著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
すべての初任者が、保護者と良好な関係を築くために
山口県公立小学校教諭藤本 浩行
2012/11/23 掲載
 今回は藤本浩行先生に、新刊『はじめての学級担任2 信頼を勝ち取る「保護者対応」』について伺いました。

藤本 浩行ふじもと ひろゆき

山口県公立小学校教諭。兵庫教育大学大学院学校教育研究科(教育方法コース)修了。
著書に、『新任教師 はじめの一歩』(さくら社)などがある。

―若い先生方にとって、「自分よりも年上で人生経験もある保護者とうまくやっていけるか」は非常に大きな関心事かと思います。若い先生方が保護者対応をする上で、一番気をつけなければならないことはなんでしょうか。

 私自身の経験上、新卒間もない先生方は、多くの場合に保護者の方が年長者であることや子育て経験がないなどを理由として、自信をもって対応できないことが多いようです。
 しかし、子どもたちの学校生活の中の様子を一番知っているのは、担任の教師自身なのです。「学習面、生活面を含めて、子どもの成長を願っている」という信念をもち、謙虚に自信をもって指導に当たってほしいと思います。そのためには、しっかりと一人ひとりの子どもと向き合って指導することが大切です。

―本書では、保護者対応に関する様々な事例が掲載されていますが、子どもが成長するうえで、保護者の信頼を勝ち取ることの果たす意義について教えてください。

 学校教育は、保護者や地域の理解とご協力がなければ、よい方向に向かわないことは紛れもない事実です。我が子の成長を実感された保護者は、学校教育に対してより協力的になります。保護者の信頼を得られると、教室の一つ一つの教育実践が2倍にも3倍にも効果を発揮します。それによって、一人ひとりの子どもが「楽しくて、よくわかる」という授業になるという正のスパイラルができていきます。

―本書では、直接的にも間接的にも保護者と関わる様々な機会で教師の印象をアップさせるコツなどが随所に散りばめられていますが、その中でも若い先生におすすめのものがあれば教えてください。

 私は、「教師は2つの地域に住んでいる」と思っています。一つは自分自身が生活している地域。もう一つは勤務校の地域です。「地域の中の学校」ですので、校区内をしっかりと歩いて、保護者や地域の方にまずは自分自身を知ってもらうことを大事にしたいものです。
 そのためには、家庭訪問は可能な範囲で歩きや自転車を利用をすること、また地域の行事にはできるだけ参加するようにすることを心がけたいものです。地域の情報や思いや願いをしっかりと受け止めて、生活指導や授業づくりに生かしていきましょう。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 保護者対応は、教育現場でしか学ぶことができないものです。学校の中には、人生経験豊かで、子育て経験のある先輩の先生方が多数いらっしゃいます。平素から、そのような先生方からいろいろな知恵をいただくことができます。職員集団という学校のチーム力を大切にしたいものです。
 保護者対応では、「スキル」より「マインド」の方が大事であると思っています。拙著は、今までの多くの先生方から学んできたものを、個人情報に配慮しつつ書かせていただきました。若い先生方はもちろん、これから若い先生を育てていく経験年数を積まれた先生方にもぜひ読んでほしいと思います。そして、さらに具体的な事例を広げたり深めたりしてくだされば幸いです。

(構成:杉浦)
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