著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
中学生の表現力を引き出す仕掛けを作曲家が伝授します!
国立音楽大学准教授今村 央子ほか
2012/7/30 掲載
 今回は今村央子先生と酒井美恵子先生に、新刊『表現力アップの仕掛けが満載!「創作」成功の授業プラン』について伺いました。

今村 央子いまむら ひさこ

1966年千葉県に生まれる。東京藝術大学作曲科、同大学院ソルフェージュ科修了。1992年伊藤国際教育交流財団の奨学金を得て渡仏。パリ国立高等音楽院にて和声科、対位法科、フーガと形式科を審査員全員一致の一等賞、ピアノ伴奏科を審査員全員一致の二等賞を得て卒業。1997年に帰国後は、自作初演を含むピアノ・リサイタルやレクチャーコンサート等の開催、作編曲、雑誌連載、新作初演等、作曲家兼ピアニストとして幅広く活動を展開している。現在国立音楽大学准教授、東京藝術大学講師、日本ソルフェージュ研究協議会理事。
著書として、『楽しくつくるアイデア満載!「音楽づくり」成功の授業プラン』(共著、明治図書、2012)などがある。

酒井 美恵子さかい みえこ

国立音楽大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。東京都の公立中学校の音楽科教諭及び指導主事を経て現在、国立音楽大学准教授。日本音楽教育学会、日本学校音楽教育実践学会などに所属。
論文・著作等として「J-POPを合奏教材とした一事例」(音楽教育実践ジャーナル通巻9号、日本音楽教育学会、2007)、『中学校音楽科新学習指導要領ガイドブック』(共著、教育芸術社、2008)、『中学校新学習指導要領の展開 音楽科』(共著、明治図書、2009)、『初任者研修実務必携』(編著者、第一法規、2009)、『中学音楽が魅力的に変わる!授業プランの新モデル24 第1学年編』『同 新モデル30 第2・3学年編』(何れも編著、明治図書、2010)、『動いてノッて子どもも熱中!リトミックでつくる楽しい音楽授業』『楽しくつくるアイデア満載!「音楽づくり」成功の授業プラン』(何れも共著、明治図書、2012)などがある。

―「創作」は、音楽専科の先生方にとっても苦手意識をもたれていることが多いようです。まずはどのようなことを意識して授業にのぞめばよいでしょうか。

 苦手意識とともに、時間がかかるのではないかとの懸念をおもちの先生が多いように思います。本書は生徒が取り組みやすく、時間をかけないで作品をつくる工夫をしています。安心してご活用ください。
 なお、旋律をつくる学習では、生徒が音を確かめるため楽器を用いることが大切です。各学校で生徒が取り組みやすい楽器を活用してのぞまれるとよいでしょう。

―本シリーズは、「エキスパート発」ということがウリですね。中学生を音楽の授業に引き込むために、エキスパートだからこそできた授業づくりの工夫はどのようなことでしょうか。

 作曲家は伝えたいことがあるから作曲をします。中学生にも創作をする時は、「伝えたいことがあるから作曲する」ようにいろいろと工夫をしました。たとえば、ギターを弾きながらコードの中の音をつかって歌をつくることや、音階や旋法のもつ味わいを生かして歌をつくるなどです。他にも1時間扱いで音楽をつくってグループで楽しく取り組む工夫などを多数紹介しています。

―付属DVDでは、本書で紹介している作品例の模範演奏が全て収録されています。授業での活用方法を教えて下さい。

 題材の導入段階でお使いいただくのが効果的だと思います。ワークシートや言葉による説明だけでは完成した創作作品のイメージがつかみにくいですが、映像を見ることで、一気にイメージできますし、「自分だったらこうしよう」という生徒の発想にもつながります。また、模範演奏後のコメントでは、作曲家の視点からみた作品の音楽的な特徴を述べていますので、こちらも創作のヒントになります。

―巻末には、「Happy Birthday to You」と「オーラリー」の2曲を、モーツァルト風やショパン風、ロック風やラテン風など、様々な曲調でアレンジした楽譜がそのまま掲載されているのが魅力ですね。授業では、どのような場面で活用できるでしょうか。

 どちらも、音楽を形づくっている要素を変化させることで音楽の味わいが変わるという鑑賞の学習の教材としてお使いいただけます。また「Happy Birthday to You」は、お誕生月の生徒へ月はじめに先生がひとつ選んで弾いてくださると、生徒は音楽のプレゼントをもらうことができ、うれしいのではないかと思いアレンジ曲としました。「オーラリー」は歌唱教材として、あるいはリコーダー教材としてもお使いいただけます。映像と楽譜を十分ご活用ください。

―最後に、「創作」の授業に取り組もうという先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 先生方も生徒の皆さんも楽しく取り組めるよう書籍も映像も工夫しました。気持ちを楽にして、「まずこの中からひとつやってみよう」と一歩を踏み出してみてください。

(構成:木村)
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