- はじめに
- 本書の構成と使い方
- 第1部 本書を活用するにあたって
- 第2部 ソーシャルスキル実践ワーク
- 1 なかまをかこう 1〜8のワーク
- 解答&解説
- 2 こんなときどうする 9〜18のワーク
- 解答&解説
- 3 ヒントを考えよう 19〜29のワーク
- 解答&解説
- 4 ストーリーを考えよう 30〜37のワーク
- 解答&解説
- 5 インタビューをしよう 38〜45のワーク
- 解答&解説
- 6 会話を成立させよう 46〜55のワーク
- 解答&解説
- 7 この絵は何かな 56〜67のワーク
- 解答&解説
- 8 どうしてそんな顔 68〜77のワーク
- 解答&解説
- 9 こんなことできたらいいな 78〜85のワーク
- 解答&解説
はじめに
発達に遅れや偏りのある子どもが,スムーズに学習に取り組むためには,身につけておくべき基礎(土台)があります。土台があって初めて,いろいろな学習に乗ることができるのです。
私は発達促進に必要な力を,以下の8つの柱としてまとめてみました。
@身体を意識する力,A目と身体を使う力,B耳と身体を使う力,C記憶する力
D模倣する力,Eイメージする力,F概念形成の力,G協調性・社会性の力
(『発達の遅れと育ちサポートプログラム』加藤博之著,2009年,明治図書)
これらは,@からほぼ順に進んでいくという流れはあるものの,実際には同時進行的に育てていくものが多く,それぞれが絡み合って@からGへと進んでいきます。特に,就学を考えた場合,Aの視覚―運動系の力,手指の操作性を中心に,記憶,模倣,イメージ,そして概念形成へと高次化させていく必要があるでしょう。これらの活動によって身についた力が,教科学習(国語,算数)やコミュニケーション,社会性の発達へと結びついていくわけです。
就学後においては,いわゆる小学校1〜2年生レベルの課題を表面的に繰り返すだけでは不十分です。それでは,本来時間をかけて学ぶべき「鍵」となる学習内容を,一通りの経験で済ませ,結局何も身につかずに通り過ぎてしまうということになりかねません。だからこそ,私は一般的なカリキュラムにプラスして,重点的に行うべき項目を,できる限り早期に行うことを提案したいのです。
本シリーズでは,発達に遅れやつまずきのある子どもたちを対象に,国語・算数・ソーシャルスキルのワークを通じて,学力や社会性を育てていくことを目標としています。一見して,よくある課題も見られますが,本書ではそれらをただ順番に行っていくのではなく,発達的な視点に基づいて,まず最初に何をやるべきか,その後つまずいたときにどこに戻るべきか,という内容を積極的に提案させていただいています。量をこなすよりも,限られた課題をうまく組み合わせ,発達的につなげていくことこそが,子どもを育てる大きな力となるわけです。
最後に,本シリーズの執筆にあたり,発達支援教室ビリーブの発足当初からワークの作成を共にし,常に貴重なアドバイスをしていただいているパートナーの藤江美香さん(ビリーブ副代表),スタッフの茂木秀昭さんに,心よりお礼申し上げます。
著者 /加藤 博之
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- 明治図書