向山型算数教え方教室 2005年12月号
学級のADHD/LD 一斉授業でする指導ヒント

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向山型算数教え方教室 2005年12月号学級のADHD/LD 一斉授業でする指導ヒント

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2005年11月8日
対象:
小学校
仕様:
B5判 94頁
状態:
絶版
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目次

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特集 学級のADHD/LD 一斉授業でする指導ヒント
「ほめてしつける」と「ことばを削る・一目で分かる工夫」につきる
横山 浩之
写すのに時間のかかる例示はしない
高橋 佳子
症状を抑える3つのキーワードで授業する
河田 孝文
全体が先である
浜井 俊洋
子どもの事実を大切にすることが大切
小野 隆行
評定がAからBに その『差』とは…
小峯 学
短い作業指示と対応の技術
大関 貴之
ミニ特集 算数学力テスト 読み取り&答え方の指導
「単位ミス」は問題文の読み方で克服
八和田 清秀
単元を貫く基本型を使うため付け加える
赤塚 邦彦
しっかり読ませ、写させ、視覚的に理解させ、アルゴリズム化を目指す!
白瀬 嗣大
日々の授業で「短く」「何度も」鍛える
西田 裕之
図を描き、何を問われているのかを考えさせる
勇 和代
ちょっとした工夫でミスを防ぐ
大沼 靖治
グラビア
障害のある子に対応するために絶対に知っておかなければならないこと
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
時間差
小倉 郁美
向山型算数キーワード
ADHD/LD役のいる模擬授業
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
すぐれた教材は、骨太な教材の論理で貫かれている
向山 洋一
学年別12月教材こう授業する
1年
ものとひとのかず
上杉 圭子
ものとひとのかず
川田 英津子
2年
かけ算(2)
馬場 慶典
九九を作ろう
山田 正和
3年
重さをはかろう
□□□□□
見やすく整理しよう
高橋 誠
4年
わり算のせいしつ
榎本 寛之
2けたでわるわり算の筆算
隈下 潤
5年
分数をくわしく調べよう
山本 昇吾
分数を調べよう
山川 直樹
6年
比を使ってみよう
山本 純
体積のはかり方と表し方
伊倉 尚子
中学難教材こう授業する
2年/文字式の利用
犬丸 郷司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第69回)
中学教師・TOSS教材体験記、やっぱりすごい!
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第73回)
ポイントをよく考え、整理して表現する
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第75回)
全国1000万家庭に配信されたADHD対応授業
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第69回)
こみぐあいの導入を教科書通りにスマートボードを使って授業する
赤石 賢司
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第9回)
魔法の言葉「写すこともお勉強のうち」
大野 智美
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
キーワード「混乱」VS「シンプル」
杉谷 英広
私が目にした問題解決学習の害悪
中谷 祐二
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
向山氏はどのように気になる子の名前を呼んでいるか?
小松 裕明
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第75回)
低学年
木村 正章
中学年
永山 祐
高学年
赤羽 洋治
【学年別】『TOSS算数ワーク』活用事例集 (第9回)
1年/2学期のスタートダッシュに活用
山田 恵子
2年/できない子が、1人でできる理由
泉 範子
3年/ADHD児も『算数ワーク』に熱中した!
堀田 和秀
4年/誰もが熱中!誰もができる!
久後 龍馬
5年/苦手な子も楽しく難関を突破
上山 留美
6年/マルチに活用できるオールマイティ問題集
中野 慎也
向山型算数セミナー
来年のセミナーテーマはご要望を反映させました
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
こんな私にも、感謝の言葉が!
桑原 陽子
正しい方向の『努力』が大事
荒井 紀之
子どもが笑顔になった!
渡邊 俊郎
同じ指示も使い方で雲泥の違い
長谷川 敬志
向山型算数で回復した親の信頼
土方 奈緒美
20人以上から90点以上へ
高橋 賢治
実感!五感を働かせて学ぶ算数
矢口 陽子
論文ランキング
9月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
一貫した指導の大切さ
橋爪 里佳
読者のページ
9月号・夏のセミナー・長野での学び
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第75回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

すぐれた教材は,骨太な教材の論理で貫かれている

向山洋一


 ある著名校長の教材について,批判せよと書いた。

 あまりにも「ひどい教材」なので,批判論文は,いっぱい寄せられた。

 どれも,読みごたえがあった。

 致命的欠陥が,少なくとも3つはある。

 第一は,問題として与えられる「式」は,どのように書かれるかである。

 著名校長の教材は,次のようになっている。

9+2=

8+3=

 私は,このような表記を見ただけで,その教材を却下する。

 私は,進研ゼミの小学校講座全学年全教科の設計をはじめ,旺文社,主婦の友,学林館,光村,明治図書,PHP,サンマーク,学研,正進社,セシール等の教材を作ってきた。

 その多くは,日本一の教材になっている。

 進研ゼミでは,ライターは100名もいた。多くは附属小教師である。

 見本ページに,ライターの先生が,上記のような問題を持ってきたら,私は即座に止めてもらっただろう。

 こんな,ひどい例は,一度もなかった。

(『向山型算数教え方教室』2005年10月号向山型算数に挑戦73指定教材)

 「=」(イコール)は,左辺と右辺が同じであるという記号である。

 だから,9+2=11というのが正しい。

 9+2=13と書いてあれば,間違いである。

 左辺と右辺が等しくないからだ。

 式として示すには,9+2=11のような書き方をする。

 ただし,右辺は,左辺を計算した結果であるから,文章題のときには,計算前の状態も式として認めている。

 つまり,(9+2)である。

 文章題の式というのは,次の2通りで示される。

A 9+2  

B 9+2=11

 計算問題のときには,次の2通りで示される。

A 9+2  

B 9+2=□

 「=」(イコール)は,左辺と右辺が等しいことを示すという「ルール」によって,このような形が示されている。

 教科書を調べれば,すべて,私が書いたようになっていることが,分かるだろう。

 ところが,ある著名校長の教材は,次のようになっているのだ。

9+2=

8+3=

 日本の教科書,教材は,このような書き方をしない(中国の教材の中で,上記の表記を見たことがある)。

 次に問題となるのは,「教材としてとりあげる問題数」だ。

 算数・数学は「問題のすべて」を練習するのではない。

 例えば,「三位数×三位数」の,すべての問題を練習させるのではない。

 その中の一部分を選び,それができれば他のもできると考える。

 当然「一部分の選び方」が問題となる。

 「選び方」には,「科学的な観点」が必要となる。

 「同じような問題」をくくるのである。

 分かりやすいように「一位数たす一位数」で考えよう。

 例えば,9+2とか,3+4という問題だ。

 ここで,問題である。

 「一位数たす一位数」の総数は,「いくつあるか」ということである。7+5と5+7は違う問題と考える。

 私は,大学で授業するときは,ここから入る。答えは,バラける。

 教師相手だと「大学生の答えを4つ想像しなさい」という問題に変える。

 いい問題なので考えてもらおう。

 一位数たす一位数の問題総数はいくつあるか,千葉大の大学生130名の答えを4通り考え,そう考えた理由を示しなさい。

 この4通りを,すべて考えられた教師は技量が高い。

 3通り,答えられたら,まあまあの水準である。

 2通りしか考えられなかったら,並の力量。

 なお,上記の数字は「決まった数」である。

 次のページを見る前に,ぜひとも自分で考えてほしい。

 第一の答えは,0から9まで10文字なので,10×10で,100通りという答えである。

 第二の答えは,ゼロを抜かして,81という答えである。

 第三の答えは,「90」という答えがある。どうしてこう考えたのか,追究してほしい。

 第四の答えは,「72」という答えがある。5,6人は,こう答えている。どうして「72」になるのか,考えてほしい。

 さて,正解は,100通りである。

 かけ算九九表を思い浮かべればよい。

 問題の総数は,100問だ。

 しかし,教師は,それを分類する。

 「くり上がりがある」と「くり上がりがない」というのが,一番分かりやすい。

 「くり上がり」には,「10の合成」が,どうしても必要なので,「たして10になる」という分類も加える。これで3通りだ。

 さらに,「5の合成・分解」も重要で,これもとり入れる。これで4通り。

 もう1つ,「ゼロ」のたし算を教える。

 こうすると「5通り」となる。

 これで,ほぼ大丈夫だろう。

 さらには「プラス1」を入れる場合もある。

 5通りの問題をそれぞれ2問ずつ学習すれば,他もできると考えるわけである。

 すると「100問の総数を10問やればできるようになる」と考えられる。

 これが,「教材の論理」である。

 もちろん,「練習」も必要だ。

 そのときは,上記5通りのうちの「5つのパターンがすべて入っている10問」を練習させればいい。それ以上は,ムダである。

 ところが,著名校長の教材には,このような「教材の論理」がない。

 三流以下の教材だ。

 いたずらに,子どもの体力を浪費させる教材だ。

 タイムまで,計っているのである。

 教材には,すべてこのような「教材の論理」がある。

 すぐれた教材は,このような「原理」の上に組み立てられているのだ。

 第三の問題は,「一位数たす一位数」の最難関への対応だ。

 次の問題で易しいのは,どちらだろう。

A 7×5=□

B 7+5=□

 これは,たし算の方が難しい。かけ算は「丸暗記」で答えられるからだ。

 たし算は「10の合成」をしなくてはならないからだ。

 昔,百マス計算をやった人なら分かるだろう。「かけ算百マス」は,できても「たし算百マス」では,かなりの子がつまずいたことを。

 たし算は,次のようにしなければならない。

 5を分解して,「10の合成」を作らねばならないのだ。そのためには,サクランボ計算が最もよい。できない子にこそ大切だ。

 ところが,著名校長の教材には,サクランボを書くスペースがないのである。

7+5=12

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      明治図書

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