- 特集 発達障害の子どもたちの成長のキーポイントはどこか
- 特集について
- /
- 提言
- 子どもの「人生」の視点を
- /
- 事例
- 通級指導教室教員から
- 特別に見る目と特別に見ない目
- /
- 在籍校と連携し,子どもたちを支える中学校通級指導教室の個別指導
- /
- 「人を信じる心」を育てたい
- /
- 民間特別支援教育機関から
- 特定非営利活動法人「発達共助連」の実践
- /
- 安心して活動できる場が自信を育む
- /
- 認められて,自分のペースで成長していく子どもたち
- /
- 保護者から
- 「はじめの一歩」を踏み出すとき
- /
- 「就労」を一つの目標にして
- /
- 【特別寄稿】アメリカにおける思春期以降の特別支援教育 (第2回)
- /
- Essay
- 発達障害とは生活障害である
- /
- 子どものページ
- 「さかな」
- /
- 親の会ニュース (第30回)
- 神奈川LD等発達障害児・者親の会「にじの会」/奈良LD親の会「パンジー」
- /
- 医療との連携 (第30回)
- こども病院だより(2)
- /
- 〜高機能広汎性発達障害への医療的支援〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第29回)
- 特別支援学級の子どもの指導はインクルージョンの考えで
- /
- 情報最前線/行政や海外の動向は (第30回)
- 情緒障害特別支援学級の名称変更について
- /
- 学校カウンセラーから見た発達障害の子どもたち (第2回)
- 中学校期に表れる主な二次的な問題
- /
- 医療から見た発達障害の子どもたち (第2回)
- 心身症外来の子どもたち
- /
- 〜子どもと親のターニングポイント〜
- わたしの教え方・自慢の教材 (第2回)
- 小学校高学年の指導に活用できる教材
- /
- 新しいアセスメントの動き (第2回)
- LDI-R―LD判断のための調査票―
- /
- 一度は手にしたい本
- 『よその子―見放された子どもたちの物語―』(トリイ・ヘイデン著)/『私はもう逃げない―自閉症の弟から教えられたこと―』(島田律子著)
- /
- 編集後記
- /
特集について
発達障害の子どもたちの成長のキーポイントはどこか
明治学院大学教授/緒方 明子
1992年3月に報告された「通級による指導に関する充実方策について(審議のまとめ)」を受けて学習障害等への教育的対応について検討されるようになった。以来,17年が過ぎた。1990年代に小学校で通級指導等の特別な支援を受けた子どもたちが高校生や大学生,社会人になっている。
この時点で,子どもたちの成長を追い,学齢期の特別支援の内容や方法を振り返ることが必要ではないだろうか。有効だと思われる支援,不足だった支援の内容,支援体制として今後必要と考えられるものなどを明らかにすることは意義のあることだと思う。そのためにも,小学校低学年あるいは中学年から関わった子どもたちの成長の様子を知ることが必要である。学校は1・2年で担任が変わるので,縦断的に子どもの成長を知る機会が実際にはあまり多くはない。通級指導の担当者や民間の教育機関,相談機関で長期的に一人の子どもと関わることができた方々を中心に執筆をお願いした。様々な要因が影響しあうので,明確な結論が出るはずもない。しかし,小学校で特別支援を受けた子どもたちが,どのように成長していったのかを知ることは,支援の在り方を考えるためには有用な情報となるであろう。
成長に伴って生じる課題がいくつかある。一つは就学先を決定する際に生じる問題である。保護者の意向,本人の希望,進路相談担当者の意見,受け入れ先の考えなど,必ずしも一致するわけではない。このような不一致に対してどのように問題解決を図っていったのか,という問題解決の過程を知りたい関係者は多いはずである。
学校と家庭,そして関係機関の連携がどのように図られ,それがどのように作用したのか,という情報も重要である。多様な職種の関係者が支援に関わるようになっている。それぞれの立場から,子どもにとってベストだと思われる支援の内容・方法を考えていくわけであるが,それぞれの意見の調整がどのように図られると望ましい支援につながるのか,という情報も必要である。
年齢段階に応じて,ポイントとなる支援の内容は異なっている。子どもたちの成長の過程を踏まえて,適切な時に適切な支援を実行していきたい。
-
- 明治図書