- はじめに
- Chapter 1 次期学習指導要領では何が変わるのか?
- 1 「主体的・対話的で深い学び」の実装
- 1 教育実践改革の方向性
- 2 「資質・能力の育成」を軸にした授業づくり
- 3 資質・能力の複数の柱を一体的に育成する
- 4 「本時主義」から脱却する授業づくりの必要性
- 5 「生活主義」を超えた「生きる力」を育成する
- 2 働き方改革と教育実践改革の両立
- 1 「余白を生む教育課程」の創出
- 2 特別支援学校における「自立活動」の裁量的な運用
- 3 「学校設定科目」を設定して学校の特色を鮮明にする
- 4 知的障害児の「学びに向かう力」を発揮できる学校設定科目
- 5 カリキュラム・マネジメントの重要性
- 3 「多様性の包摂」と特別支援教育
- 1 「多様性」をどのように捉えるか?
- 2 共通の活動を創り出す「特別活動」の充実
- 3 共生社会の実現に向けた納得解を形成する「学級活動」の展開
- 4 民主的な社会の創り手を育成する
- 4 通常の学級における特別支援教育の提供
- 1 通常の学級における合理的配慮の提供
- 2 通級による指導の見直し―教科の指導の一部見直し
- 3 デジタル学習基盤を活用した多様な学び方の保障
- 5 特別支援学校・特別支援学級における指導の充実
- 1 「困難さの要因」をふまえて自立活動の内容を選定する
- 2 自立活動と教科指導の関係性の明確化
- 3 交流及び共同学習の充実
- Chapter 2 「学びに向かう力,人間性等」の再整理
- 1 態度の育成ではなく,好奇心の醸成
- 1 「主体的・対話的で深い学び」の実装に必要な実践課題
- 2 「まず,考えてみること,行動すること」ができる子どもを育てる
- 3 「主体的な調整」を連続しながら学びを深める
- 4 「興味・関心」を「好奇心」へと発展させる
- 2 「豊かな人生」「よりよい社会」に向かっていく学びの展開
- 1 学びに向かう先にどのような成果があるか?
- 2 「人生」「社会」と結び付く他者との対話・協働の授業づくり
- 3 「学びに向かう力,人間性等」の育成とその評価
- Chapter 3 「質の高い,深い学び」を実現する授業づくり
- 1 深い学びの実現に必要な「統合的な理解」と「総合的な発揮」
- 1 「見方・考え方」を働かせて「中核的な概念」を理解する
- 2 「見方・考え方」と「中核的な概念」の共通点/相違点
- 3 「本物の生活を実際的に学ぶ」という理論の限界性
- 4 「深い学び」は「統合的な理解」と「総合的な発揮」の実現
- 5 自己と社会を結ぶ「深い学び」を実現する
- 2 各教科の目標・内容の整理の仕方
- 1 発達段階をふまえた学習内容の整理
- 2 「本時主義」から「本質主義」へのシフト
- 3 「教科の本質」をふまえた教科学習の展開
- 4 「教科の本質」をふまえた教材と授業展開の工夫
- 5 知的障害児教育における「段階」をふまえた教科学習
- 6 「規準」と「基準」を区別して教科学習の評価を行う
- 3 デジタル学習基盤を活用した「深い学び」の実現
- 1 教具的な発想から抜け出す
- 2 学びを広げ,深めるICTの活用方法
- 3 デジタル学習基盤を活用した教科学習の具体例
- 4 「デジタル学習指導案」を活用した学びの体系化
- Chapter 4 特別支援教育における情報活用能力の育成
- 1 「情報」に関する授業づくりの必要性
- 1 GIGAスクール構想のさらなる発展
- 2 21世紀の「情報活用能力」とは?
- 3 教科学習のように「情報」を学ぶ
- 2 「情報」に関する授業の内容と方法
- 1 新たなデジタル技術への対応の課題
- 2 フェイクニュースや著作権について学ぶ情報の学習
- 3 美術とは異なる「情報デザイン」を学ぶ
- 3 「情報」に関する学習内容の体系と学習指導案
- 1 情報活用能力の体系表例を参考にした目標設定
- 2 「情報」の授業も3観点で指導・評価する
- 3 情報活用能力を育成するための「主体的・対話的で深い学び」
- Chapter 5 特別支援教育の探究的な学びの推進
- 1 課題解決能力を育てる探究的な学び
- 1 探究的な学びの重要性
- 2 課題解決能力の育成につながる「探究的な学び」
- 3 「各教科等を合わせた指導」の再評価ではない
- 4 「探究的な学び」への実践のシフトチェンジが必要
- 2 聾学校のプロジェクト学習の取り組み
- 1 児童がともに伝え合い学び合う授業を目指して〜主体的・対話的で深い学びを考える〜
- 2 「おばけやしきをしよう」の取り組み
- 3 「『ごんぎつね』の読み聞かせをしよう」の取り組み
- 4 聾学校におけるプロジェクト学習の成果と課題
- 3 知的障害児の探究的な学びと教師の指導性
- 1 従来の作業学習から脱却する
- 2 タブレットを使った「役割」の確認と課題解決の学習
- 3 考える力を育むための「研修」の時間の創設
- 4 「ミニ探究ユニット」という考え方を活用した取り組み
- Column 重度障害児の「探究的な学び」をどうするか?
- 4 新しい作業学習のかたち―オフィス・サービス班の取り組み
- 1 キャリアの時間として作業学習を再編する
- 2 試行錯誤を保障する実践の展開
- 3 「振り返り」を通して問題を解決する力を育てる
- 4 キャリア形成につながる探究的な学び
- 執筆者一覧
はじめに
本書は2026年9月に出された中央教育審議会教育課程企画特別部会「審議まとめ(案)」(以下,中教審「審議まとめ」)に示された次期学習指導要領の改訂のポイントを取り上げ,これまでの特別支援教育の授業づくりの課題と今後の実践改革の方向性を解説したものです。中教審「審議まとめ」では,引き続き「主体的・対話的で深い学び」を実現するべく,次期学習指導要領の実施期間においてそれを「実装」できるようにすることを求めました。特に,各教科の「深い学び」を実現できるように「知識及び技能の統合的理解」や「思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮」を目指して,新たな授業を創出することが必要であると指摘されています。
これらの教育改革の方向性は現行の学習指導要領でも求められてきたことではありますが,新しい用語を使って説明されると,どこまで今の実践を継承し,どのくらい新しい授業へとリニューアルする必要があるのかといった点を整理する必要が生じます。特に,中教審「審議まとめ」では,次期学習指導要領の改訂のポイントを多岐にわたって述べていますので,全体を俯瞰しつつ,個々のテーマについて解説することが必要です。
特別支援教育の教育課程改革という点から考えると,現在,知的障害児の教育は「教科中心の教育課程」へとシフトしていますが,こうした変化を次期学習指導要領においてどのように発展させていくことが求められているのかという点についても詳しく見ていくことが必要でしょう。そのため,本書は,中教審「審議まとめ」の前年に出された中教審「論点整理」の内容を多く引用し,具体的な実践課題とその解決方法を解説しています。また,(中教審)特別支援教育部会で議論されてきたことだけでなく,小・中学校等の教育課程改革のなかで議論されてきた内容についても多く言及し,解説しました。
一方で,通常の学校における特別支援教育の充実や合理的配慮の提供といったインクルーシブ教育に関連する項目については,本書では,Chapter 1で少しふれる程度にとどめて,詳しく論じていません。これは,インクルーシブ教育をめぐる諸問題を軽視しているというのではなく,逆に,この問題はそれだけで1冊の本を使って解説すべき論点があると考え,別の機会に譲ろうと考えたからです。
もともと,次期学習指導要領の方向性を議論する中央教育審議会は,10年に一度改訂される教育課程の内容について提言するものです。こうした点をふまえて,本書では,特別支援学校の教育課程の改訂に関することに焦点を当てて解説しました。もちろん,次期学習指導要領は中教審「審議まとめ」をふまえて改訂されるとはいえ,その内容がそのまま反映されるわけではありません。そのため,今後示される次期学習指導要領の内容は本書と異なる点があるかもしれません。
しかし,中教審「審議まとめ」の提言をふまえて学習指導要領は改訂されるものですので,その背景にある考え方や今後の教育改革の方向性は本書の内容と大きく変わるものではありません。本書が次期学習指導要領をふまえた新しい教育実践を創出するための一助となれば幸いです。
2026年9月 筆者を代表して /新井 英靖
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明治図書

















