著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
社会科の授業は、「習得」と「活用」を組み込んだ「探究」である
兵庫教育大学大学院教授米田 豊
2011/6/3 掲載
 今回は米田豊先生に、新刊『「習得・活用・探究」の社会科授業&評価問題プラン 小学校編』について伺いました。

米田 豊こめだ ゆたか

昭和30年生まれ。小・中学校教諭、奈良県教育委員会、橿原市教育委員会指導主事を経て、現在、兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授。教育実践高度化専攻(教職大学院)専攻長。著書に、『「言語力」をつける社会科授業モデル 中学校編』『中学校社会科「新教材」授業設計プラン―新旧比較で授業はこう変わる―』『「言語力」をつける社会科授業モデル 小学校編』などがある。

―今回の書籍のテーマでもある「習得・活用・探究」が「言語力」と並んで学校教育のキーワードとしてよく使われるようになってきましたが、社会科の授業づくりに「習得・活用・探究」を組み込むポイントは、ずばりどういったものでしょうか。

 小学校の社会科や理科では、仮説(予想)−検証学習が一般的に行われています。子どもたちの創った仮説(予想)に対して、社会科では資料を使って、理科では実験を行って仮説を検証し、課題を解決します。その学習過程全体を「探究」と考えています。「習得」と「活用」を「力」としないで、探究過程の一場面としてとらえることが大切です。

―本書の中で先生は「探究」を「習得」「活用」の上位概念ととらえ、社会科の授業づくりの中核は「探究」である、と提案されています。その点につき、わかりやすく教えて下さい。

 先に示したように、学習課題−仮説(予想)−検証−まとめ(課題解決)の全課程を「探究T」としています。「習得」と「活用」は、それぞれの過程に位置づきます。例えば、仮説(予想)を立てる段階では、これまでの学習で既に「習得」している知識や技能が「活用」されて、仮説ができあがります。検証の段階も同様です。課題解決の段階では、新たな知識が「習得」されます。
 「探究U」は、「探究T」で「習得」知識や技能を「活用」した新たな「探究」を行います。くわしくは本書をお読みください。

―本書では授業モデルの他に、各単元ごとに具体的な評価問題例とその解答・解説がいれられています。その活用のヒントを教えて下さい。

 本書の実践編は、実際の授業を指導案と評価問題で構成しました。指導と評価の一体化をより具体的な事例で示すために、授業に基づいた評価問題とその解説を掲載しました。
 それぞれの事例を活用して、先生方の授業づくりと評価問題づくりの参考にしてください。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 「探究T・探究Uの授業構成理論」は、「言語力」の育成ともリンクしています。前著(『「言語力」をつける社会科授業モデル 小学校編』)も参考にしていただき、魅力ある社会科の授業づくりをしていただければと思います。

(構成:及川)
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