「話し方・聞き方の指導」と「人間関係づくりの指導」の両方を、意識的に同時に行っていく必要があると考えています。

―「話し方・聞き方の指導」と「人間関係づくりの指導」は、なぜ同時に行う必要があるのでしょうか。

 「話し方・聞き方」の指導は形骸化しやすいですし、「人間関係づくり」の指導は説得や言葉による「押しつけ」になりがちです。
 しかし、両方を同時に行えば、「話し方・聞き方」の指導の裏に「人間関係づくり」をそっと潜ませ、押しつけではない体験型の指導をすることが可能になります。どちらかをメインにすることにより、もう一方を無意識のうちに指導できるのです。

―本書のアクティビティは、よくある学年別ではなく、“レベル別”になっていますが、これはなぜでしょうか。

 「話し方・聞き方」や「人間関係づくり」は定着しにくく、学年が変わるたびに仕切り直しになります。そこで本書では、各学級の「レベル」に合わせたアクティビティを始められるよう考えました。どの学年でも、どの教科でも、多様な場面で活用して欲しいという願いもあります。
 1・2年生でも6年生並みの話し方・聞き方の力を持ち、同時に温かい人間関係をつくれるよう、レベルアップが図れると信じています。

―本書では、34のアクティビティが紹介されていますが、特に子どもたちが夢中になって取り組むオススメのアクティビティベスト3を教えてください。
  1. 「1分間サイコロ言葉ゲーム」をしよう……楽しく盛り上がること間違いなし!です。
  2. 「どこにあるか教えよう」……活動の内容がはっきりしているので、取り組みやすく楽しめます。
  3. 「アイデアをいっぱいしぼり出そう」……ちょっとした空いた時間に活動でき、日常に活用できます。

 3つともレベルAのアクティビティなので、まずは先生が楽しく盛り上げましょう。その後、レベルB・Cにチャレンジを。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 授業には、「話し方・聞き方」と「温かい人間関係」が必要です。それを同時に育てるためには、本書の「役立つアドバイス」での見取りが必要です。本書のアクティビティを活用することで、子どもたちの話し方・聞き方に変化が生まれ、友だちの言葉を受け止める姿勢が育っていけば、学級の人間関係は劇的に変わるはずです。学年末に「またこの学級で学びたい」という学級になることを願い、本書をお届けします。

(構成:林)
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