著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
コミュニケーションの輪は音楽遊びから!
筑波大附属小教諭熊木 眞見子
2006/9/8 掲載
 音楽を通して子ども同士がますますかかわりを深めることができる―そんなアイデア満載の新刊『子どものコミュニケーション力を高める! 音楽遊びベスト40』について著者の熊木先生にお話を伺いました。

熊木 眞見子くまき まみこ

武蔵野音楽大卒業、東京教育大附属小(現 筑波大附属小)講師、大和学園女子短大(現 聖セシリア女子短大)講師などを経て、1995年より筑波大附属小教諭

―まず、熊木先生はどんなきっかけで授業に音楽遊びを取り入れるようになったのですか?

 新任の頃、ある男の子に「音楽なんて勉強して何の役に立つんだよ? 高校の入試にだってでないし、大人になって、つき合いでカラオケさえ歌えれば十分じゃないか!」と言われたことがあります。大ショックでした。しばらく悩んだ結果、「彼は私の授業が楽しくないのだろう。音楽の授業が好きで待ち遠しいと感じているのなら、こんなことは言わないはず。ならば、誰もが楽しいと感じる授業をしよう」と思いました。これがきっかけです。

―本書で紹介された音楽遊びでは、子どもたちのコミュニケーション力をより高めるためにどのような工夫がなされていますか?

 ひとりではなく、どれも複数の子どもで遊ぶようになっています。他者の動きから目を離さないようにしてタイミングを合わせたり、流れをこわさずに次の人へとリレーをしたり、全体の雰囲気を感じとりながら自分の音を鳴らしたりするなど、ルールを守りながら他者とうまくかかわって活動するようなものばかりです。かかわり方がうまくいけばいくほど、遊びがより楽しくなります。そうして遊んでいるうちに、お互いが認め合えるようになったり、友達と気持ちが通じ合うようになったりするのではないかと思います。

―短時間で終わる遊びも多く紹介されていますが、先生は主にどのような時にこの音楽遊びを取り入れていますか?

 短時間で終わるものは、授業の最初にパッと1回遊んで「さぁ、今日も楽しく音楽の授業をやろう!」という雰囲気にするという使い方が多いですね。また、何かの題材の導入として遊ぶこともあります。例えば、耳をすましてかすかな音を聴き取るという遊びは、「身の回りの音をききとろう」という題材の導入に使えます。「リズム・カードで」という遊びは「その1」から「その4」まであるのですが、それを全部通してひとつの題材として扱っています。この題材、中学年には絶対お勧めです。ぜひ取り組んでみてください。

―実際に音楽遊びをやってみて子どもたちの反応はいかがでしょう?

 本書には子どもたちに評判のよかったものを選んで書いていますので、本書にある遊びは、どれもみんな喜んで遊んでいます。短時間で終わらせるつもりだったのに、子どもたちが「もっとやりたい、もっと、もっと!」というのでなかなか終わりにすることができず、困ってしまったこともありました。そこで最近は、「鬼が3人交替したら今日は終わり。この次にまたやろうね」と先に宣言することにしています。その方がいつまでも飽きずに遊べるようです。

―最後に、効果的に音楽遊びを取り入れる秘訣などがありましたら、ぜひご紹介ください!

 先生も子どもたちの輪の中に入って、まずは楽しむことです。一緒にやってみなければ、それぞれの活動の意味や楽しさは感じとれません。先生の楽しそうな顔、これが成功の一番の秘訣です。それから、例えば音やリズムをリレーして遊ぶ場合、あわてて先に打ってしまったり乗り遅れたりする子どもが出てくるわけですが、それを「失敗」ととらえてはいけません。そういうことがあるからこそ楽しいのです。やり直しをさせるなんて、もってのほかです。「遊び」なのですから。

(構成:木山)

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