やまかん流☆「ここ」で活かせるカウンセリングスキル
手軽にできる心理技法、ここぞという時に,このポイントで! 初任者からベテランまで活かせるミニエクササイズの紹介
やまかん流☆カウンセリングスキル(12・最終回)
カウンセリングの指導・援助に通じる基礎基本の一つ「ワンネス・ウィネス・アイネス」
仙台市立沖野東小学校教諭八巻 寛治
2013/5/31 掲載
  • カウンセリングスキル
  • 学級経営
  • コメント(4)

 6月。梅雨の時期を迎えて教室内で過ごすことが多くなり、些細なトラブルやけんかなどが起きやすくなる時期です。多くの教師は、何かトラブルが起きると、当事者を呼び、お互いの言い分を聞いた上で社会通念上正しいと思われる行為や言動を確認した上で、先に手を出したり、きっかけをつくったりした方に対して謝罪を促す場合が多いです。中には双方の言い分が合わないために、けんか両成敗として、多少強引に謝らせたり仲直りさせたりすることもあります。
 しかし最近は、無理に理解させようとして当事者が不満を抱く場合や、中には保護者が担任に不満を訴える複雑なケースも多く見受けられます。
 トラブルの原因を追及するよりも、次へつながる言動を導き出すようにした方が、少しきっかけを作ってもらうだけで、自分から行動を修正しようという内省心が有効に働く心理状態になると考えられます。
 しかし、このようなやりとりをするためには、ある程度の時間や教師の技能が必要になります。
 そこで、カウンセリングのスキルを活用して、手軽に取り組める指導例を紹介します。

ワンネス・ウィネス・アイネス

1 ねらい【高学年の学級活動】

 休み時間にありがちなトラブル場面の中から「けんか」の場面を例に、伝え方の順序1つで相手が納得することに気づき、不満を持たずに解消する自分づくりの一助にする。

2 活動T

問題の意識化

  • 「最近気になること」のアンケートから、「けんか」の場面を取り上げ、けんかをした友だちに、すっきり解消するためのアドバイスの仕方があることに気づく。

※気持ちの伝え方に「ワンネス・ウィネス・アイネス」の3種類があることを知る。
 「ワンネス」とは、相手の気持ちを分かろうと努力すること、「ウィネス」は相手に役立つことを一緒にしたり、考えたりすること、「アイネス」は自分の気持ちと考えを打ち出す(主張的に表明する)ことに触れる。

3 活動U 「決定に基づき努力をする」

問題の解決や対処の仕方

ワンネスの言い方を練習する。
批判的な見方をやめ、「今日はがまんが出来ないほど腹が立っていたんだね。」のように、相手の気持ちに寄り添って推測したり、確認したりする言い方で練習する。
ウィネスの言い方を練習する。
「これからどうしたい」「私も一緒にA君に謝ろうか」のように、疑問形で尋ねて、本人の気持ちを引き出したり、選択肢を示して本人の決断を促したりする言い方で練習する。
アイネスの言い方を練習する。
「がまん強い君がなぐったと聞いてぼくはびっくりしたよ」「たたくのはだめだよ」のように、自分の気持ちを自己開示をしたり、自分の思いを自己主張として伝える言い方で練習する。

指導のポイント「気持ちを伝える順序」

  • 言い方は「ワンネス→ウィネス→アイネス」の順序で行うことを知らせる。
  • いろいろなパターンで言い方を練習する。

4 振り返り

  • ワンネスだけだと、話は聞いてくれるけど頼りない友だち、ウィネスだけだと、自分に都合の良いときだけ関わってもらえる友だち、アイネスだけだと、気持ちを分かってくれない友だちに感じてしまう。
  • いつもは「アイネス→ウィネス」の順で言ってしまっていることが多いので、「だめじゃないか」と最初に厳しく指摘されるのに、「どうしたらいい?」のように、最後は促される程度に感じて、しっかりアドバイスしてくれない甘い友だち、注意ばかりするのに一緒に考えてくれない冷たい友だちと思われる時もあるかも…。

実践への意欲付け

  • 振り返り(自己決定したこと)を元に、「自分もよく相手も良い解決の方法」を確認し、自分がそのような場面にあったら、どのように対応・対処するかをロールプレイして確かめる。


 子ども同士のけんかは、他者との関係において、自分もよく相手もよい関係を醸成し、適度な距離感を学ぶことにもなります。また、大人になったとき困らないような社会のルールや道徳性を身につけることもあります。
 カウンセリングの技法を使って、トラブル解決がうまくいくケースの場合、当事者同士の言い分をしっかり聞いた上で、「けんかしてどんな気持ちだったの?」「相手の子はどう思っているかな」「これからどうしたい?」のように、本人の気づきや後悔を促すように尋ねるやり方が効果的です。トラブルの原因を追及するよりも、次へつながる言動を導き出すようにした方が、本人に対して、少しきっかけを作ってもらうだけで、自分から行動を修正しよう、同じまちがいはしないようにしようという心理状態になるからであると考えられます。
 カウンセリングを活用するポイントのキーワードは、「そのとき・その場で・短い言葉で」「感情的にならず、感情の言葉に表情をつけていう」「身につくまで何度でも繰り返す」「時間・場所・場面を考えて、いざとなったら一次終了・強制終了」などです。

八巻 寛治やまき かんじ

宮城県仙台市立沖野東小学校教諭。仙台市嘱託社会教育主事指導者養成部副部長、仙台市小学校研究会特別活動部会幹事、宮城県教育カウンセラー協会副代表。上級教育カウンセラー、学級経営スーパーバイザー(Q−U等)。
【著書】『小学校若手教師のエンカウンター入門実践テキスト』、やまかん流カウンセリング技法活用シリーズ1巻『学級保護者会・懇談会の演出スキル』、2巻『社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30』『新教育課程対応 エンカウンターで学級活動12ヶ月』シリーズ(すべて明治図書刊)ほか多数。ブログ「やまかん日記」も好評。

(構成:及川)
コメントの一覧
4件あります。
    • 1
    • ゆかじ@nigata
    • 2013/11/4 9:24:50
    新潟のゆかじと言います。赤坂先生のファンで、この前の富山で初めて先生の講義を受けて勉強になりました。本も読ませてもらいます。
    • 2
    • 初心者マーク友紀
    • 2013/11/8 8:54:03
    昨日の夜の保育士研修会ではお世話になりました。エンカウンターは知りませんでしたが,分りやすく説明して頂き,すごくよく分りました。ぜひ懇談会でやってみます。先生の語り口にしっかりファンになってしまいました。今日から浜松や名古屋での研修だとお聞きしました。気をつけていらっして下さい。ぜひまた先生の講義を受けたいです。ありがとうございました。
    • 3
    • 八巻先生ファン
    • 2013/11/10 19:26:40
    遠い浜松においでいただきありがとうございました。本当に勉強になりました。またぜひ浜松に来てください。楽しみにしています。
    • 4
    • たま@熊本
    • 2013/12/26 5:53:01
     いつも先生のご著書ではお世話になっています。熊本のたまと申します。先生が熊本に来られるのを多くのファンが待ち望んでいます。また新刊本も楽しみに待っています。ぜひおいで下さい。これからもいろいろ勉強させていただきます。よろしくお願いします。
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