- 特集 通常学級の担任ができるアセスメント
- 特集について
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- 提言
- 教室に始まり、教室に実るアセスメント
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- 事例
- 飛び出しや喧嘩が多いA君のアセスメントと指導
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- それぞれの場で行えるアセスメントとは?
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- 通常の学級で生かすアセスメントを
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- 学級全体で特別支援教育を
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- 「困った子」ではなく「困っている子」に気づくために
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- 行動観察シートとストラテジーシートを用いた気になる行動へのアセスメント
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- 行動分析を利用したアセスメントと支援の実際
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- ニーズに応じた読み書きの支援
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- 事例についての解説とコメント
- アセスメントは子どもの実態把握であり,授業設計の基本資料
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- Essay
- 口承文化再考
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- 子どものページ
- 「デッサン」
- 親の会ニュース (第17回)
- 日本発達障害ネットワーク
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- 医療との連携 (第17回)
- 情報共有を通した教育と医療の連携@
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- 〜いま求められている連携の基礎と連携の3タイプ〜
- 実践の小箱/臨床学校現場から (第16回)
- 学校訪問を通して
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- 情報最前線/行政や海外の動向は (第17回)
- LD・ADHD・高機能自閉症の支援体制整備の状況
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- 〜平成15、16、17年度の3年間の変容〜
- 最近のアメリカLD事情 (第1回)
- LD判定の議論をめぐって登場した新しいモデル
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- 教室で使えるやさしい行動分析 (第1回)
- 行動理解の基本はABC分析から
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- 巡回相談員から先生へ (第1回)
- 今,伝えたいこと
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- 発達障害の子がいる学級経営のコツ (第1回)
- 個々の特性に応じた配慮が自然に受け入れられる学級づくり
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- 〜「みんな同じ」から「みんな違う」へ〜
- 一度は手にしたい本
- 『教室でできる特別支援教育のアイデア172』/『サポートブックの作り方・使い方』
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- 編集後記
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特集について
通常学級の担任ができるアセスメント
東京学芸大学教授/上野一彦
軽度の発達障害のある児童生徒への特別支援教育は,多くの子どもたちを巻き込みながら全国の小中学校を舞台として展開されつつある。たしかに校内委員会の設置,特別支援教育コーディネーターの指名なども平成19年度を目指して急速な進展をみせている。
特別支援教育は特殊教育からの単なる看板の架け替えではないし,LDやADHDなどの軽度発達障害と呼ばれる対象を,これまでの既存の障害にただ追加していけばよいというものでもない。昨今の学級事情をみれば,地域によっては,軽度の知的障害のある子どもたちが固定制の特殊学級を避け,かといって通級の指導教室の対象にもなりえず,エアポケットに入ってしまっている例も少なからず目にする。
新しい特別支援教育が目指すものは,個々の子どもがもつ支援ニーズに早く気づいて,そのニーズに敏感に応え,どのように子どもたちに提供できるかということである。それは今日,学校で起きている多くの問題を共通の土俵で解決する校内体制づくりにもつながっていく。つまり,学級のなかで起こるさまざまな問題を学級の中だけに閉じこめず,学年全体の課題に,そして学校全体の課題として共有する意識改革が求められる。これら児童生徒への無理解や不適切な対応が,いじめ・不登校・授業崩壊などの潜在要因となることも少なくないし,学力の低下とも深く関係している。
こうした動向からいえば,最初の気づきの場は通常の学級であり,まさに通常学級の担任教師こそが主役なのである。専門家チームによるさまざまな心理検査などの専門的アセスメントの前に,通常学級の担任が日常的に行えるアセスメントとはなんだろうか。
本号はこの問題に焦点を当て,通常学級の担任ができる気づきのための,そして指導のためのアセスメントを特集した。
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