算数教科書教え方教室 2013年11月号
“日常生活”の算数的教材化―面白ヒント

V173

«前号へ

次号へ»

算数教科書教え方教室 2013年11月号“日常生活”の算数的教材化―面白ヒント

紙版価格: 964円(税込)

送料無料

電子版価格: 867円(税込)

Off: ¥97-

ポイント還元20%

ファイル形式

PDF
ジャンル:
算数・数学
刊行:
2013年10月8日
対象:
小学校
仕様:
B5判 94頁
状態:
絶版
出荷:
ダウンロード
定期購読

目次

もくじの詳細表示

特集 “日常生活”の算数的教材化―面白ヒント
〈巻頭特集論文〉世界地図上に配置した世界のわり算
木村 重夫
「家の中」の算数的教材化―面白ヒント
身の回りの物の数え方〜助数詞〜
本間 尚子
「街の中」の算数的教材化―面白ヒント
身近な「モノ」や「経験」をもとにした問題をつくる
許 鍾萬
「学校の中」の算数的教材化―面白ヒント
学校での生活場面をPISA型教材開発
久野 歩
「乗り物」の算数的教材化―面白ヒント
乗り物を使って,速さに関する問題を出す
河野 健一
「生き物」の算数的教材化―面白ヒント
図鑑のデータを使って,解きたくなる問題をつくろう
千葉 雄二
「スポーツ」の算数的教材化―面白ヒント
イメージと学習意欲を高めることができるスポーツに関する問題
山本 東矢
「身体」の算数的教材化―面白ヒント
かけっこ・短距離走を知的に授業する 短距離走の記録と、ストライド(1歩で進める距離)の関係を、平均を使って調べる
木村 正章
ミニ特集 写真で紹介!子ども視点で10倍活用の板書術
子どもの学力向上のための板書の有効活用
河田 孝文
板書をシステムとして機能させる
石坂 陽
子どもたちは集中して課題に取り組む。教師はゆとりが生まれる
上木 信弘
すべての子にやさしい「子どもの板書システム」
小峯 学
黒板を「子どもの活躍の場」として活用する
川田 啓輔
黒板に答えを書くことが成功体験につながった
市川 心吾
表紙のイラスト (第32回)
問題:半径10cmの円の円周を6等分する点を結んでできた図の青色の部分の面積を求めましょう。
木村 重夫
グラビア
「学習システム」「わかる」「できる」学びいっぱいの算数セミナー
梅沢 貴史
〜向山型算数セミナーIN東京 2013.8.3〜
イラスト競演!向山型算数ハイライトシーン (第8回)
うっとりするほどきれいなノートが書けた! テストも100点!
細羽 朋恵
びっくりドッキリ!当世教育事情 (第8回)
“くり上がりの1は下に書く”ということは既に常識である。それすらも勉強していない教師の“我流”が子どもを不幸にしている
澤田 好男
巻頭論文 算数授業へのこだわり
算数の授業で教科書を使い,授業中すべての問題を教えることが学力の保障となる
向山 洋一
教科書3割増に対応する学年別教科書の教え方 (第19回)
1年「くり上がりのあるたし算(7〜9+○)」
吉川 たえ
1年「くり上がりのあるたし算(2〜6+○)」
小路 健太郎
2年「かけ算(乗法の意味)」
白井 朱美
2年「かけ算(5,2,3,4の段の九九)」
長田 修一
3年「小数のしくみ」
恩田 真希
3年「小数のたし算とひき算」
栗原 龍太
4年「計算のきまり」
阿部 梢
4年「面積」
柴ア 昌紀
5年「分数のたし算とひき算(約分)」
原田 朋哉
5年「分数のたし算とひき算(異分母分数のたし算とひき算)」
塩沢 博之
6年「比例」
平野 太一
6年「反比例」
東條 正興
初心者のための基本技レベルアップ講座 (第8回)
「表現力をつける」がテーマの研究授業にコメントする
戸村 隆之
「論文審査」突破力をつける (第8回)
論文提出に向けて,向山氏の言葉を視写する
川原 奈津子
算数教科書教材に挑戦/論文審査 (第168回)
教師が問題を解いて,原理をつかむこと
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第170回)
向山型算数ニューパーツ「写した印」
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第164回)
導入の先生問題で基本型を教える。教えた基本型を用いて教科書の問題を解く
赤石 賢司
〜6年「場合の数」〜
甲本・河田発 やんちゃ君も巻き込み,知的に燃える算数教室 (第56回)
思考力を鍛える授業を行う。習得があってはじめて理解していく。思考は楽しいことである
甲本 卓司
数直線・面積図タッグは子どもを混乱させるのか?!@
河田 孝文
中・高・塾教師の告発状!学力不足がもたらす悲惨な実態 (第20回)
荒れは,教師へのメッセージ
前平 勝
対教師暴力で訴えた問題解決学習のひどさ
本川 由貴子
発達障害への林ドクター教育コーチ!教師が切れた発達障害児の言動Q&A (第56回)
思い込まずに,子どもの言葉を受け止める
平中 健也林 隆
<子どもを巻き込む算数の福袋>算数ペーパーチャレラン (第44回)
低学年/「三角形→四角形チャレラン」
大坪 順
中学年/「分数・小数大きさチャレラン」
石川 和美
高学年/「線対称・点対称チャレラン」
太田 政男
あなたもプロ先生になれる!教師渡世・サバイバルの知恵 (第44回)
<今月のテーマ>通知表所見スラスラ!子どもの活躍・描写のコツ
〈1年〉所見を書くための情報を集め,名前を入れてほめる
溝端 達也
〈2年〉その場主義と助走で効率UP!
鈴木 芳幸
〈3年〉日常の記録を「文」で描写しておく!
椿原 正和
〈4年〉日頃の記録&面談を大いに生かす
中村 さや香
〈5年〉TOSSノート・TOSSメモを活用し,子どもの活躍・行動をストックする
鬼頭 衛
〈6年〉向山式所見メモで記録を取り,一気に仕上げる―具体的によさを見つける―
水野 彰子
「語り」で描写!あの子ができたドラマ100人物語 (第56回)
体験活動を十分にさせて数の概念を身につけさせる
岩本 友子
すきま時間に子ども熱中!すぐに使える“わくわく問題” (第32回)
発展性のある問題で子どもたちが熱中する
佐藤 泰之
プロが解説!教材研究「基本用語」事典 (第8回)
キーワード「文章題」
板倉 弘幸
向山型算数セミナー
あの「論文審査」が復活
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
「私は,算数ができるようになりました!」
笠井 美香
「算数で活躍したの,オレ初めて!」―ズシンと感じた手応え―
竹田 智
論文ランキング
8月号
木村 重夫
TOSS最新情報
赤石 賢司
読者のページ
徹底して子どもの側に立つ教師
木村 重夫
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
「子ども算数検定」に挑戦! (第8回)
11月
木村 重夫
算数教科書教材に挑戦/指定教材 (第170回)
向山 洋一

<巻頭論文>算数授業へのこだわり 算数の授業で教科書を使い,授業中すべての問題を教えることが学力の保障となる

/向山 洋一


 子どもたちの学力を保障しようと,真面目に考えている教育委員会は多い。

 数年前,ある県の教育委員会から「赤ねこ計算スキル」のような実力のつく教材がほしいと,県版に改訂した教材作成の依頼があった。

 その後,その県の算数の学力テストは急上昇した。

 全国的に見ると,授業中に教科書を使わない算数の授業をする所は多い。特に,組合が強いといわれる所は使わない傾向がある。そして,学力テストの結果も悪い。全国で最下位を争っている傾向がある。

 北海道の保護者から「子どもができないのは先生が教えてくれないからです」という訴えを私は受け取った。

 その北海道教育委員会は「子ども,保護者に責任ある授業をしよう」ということで,新学習指導要領の円滑な実施の説明会を8月30日に実施した。意欲的な注目すべき研修会だった。

 出席したTOSS教師の報告を紹介する。

■【北海道教育委員会研修会】 「教科書をきちんと使った授業」を北海道のスタンダードに

 30日(金),北海道教育委員会主催の「小学校及び中学校の新学習指導要領の円滑な実施に向けた地方説明会」が,札幌で1日日程で開催された。私も参加した。

 北海道各地から,「学校力向上指定学校」「その近隣校」,そして各支庁の「指導主事」等,多くの参加者があった。それぞれ「地域や学校等で中心となっているメンバー」である。

 この研修会は,次のような参加条件が要項に明記されている。

 「公立の小中学校の校長,教頭及び教諭で本説明会の成果を管内に確実に普及する強い意志を有する者」

 「強い意志を有する者」

 教委からの実施要項に,このような参加条件が書かれている文書は初めて見た。

 午前中は道教委の方,国立研究所の笠井氏のお話。午後は,玉川大学教授の堀田龍也氏の講座だった。

 午後の堀田氏の講座のテーマは「ICT」なのだが,一番の主張は「教科書をちゃんと使いましょう」ということだった。

 算数の教科書(平均の単元)を示しながら,その構造や意図をワークショップ形式で,解説していた。

 初めに「7.単位当たりの量」の単元は何ページから始まりますか」と堀田氏が問うた。参加している北海道各地の「地域や学校等で中心となっているメンバー」から出た答えは単元名の書いてあるページ。

 しかし,この単元は単元名が書かれているページの前に扉のページがある。ここを見逃しているのだ。

 それが,1人や2人ではない。

 TOSSでは,向山型算数の模擬授業で教科書の扱いを何度も行ってきている。こうした教科書のポイントを外す人は少ない。

 しかし,「プリント」や「問題解決学習」で,教科書を軽んじる多くの北海道の教師(しかも「地域や学校等で中心となっているメンバー」!!)は教科書を使って授業する基礎がないのだ。

 その後も,教科書をどのように使うか,様々な場面で堀田氏が問うのだが,参加者の多くは呆れてしまうような回答をしていた。これが北海道の「現実」なのだ。

 堀田氏は,「すぐに教科書を使わなかったり,内容を変えたりする先生がいます。特に北海道には(笑)。ここまで多くの専門家によって工夫され,検討されてきた教科書よりもいいプリントが作れますか。僕は無理だと思います」と,何度も断言していた。

 繰り返すが,「北海道教育委員会」主催の研修会でである。

 これは,「教科書をちゃんと使って授業を行う」ことを北海道のスタンダードにするという道教委の明確なメッセージなのだ。

 講座の中で「教科書をちゃんと使う授業」を北海道の常識にする。「教科書を使わない授業」「プリントばかりの授業」,そして,「子どもに丸投げの授業」を明確に否定していた。

 今まで,「教科書を使わない」よう指導してきた指導主事もいた北海道の教育が大きく変わろうとしている。■

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ