著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
もう“関数が苦手”とは言わせない!
香川大学教育学部風間 喜美江
2012/8/29 掲載
 今回は東京都中学校数学教育研究会 研究部 関数委員会を代表して、風間喜美江先生に、新刊『中学校数学科 関数指導を極める』について伺いました。

東京都中学校数学教育研究会 研究部 関数委員会とうきょうとちゅうがっこうすうがくきょういくけんきゅうかい けんきゅうぶ かんすういいんかい

 「知らず知らずのうちに、関数的な見方や考え方を使って、問題を解決している」
 そんな子どもたちを育てたいと、日夜研究を重ねている。
 研究の基本的な流れは、指導計画の作成、1時間1時間の授業の指導案の開発、研究授業の実施、研究協議を通した指導案の改訂、そして改訂指導案による研究授業の実施で、いろいろな方々に使っていただける指導案を作成している。
 指導案の開発では、各委員の専門性や長所を遺憾なく発揮し、「こんな授業ができたらいいのに」と理想を語る者、それを指導案にうまくまとめる者など,適材適所で活動している。また、研究授業後の協議では,だれも遠慮することなく、侃々諤々の議論を行い、さらによい指導を求めて、指導案の改訂を行っている。

―ズバリ、関数に苦手意識をもつ生徒が多いことの一番の原因は何なのでしょうか。

 例えば、数と式の学習では、方程式を解けば解が求まる…というように、何をすればよいかが明確です。一方、関数の学習では、表をつくる、式をつくる、グラフをかく…といった個々の学習から、関係を調べる、つかむといった目標をつかめない生徒が多く、それらが関数に対する苦手意識の大きな原因になっています。
 また、国立教育研究所「基礎学力調査」(1993.1)では、関数の問題の生徒の正答率に対し、教師が予想した正答率の方が10%以上高かったという調査結果があるなど、教師が生徒の関数の理解の程度を把握しきれていないことも課題と言えます。

―関数に苦手意識をもっている生徒が少なくないという実態を踏まえ、指導に当たる先生が気を付けるべきことは何でしょうか。

 関数の学習では、具体的な数値を伴った事象が生徒の目の前にあり、事象の中に次々と表れてくる数値に目を向け、それらの数値の中に潜んでいる数(量)の関係を認識することになります。それら無数の数値が文字となり、無数に立ち現れる数の関係が1つの文字の式として集約されます。変数概念とともに関数概念の発達や深まりがなされるところを、指導上意識してほしいと思います。
 また、中学校の関数指導は式が中心であるとお考えの先生もいらっしゃいますが、いきなり式をつくるという指導ではなく、文字の背景には必ず数があることを意識させ、まず「○○が変わると何が変わりますか?」といったように、変量や変化に着目させことも心がけてほしいと思います。

―表・グラフ・式を一体のものとして扱うことのよさを生徒に理解させるために、授業ではどのような工夫をすればよいでしょうか。

 例えば、グラフをかく指導では、式から表をつくり、グラフをかきます。それでおしまいではなく、グラフの特徴をグラフの形とともに、表のx、yの値や変化、式の形に戻って見直す指導がほしいと思います。また、関数の利用の時間を設け、表をつくるよさ、グラフをかくよさ、式をつくるよさが見いだせるような問題を用意し、問題解決を通してそれぞれのよさを感得できるような指導を大切にしてほしいと思います。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 本書は、現場教師による長年の関数指導のグループ研究によってでき上がった本です。常に生徒に目を向けて日ごろの授業を見つめ、研究会に課題を持ち寄って指導課題を見いだし、研究授業を通して実証的に研究してきた内容をまとめました。この本を利用して、ぜひ関数の学習を楽しいと感じる生徒を増やしていただきたいと思います。

(構成:矢口)
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