向山型算数教え方教室 2005年11月号
「できない子」をできるようにした凄腕教師100物語

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向山型算数教え方教室 2005年11月号「できない子」をできるようにした凄腕教師100物語

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2005年10月6日
対象:
小学校
仕様:
B5判 94頁
状態:
絶版
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目次

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特集 「できない子」をできるようにした凄腕教師100物語
「巻き戻しスモールステップ」で算数大好きに
谷 和樹
子ども自身が、事実として100点を取ること
甲本 卓司
向山型算数キーワードをあきらめないで使い切ること
松藤 司
5段階評定で2だったH君が5になった
井上 好文
楽しい授業の連続的保証がクラスを変える
松崎 力
ちょっとしたことをしっかりほめて、やる気と自信を回復させる
神谷 祐子
「風」でなく「型」で指導したときに子どもたちは変わった
正木 恵子
ミニ特集 算数が得意な子も苦戦する“おもしろ和算問題”
「おいおい先生、何だよ」できそうでできない問題にやんちゃも熱中
赤石 賢司
和算も難易度をつけて問題をつくってみよう
板倉 弘幸
昔編と現代編に挑戦
末冨 奈津子
かんたんそうで難しいからおもしろい
大前 暁政
やりたくなる“おもしろ和算問題”
細川 晃
難問のときのように楽しませる
岩田 貴典
グラビア
1例の事実の提示もない問題解決学習
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
花丸の暗示
小倉 郁美
向山型算数キーワード
和算(わさん)
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
教育の理論は現場から生まれる 神は底部に宿り給う
向山 洋一
学年別11月教材こう授業する
1年
ひきざん
田中 裕美
ひきざん
高橋 一行
2年
かけられる数とかける数
上木 朋子
かけ算(2) 九九をつくろう
柿崎 厚子
3年
大きな数の大小
許 鍾萬
大きい数をしらべよう
河中 淑恵(仮名)
4年
面積
戸村 隆之
2けたの数でわる筆算(1)
塩澤 巻浩
5年
分数を調べよう
長谷川 敬志
わり算と分数
三好 保雄
6年
分数のかけ算とわり算を考えよう
松田 信吾
分数のかけ算とわり算を考えよう
上木 信弘
中学難教材こう授業する
1年/1次方程式の利用
一戸 佐登史
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第68回)
向山洋一氏ならば、算数パズル「4つの4」をどう授業するか
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第72回)
「固まり対応」も含めた視点をもって
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第74回)
問いと答えを正対させよ
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第68回)
スマートノートブックを使った6年生「平均」の導入で成功体験
赤石 賢司
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第8回)
低学年に絶大な効果 百玉そろばん
コ永 智久
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
「問題解決学習」主流の“末端”も数年後にはひっくり返る
小田 哲也
予定調和のうちに進む授業
岩田 一博
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
教科書をきちんと使って授業をつくること
金子 聡子
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第74回)
低学年
寺前 幸児
中学年
小野 宏二
高学年
榎本 寛之
【学年別】『TOSS算数ワーク』活用事例集 (第8回)
1年/子どもも教師もみんな楽しい!
辻野 裕美
2年/算数が苦手な子も笑顔になる!
岡倉 光悦
3年/教科書チェック時に最適
河野 健一
4年/これほど信頼できるワークはない
山本 東矢
5年/分かった!簡単になった!
稲葉 忠之
6年/「自分でできた!」喜びを与えられるワーク
衣笠 めぐみ
向山型算数セミナー
本年最後は熊本で文章題指導を解明する
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
赤鉛筆指導の驚くべき効果
満石 大輔
説明も大声もない向山型算数で
川上 勇人
「善意の押しつけ」との決別
石田 勝紀
自分の力で乗り越える
河野 和正
無視を止め事実と向き合う
寺本 志穂
苦痛から楽しい授業に変わった
栗原 元司
できない子を救った赤鉛筆指導
田部 恵子
論文ランキング
8月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
算数苦手のA子が好きになった!ノートスキル&大きな×
古木 聖子
読者のページ
進むべき道に間違いはない
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第74回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

教育の理論は現場から生まれる

神は底部に宿り給う

向山洋一


 教育の理論は,現場から生まれる。

 子どものつまずきを,真剣にとらえることが出発点だ。

 子どものつまずきという「事実」を見逃すような教師は,すぐれた教師になれない。

 鈍感な人は,すぐれた教師にはなれないのだ。

 テストをして,10点,15点の子どもが出たとき,その子の事実に「正対する」教師のみが,すぐれた教師になる可能性がある。

 なぜ,その子は「分からない」のか。

 分からない原因は何か。

 授業のどこが問題だったのか。

 どのように工夫すればよかったのか。

 自分の教え方のどこが未熟だったのか。

 毎時間,毎時間,そのことを考え,正対する教師だけが,すぐれた教師になっていく。

 算数の問題解決学習の教師には,このような視点はない。

 授業記録,実践報告を読んでも,「できない子ども」「つまずく子ども」との「正対した努力」が出てこない。

 「算数の問題解決学習法」という「頭の中で作った理論」を当てはめるだけの授業記録ばかりだ。

 「算数問題解決学習」は,日本の教育史上最低,最悪の指導法だ。

 これまでに,幾十万人,幾百万人の子どもを「算数嫌い」「算数の落ちこぼれ」にしてきた。

 軽度発達障害をもつ幾万人,幾十万人の子どもを「反抗挑戦性障害」などの最悪の状態に落としめてきた。

 算数の問題解決学習は,日本の教育史上まれなほどの「犯罪的指導法」である。

 私が,これほど書いているのに,誰一人として反論をしないほどの駄目な研究集団なのだ。

 そのくせ,教科書をきちんと教える若い教師を校長室に呼び出し,「校長,研究主任」などが取り囲んで「算数の教科書を使うな!」「校長として認めない」などと,おどしているのだ。

 「子どもの事実」を見ないで,「権力づくで若い教師をおどす」指導法が,算数の問題解決学習なのである。

 相手の立場を配慮して,名前を公表してないが,いくらでも公表できる用意がある。

 教師にとって,最も大切なのは「教室」という「現場」である。

 「授業」という行為である。

 「子どもの事実」という結果である。

 教師が教師である限り,自らの指標とすべきはそのことなのだ。

 これは,永久不変の真理であり,これから先500年,千年たとうとも,生き続ける真理なのである。

 教育の理論は,「現場から生まれる」のだ。

 生物としての「人間の能力」は,100年昔も今も,そして「100年後」も,あまり変わりはない。

 しかし,「学習すべき内容」は,増加し続ける。

 これが,「教育」のもつ「根本」の矛盾である。人間の能力は,同じである。学習する内容は,増加し続ける。

 これを解決するためには,「教師の指導法の改善」しかないのである。

 その教師の指導法の改善によってのみ「子どもの教育」は,時代の要望に応えられるのである。

 子どもの成長を願うなら,教師もまた成長しなければならない。

 勉強する教師だけが,指導法を改善する教師だけが,子どもの前に立つ資格がある。指導法の改善とは,次のことである。

すぐれた教材を扱う。

すぐれた教材を分かりやすく組み立てる。

すぐれた教具を工夫し,活用する。

すぐれた「授業行為」を身につける。

教師の授業力量を向上させる。

 指導法の改善と言えば,「向山型算数に挑戦」の72(9月号掲載)は,よい問題だった。

 とても,すばらしい問題なので,ぜひサークルで考えてほしい。

 「改善」の具体的テーマがここにある。

 これまでの知見を,一歩前に進めなくてはならないのである。(学校図書『みんなとまなぶしょうがっこうさんすう1年』P.73)

 この問題の基本は,「一対一対応」だ。

 しかし,「一対一対応」を,機械的に覚えても駄目だ。

 「一対二対応」だってあるのだ。

 「うさぎの耳はいくつありますか」という

問題だ。1匹に2つずつあるわけだ。

 乗用車の車輪となれば,普通は「一対四対

(赤)(青)

応」となる。

 このようなことが,授業でさりげなくできなくてはならない。

 この問題のもう1つの基本は,「正確に数える」ということだ。

 「正確に数える」のには,順序よく数えることが唯一の方法ではない。

 それも大切だが,「固まり」を作っていく方法だってある。

 固まりを作るというと,ほとんどの教師は「10の固まり」だけを考える。

 そうではない。

 サイコロの面は,「1つ」「2つ」「3つ」などの「固まり」と考えることもできる。

 また,サイコロの上面と下面とをあわせると,必ず「7つ」になるということも言える。

 学校では,「1年生の固まり」(1年生集団)などを作るときもある。

 このように考えると「一対一対応」の発展として「一対ニ対応」「一対四対応」などが考えられる。

 さらに,その発展として「固まり」が考えられる。

 「10の固まり」の他にも,違う「固まり」が考えられる。

 9月号の問題は,このような「発展面」を備えている。

 だから,「順序よく数える」とか「10の固まりにする」とかいう「1つだけの方法」は不十分だ。

 このような,「発展問題」のときこそ,あれこれ考えさせるのである。

 私は,高学年に対しては「頭脳派」「体力派」と分けていた。

 「どちらもすばらしい」とほめてきた。

 「5÷7の小数点100位の数字は何か」のとき,循環小数として考えるのが頭脳派,ノートに何ページも計算するのが,体力派だ。

 「体力派」も立派なのだ。

 「俺は,絶対体力派」だと言っていた子の中から慶應の経済に入った子もいれば,東大に入った子もいる。

 子どもが持って来る様々な解を,それぞれに認め,ほめられること,このことがまず大切だ。

 その中に,「数の異なる固まり」に注目してくる子がいるはずだ。

 それを,取り上げ大々的にほめるのだ。

 それは,すごいことなのだ。

 「一対一対応」を突き抜けて「固まりの対応」に目が行っているからだ。

 素直で,技量の高い教師でないと,こうした意見のすばらしさを見逃してしまう。

A「数える」

B「10の固まりを作る」

 そして,

C「異なる固まりを作る」

 ここに,ささやかな,改善された指導法が誕生するのである。

 これこそが教育研究の本道だ。

 教育の理論は,教室から生まれるのだ。

第1回TOSS W木村塾In淡路〜「キーワード別模擬授業対決」「グレーゾーンの子役付き模擬授業(重夫先生も挑戦)」「教科書分析法」など〜日時:12月23日(金・祝)淡路夢舞台国際会議場 講師:木村重夫・木村孝康・小野隆行 資料代8000円 

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