- 特集 応用・般化力をつけて生活力UP!
- 特集について
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- 提言・応用・般化力をつける
- 長期的な視点に立った機能的な目標の選択を!
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- 実践事例
- 日常生活
- 《食事》「伝える」方法を身につけて「食べたい物」が買えるようになったA君の取り組み
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- 《公共交通機関の利用》聴覚過敏を持った児童に対する校外学習での支援について
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- 《朝の会》自発性を引き出し生活の幅を広げる最小限の支援
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- 遊び
- 《個別遊び》広い場所でも自分のいる場所が分かって安心〜スーパーシート〜
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- 《集団遊び》ゲームを通してコミュニケーションの基礎をUP!
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- 生活単元
- 《食事作り》「やってみたい!」という意欲を基盤にした食事作り
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- 《買い物》地域社会で生活するための「買い物」を目指して
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- 《調理》自分でつくってみよう
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- 作業
- 《木工作業》日常場面から作業学習へ般化した事例
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- 《窯業》指示待ち傾向の自閉症児者が自分から作業に取り組むために
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- ことば・かず
- 《かずの指導》お金を使って繰り上がりに挑戦
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- 《ことばの指導》話し言葉があっても正確に理解したり,伝えたりすることが難しい児童との取り組み
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- 《ことば・かずの指導》スケジュールが分かり,使えるための取り組み
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- 余暇活動
- 《地域での指導》部活動から余暇活動へ
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- 子どもの作品
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- 構造化のアイデア (第8回)
- 歯磨きの自立をめざした取り組みの紹介
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- 自閉症の子どもに効果的な教材・教具
- 音・音楽をとおしたやりとりを育てるために有効な楽器・装置
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- 自閉症の子どもに効果的な授業の工夫
- 生徒たちの主体的な表現を引き出す支援の工夫
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- 〜音楽科の授業を通して〜
- 学校と家庭の効果的な連携の実際
- 保育所・幼稚園・家庭にとって有益な社会資源・サービスの活用
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- こんな余暇の利用の仕方がある
- 地域の中で人とつながる身体表現(演劇やダンス)
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- こんなパソコンの利用の仕方がある
- レインマンツールを利用した朝の時間
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- こうすれば不適切行動は改善できる
- エコラリアが改善したA児の事例
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- 実践研究
- 修学旅行大作戦〜長崎で龍踊り体験をしよう〜
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- 何でも教育相談室
- 自閉症の子どもの生活習慣の形成
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- わが校の自閉症教育
- 学んできたことを大きなベクトルに
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- 本の紹介
- 「自閉症児の困り感に寄り添う支援」
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- コミュニケーション能力を高める支援・対応 (第1回)
- コミュニケーションのための言語の高次化
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- 子どもを生かすアセスメントと授業改善 (第1回)
- 実態把握と教材づくり
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- 指導者に求められる実践力とは (第1回)
- 子どもを褒める力と認めて評価する仕組み
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- 企業で働く人たち (第9回)
- 週2日,1日2時間
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- 自閉症の子どもを育てて (第9回)
- 生き生きとした姿をいつまでも
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- 就労を実現する自閉症教育 (第9回)
- 「対症療法的対応」と「原因療法的対応」
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- 編集後記
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特集について
応用・般化力をつけて生活力UP!
自閉症の子どもたちは,できることはたくさんあります。さまざまなスキルも持ち合わせています。しかし,それがどれだけ応用,般化し,生活の中で機能する力となっているかとなると,多くの課題が指摘されています。
現場の先生方の声を拾い上げてみますと,「計算はできるのに,買い物ができない」,「ことばはたくさん持っているのに会話ができない」,「指示をすれば何でもできるのに,自分からはしようとしない」,「手先が大変器用で丁寧な作業ができるのに,マイペースで他人を意識できない」,「ルーティン化されていることは一生懸命できるのに,そうでないことはじっとして動かない」,「几帳面さはすばらしいが,いつもでもこだわり,時間を意識して行動できない」,「洗濯しながら掃除をするなど,同時に複数の課題をこなすのが難しい」「誰にも負けないすばらしいスキルを持っているのに,実生活ではほとんど通用しない」,など,たくさんあります。一生懸命に,できることを増やしたり,スキルを身につけても,それが実生活や実社会で機能しないとするならば,いったい何のための指導であったか,ということになります。
自閉症の子どもの特徴は,できることと分かることが違うところです。できても分かっていないことが多いために応用や般化につながらず,実生活や実社会ではなかなか通用しないのです。
では,できることよりも分かる力を身につけるためには,どうすればよいのでしょうか。できることと分かることのギャップをなくすためには,どうすればよいのでしょうか。できることを応用・般化力につなげるためには,どうすればよいのでしょうか。
今回の特集は,こうした課題に焦点を当て,どのような学習を設定し,展開していけば,自閉症の子どもが,応用・般化力をつけて生活力をアップできるのか,を考えてみることにしました。
生活力と言っても,内容は多岐にわたり,幅も広いですので,学校教育で重要な学習として取り上げられている6つの指導領域(日常生活,遊び,生活単元,作業学習,ことば・かず,余暇活動)に焦点を当て,生活力をアップさせるためには,どういう学習内容を,どういう手順で,どういうことに配慮し,指導,支援を行わなければならないのか,をまとめてみました。
これからの教育は,自立,社会参加,就労の実現が目標となります。そのためには,彼らに,いかに応用・般化力をつけて生活力をアップさせるかがポイントとなります。今回の特集を通して,教育目標を実現するための多くのヒントがえられれば,と願っております。
(上岡 一世)
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- 明治図書