著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもと一緒に英語を探検してみよう!
鹿児島純心女子大学国際人間学部長・教授影浦 攻
2007/2/9 掲載
 今回は、影浦攻先生に小学校英語活動に役立つ新刊『これでできる小学校英語必修時代の授業1〜3』について伺いました。

影浦 攻かげうら おさむ

鹿児島純心女子大学国際人間学部長・教授。宮崎大学名誉教授。
県立及び国立の中・高校教諭、鹿児島県教育庁指導主事、文科省の教科調査官、宮崎大学教授を経て、現職。
【編著書】『新しい時代の小学校英語指導の原則』ほか多数。

―小学校英語活動は、必修化の動きも話題になっていますが、このシリーズを立ち上げたきっかけはどんなことからでしょうか?

 教師は、英語活動について何もない状況から、非常に苦しい思いをしながらも、子どもが英語活動を楽しみに待っている姿や英語を使うことを喜ぶ笑顔に後押しされて、また、自分でも様々な活動を創造する過程を楽しみながら、持ち前の創造性を生かし、エネルギーを注ぎ込み、自分なりに授業を楽しくする努力を積み重ねてきました。この努力の過程で開発された創造性に富んだ様々なクイズやゲームやごっこ遊びなどを、全国の教師が自由に簡単に利用できるようにすることによって、教師のアイディアを更に膨らませるとともに、最初から作っていく手間とエネルギーを減らすことができればいいという思いからこのシリーズを編集することにしました。

―本シリーズでは、数々の活動アイデアが紹介されていますが「クイズ」や「ごっこ遊び」はどのような点が英語の指導に有効だとお考えになりますか?

 これまでの英語教育は、どちらかというと言語材料を暗記してどれだけたくさんの知識があるかを評価してきた面があります。したがって英語の勉強は、ある意味では苦痛であったとも言えます。英語活動では、「英語嫌いを作らない」という考え方の下で、楽しく英語に親しめるような指導法の工夫が求められます。子どもが楽しくゲームやクイズやごっこ遊びを通して、英語の音声や語句や表現になじみ、それらを遊びの中で使うようにすることが大切です。その意味において、クイズやゲームやごっこ遊びは、子どもを引き付ける最大の教材となります。

―「クイズ」や「ごっこ遊び」のアイデア紹介をするにあたって、項目立てなど工夫された点がございましたらご紹介ください。

 本シリーズは、クイズやごっこ遊びについての、その有効性やそれを生かすポイント等の基本的な考え方を具体的に説明することによって、それぞれの言語材料を変えたり、学年を変えたりする際のヒントにしました。更に、それぞれについて、モデル展開案を提示し、それぞれの活動を体験できるようにしました。また、それぞれについて、同じ遊びの中で、中学年用、高学年用としての展開を変えることによって、言語材料や展開の方法を変える際のヒントを示しました。

―ニュースなどで話題になっていますが、小学校英語は必修化になるのでしょうか? またそうなった場合、学校現場はどのように変わると思われますか?

 現在中央教育審議会において、様々な視点から熱い議論が行われているところです。平成18年3月に外国語専門部会の報告として、小学校における英語活動について、小学校高学年で週1回程度の英語活動を行う方向であることが出されています。また、英語活動を必修化するための条件として、教員の研修や共通教材の作成やICTを活用した生きた英語の提供の方法等の予算化が行われています。
 また、必修になっても、楽しい英語活動の基本的な考え方は変わらないし、また、変えてはならないと思います。

―最後に、英語活動に携わる全国の先生方に向けて一言お願いします。

 英語活動は、まず先生方が英語と英語の世界を子どもと一緒になって楽しもうとする姿勢が大切です。英語を「教え込もう」とする昔の英語教育の考え方ではなく、子どもと一緒に英語を探検してみようという姿勢こそが、子どもを英語嫌いにさせない要素です。楽しいゲームやクイズやごっこ遊びを通して英語を聞いたり使ったりしているうちにいつの間にか英語に親しんでくるような方法を心がけるといいでしょう。もっと肩の力を抜いて英語を楽しみましょう。

(構成:木山)

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