- 著者インタビュー
- 特別支援教育
発達障害のある子どもたちが持つ困難は多様です。そして、同じ困難でも要因が異なる場合があります。この表面的な困難に加えて、認知特性や行動特性等の困難の要因に合わせたサポートがあれば、子どもたちが理解しやすくなります。
発達障害のある子どもたちも、「僕もできるようになりたい」「私もほめられたい」という気持ちを持っています。子どもたちは、個々のニーズや特性に応じた指導を求めているのです。
平成18〜19年度の2年間、文部科学省からの受託研究として、子どもたちが示す困難を「国語」「算数」「運動」など7領域に分け、困難の要因について「認知」「感覚」「運動」等に区分し、その要因に合わせた教材・教具を収集・整理し、一部には使用した実証データも付して、440種類の教材・教具をデータベース化しました。
このデータベースは、発達障害のある児童・生徒の持つ困難の要因・認知特性に合わせて教材・教具を体系的に整理してあり、指導法を検討する際のリソースとしても活用できます。
このデータベースは下記のURLで公開しています。また、教材・教具の募集も行っていますので、ぜひ一度ご覧ください。
(http://www.jpald.net/research/)
本書は、通常の学級や通級指導教室で教員の方に実践場面で活かしていただけるようにという思いで企画・編集しました。
本書では、一線で活躍されている経験豊かな先生方から、指導上のコツやヒント、秘伝のノウハウを伝授いただきました。また、実践事例の項目で、支援のポイントをイラストも使い分かりやすく解説しています。本書でご紹介している学習上の困難は41項目ですが、発達障害のある子どもが示す困難のうち出会う頻度が高いものを厳選して掲載してあります。
本書に示された教材・教具や指導法は万能薬ではありませんが、示されたエッセンスをヒントに、さらにちょっとした改良や工夫を加えながら、実践場面でご活用いただければと思っております。
第1巻は、「小学校 国語・算数」を対象としましたが、第2巻は、「運動、行動、ソーシャルスキル」、第3巻は、「中学校編」を企画しています。
発達障害のある子どもたちの多くは通常の学級に在籍していますが、十分な支援が受けられないまま過ごしている場合が多いのです。3巻のシリーズで、発達障害のある子どもたちが抱える学習上や行動上の代表的な困難とそれに対するサポートツールや指導法の例をコンパクトにご提供することにより、多くの現場の教員の方々に活用され、それがより多くの発達障害のある子どもたちの成長に繋がればという思いを込めて企画・編集させていただきます。
発達障害のある子どもたちの多くは通常の学級に在籍していますので、全ての先生が特別支援教育に関与していくことが求められる時代になってきました。そうであれば、教員の方々を支援するようなシステムやツールを整備し、教員の方々が無理をしなくても、一定レベルの教育的支援を提供できるようにしなくてはいけません。
その一つとして、全国LD親の会で取り組んだのが、「教材・教具データベース」であり、本書のきっかけとなりました。
ノウハウの共有やチームワークの活性化等により、特別支援教育の理念である、子どもたち一人ひとりのニーズに応じた教育が実現するように、取り組んでいただければと思っております。