著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教師として生きていくならコレははずせない!
佛教大学准教授高見 仁志
2013/2/21 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術
 今回は高見仁志先生に、新刊『担任力をあげる学級づくり・授業づくりの超原則』について伺いました。

高見 仁志たかみ ひとし

佛教大学教育学部准教授
【学位】博士(学校教育学)。兵庫教育大学連合大学院博士課程修了
【所属学会】日本教師教育学会・日本教科教育学会・日本音楽教育学会他
【略歴】学生時代からライブ活動を続ける。出演ライブハウス 大阪・京都・神戸を中心に多数。大学卒業後、兵庫県の公立小学校教諭として18年間勤務。現在は、佛教大学を本務校とし、鳴門教育大学大学院、兵庫教育大学、神戸女子大学でも教壇に立つ。無藤隆氏(文科省:中央教育審議会委員)らのチームで、保幼小連携の研究を展開している。
すぐ使える指導法、教師時代の経験談等、心に残る手法で多くの講演を行っている。
【著書、編著書】『これ1冊で子どももノリノリ 音楽授業のプロになれるアイデアブック』『「表現」がみるみる広がる!保育ソング90』(何れも明治図書)他
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―まもなく新学期シーズン、本書では学級づくりの原則が25項目紹介されていますが、始業式の初日に必ず心がけたいことをズバリ教えてください。

 当たり前のことですが、始業式の日に大切なことは、クラス全員の名前を呼ぶことです! しかも、最終的には名簿を見ないで、子どもの顔を見て名前を呼ぶことです。
 学級開きの日、私は全員の名前をその時間内に覚えきるというパフォーマンスをよくしました。1列目から順に名前を呼んでいき、最後の列まで終えたら、今度は、名簿を見ないで顔だけ見て呼んでいきます。1時間かけて何とか最後の子までまちがわず呼んだ時には、子どもたちが拍手をしてくれることが多かったです。
 その後、「A君も大事。Bさんも大事。Cさんも大事……」と言いながら一人ずつの頭をなでます。初日でクラスの一員である意識が高まります。

―小学校は全教科を担当しなければなりません。本書では授業づくりの原則が23項目紹介されていますが、苦手な教科を指導する際に常に心がけるとよいことを教えてください。

 苦手な教科では、どうしても教師があせって指導しがちになります。あせると指示が多くなります。つまり、苦手な教科で教師は指示は出すが、その後の学習者の活動に対して何の反応もしない「やらせっぱなしの指導」に陥る危険性が高い!という傾向が見られます。
 このような状態に陥らないためには、児童の行為に対し称賛・承認等を通して値うちづけをする「評価(指導的評価活動)」を必ずしましょう。そして、子どもが伸びた時には、本気で心の底から喜んでほめます。すると、子どもの中にある「学習をやらされている」という気持ちが消え、積極的に取り組むようになります。
 「教師が指示→子どもが反応→教師が評価」このサイクルを築く! このような指導を積み重ねるうちに、苦手な教科が得意な教科に変わることもあるのです。

―本書はレベルアップの原則が8項目紹介されていますが、先生が小学校教師時代、レベルアップのきっかけとなったようなエピソードがあったら教えてください。

 私には苦い経験があります。6年生を担任したある年の4月のことでした。クラスでは弱い立場のA君が、珍しく授業で手をあげたので、私はすぐに指名してA君は発言を始めました。クラスの子どもたちは、かすかな表情で「いやなやつやぁ……」といった態度をとっていたのですが、私はひたすらA君だけを見つめていて、周りの子どものかすかな嫌悪的態度に気づきませんでした。すると授業が終わってから、正義感の強いBさんが「先生! 分からへんの? A君のこと」と先ほどの授業中のいやな雰囲気を再現して言いました。「先生! ダメやなぁ。あれは注意するところやろ!」。
 私は本当に反省し、その後は無我夢中で子どもたちと向き合い、最後には感動の卒業式を迎えることができましたが、そのきっかけをつくってくれたのは、Bさんのあの一言でした。この体験を通して私は次のことを痛感したのです。「教育的瞬間」(教育のチャンス)を確実に拾いあげる教師は信頼される!

―先生は、全国で講演や講習もご担当されていますね。そこでは、参加された先生方からどんな質問がよく出るでしょうか。その答えとともにご紹介頂けますか。

 全国の多くの学校を回ってよく質問されることは、「どのようにして子どもに○○をさせればよいのか」といった、指導方法に関することです。授業づくりから学級づくりまで内容は多岐にわたりますが、とにかく「子どもにどのようにさせるか」といったことをたずねられます。しかし、「どのようにして、私自身は成長すればよいのか」「教師として歩んできた私の道を、今後どのように発展させていくのがよいか」といった、教師としての成長に関してたずねられることは、研修会などの場では少ないです。
 しかしながら、信頼感をともなったお酒の席などでは、むしろこの「教師としての成長」に関する話題が多く出ることもあます。つまり、「教師としての成長」に関しては、多くの先生がそれを意識し、他の人の事例などもまじえながらじっくり話を聞いてみたいと思っていらっしゃることも事実なのです。
 そこで、本書では、研修会のような場面でよく質問される「子どもにどう指導するか」といった方法論はもちろんのこと、それに併せてプライベートでは関心の高い「教師の成長」に関しても多くのヒントを提供しました。この二つの視点で書かれているところが、今までの著書にはあまり見られなかった本書の大きな特徴だと思います。

―最後に、4月から新学期を迎える先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 「兆」(きざし)という漢字があります。
 この字に「てへん」をつけると、「挑」む となります。
 「しんにょう」をつけると、「逃」げる となります。
 「兆」(きざし)に手をさしのべると「挑む」となり、「兆」(きざし)から離れていくと「逃げる」となるのでしょう。
 ところで、「兆」(きざし)とは何でしょうか?
 私は「人の成長のチャンス」だと考えます。
 ただしやっかいなことに、この「兆」(きざし)は、「外側は困難の殻でおおわれ、その内側にチャンスが潜んでいる」ので、ちょっと見ただけでは、チャンスだということが分からない人が多いのです。ですから、一見すると困難のかたまりに思える「兆」(きざし)に恐怖を感じ、手をさしのべることをせず、離れていってしまうのです。実は、内側にものすごく大きなチャンスが待っているかもしれないのに……。
 このチャンスをつかむには、「逃」げずに「挑」むしかないのです。ただし「挑み方」がとても重要です。
 本書は、そのような「教師の挑み方」を紹介したものです。
 先生方のレベルアップに本書をご活用いただければ望外の喜びです。

(構成:木村)
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