向山型算数教え方教室 2005年10月号
教室の学力差に挑む個別指導の極意

V076

«前号へ

次号へ»

向山型算数教え方教室 2005年10月号教室の学力差に挑む個別指導の極意

紙版価格: 964円(税込)

送料無料

電子版価格: 867円(税込)

Off: ¥97-

ポイント還元20%

ファイル形式

PDF
ジャンル:
算数・数学
刊行:
2005年9月7日
対象:
小学校
仕様:
B5判 94頁
状態:
絶版
出荷:
ダウンロード
定期購読

目次

もくじの詳細表示

特集 教室の学力差に挑む個別指導の極意
学力差を埋めるのは、時間差、楽しさ
河田 孝文
量が一目で分かる教材「かけ算九九尺」
根本 直樹
「全員に」がキーワード
末冨 奈津子
九九表の思想を生かす計算お助けカード
根津 盛吾
発達段階を知り「百玉そろばん」をする
柿崎 厚子
赤鉛筆は愛情のかたまり
千葉 康弘
科学的に子どもを捉えるだけでは駄目だ!
丸亀 貴彦
ミニ特集 文章題―子どもの予想外の反応への対応策
和なのに差と答えた子どもたち
正木 恵子
できている部分を評価する
中田 清香
言い訳しちゃいけません!
西山 喜一郎
文章題のポイントは、ズバリ単位にあり
行實 克彦
冷たい教師は授業の技量が低い
宮澤 宏祐
「必然性」を瞬時に見分ける教師の目
中川 貴如
グラビア
見えないものを見えるようにする介入模擬授業
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
丸つけ
小倉 郁美
向山型算数キーワード
真の机間巡視
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
向山型算数の実力は「ほんの小さなこと」と思える部分に現れる
向山 洋一
学年別10月教材こう授業する
1年
3つのかずのけいさん
田部 恵子
たしざん
飛田 政彦
2年
あたらしい計算をかんがえよう
高杉 祐之
かけ算
小倉 郁美
3年
形をしらべよう
小室 由希江
あまりを考えて
大前 暁政
4年
三角形を調べよう
三浦 一心
三角形を調べよう
井上 和子
5年
小数のわり算を考えよう
中野 慎也
高さくらべ(小数倍)
安部 克則
6年
単位量あたりの大きさ
佐藤 敏博
分数のかけ算とわり算
田澤 大吾
中学難教材こう授業する
2年/連立方程式の利用
池田 浩司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第67回)
「隠せば分かる」を中学数学で応用する
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第71回)
この問題は「向山型算数」への入門問題である
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第73回)
ADHD役の子の存在が気にならなくなる授業
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第67回)
学期末のまとめテストで平均点90点を突破するための復習単元
赤石 賢司
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第7回)
研究協議会の話題は「向山型算数ツール」で埋まった
大山 昭二
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
教え子が算数嫌いになっていた
上田 竜也
勝手なおしゃべりが話し合い?
佐藤 美弥子
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
通級のBさんが100点を取った
齋藤 一子
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第73回)
低学年
松本 一樹
中学年
飯塚 三千浩
高学年
太田 政男
【学年別】『TOSS算数ワーク』活用事例集 (第7回)
1年/入門期にも大活躍!
下山 てるみ
2年/教材のもつ力を実感!
宮崎 正明
3年/解いていると楽しくなったよ!
河中 淑恵(仮名)
4年/苦手な子への魅力的な配慮
中田 幸介
5年/子どもを笑顔にするワーク
泉井 康宏
6年/教室が、シーンとなる教材!
中島 康
向山型算数セミナー
文章題指導のスキルアップは図の活用をマスターせよ
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
算数指導の座標軸を手に入れた
坂井 務
かけ算習得「6つの技」!
熊田 賢人
向山型算数は上達が実感できる
長澤 和博
リズムとスピード のってる子
村松 晋
机に伏せていた子どもが笑顔に
小野 宏二
向山型指導は人を動かす
山田 雄一
100の見栄より1の事実
小西 亮人
論文ランキング
7月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
1ページ2問でよい
伊藤 壮一
読者のページ
心動かされた向山型実践
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第73回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

向山型算数の実力は「ほんの小さなこと」と思える部分に現れる

向山洋一


 向山型算数に挑戦71は,大変よい問題だった。応募者も多かった。

 小学校4年,わり算の筆算を,どう教えるかである。

 この部分が,正しく教えられれば「向山型算数」を,正しく理解したと言える。

 とてもいいテーマなので,「サークル」等で繰り返し,繰り返し「勉強する」といいと思う。

 どう授業するのか,下記の教科書のページを見て考えてほしい。

 私なら,この見開き2ページを1時間(45分)で,授業をする。

 「あかねこスキル」も加えてである。

 困難なクラスなら「あかねこスキル」まで,入らない場合もあり得る。

 さらには,6ページの練習問題を半分で終了することがあるかもしれない。

 私は,この部分を4年生16学級で授業した。

 すべての学級で「スキル」まで終了した。

 授業にあたって,「ミクロ」の視点と「マクロ」の視点の2つが必要だ。

(東京書籍『新しい算数4下』P.5〜6)

 まずは,簡単な「ミクロ」の視点についてふれよう。

 5ページ左下の筆算をどう教えるかである。

21) 87

 これを,どう教えるかだ。

 応募された先生方から「教え方」を引用しよう。

   AB

21) 

87

(ア)岐阜の小井戸先生

 答え「商」は,Aに立ちますか,Bに立ちますか,Aだと思う人,Bだと思う人。

(イ)神奈川の金子先生

 答え,商は,Aに立ちますか。Bに立ちますか。

 Aだと思う人?Bだと思う人?

 分かりやすく,まずは引用を2人だけにしよう。

 「(ア)と(イ)を読んで,解説しなさい」というわけである。

 (ア)と(イ)について解説できない人は,「向山型算数」の「わり算」について,正しく理解しているとは,言いがたい。

 この部分は,「向山のわり算指導CD」に入っている部分である。

 教え方教室等で,何度もライブで示した。

「見た人」「聞いた人」も多かったと思う。

 しかし,この部分を正確に,再現できた人は,日本中に1人しかいなかった。

 岡山の甲本卓司先生である。

 さすが,TOSS技量検定5段の実力者だ。

 ちなみに,甲本先生は,この部分だけが正しく再現できるのではなく,他人のやった授業を正しく再現できる。

 トップ歌手は,五木ひろしでも,森進一でも,小林幸子でも,他人のものまねが名人級であるのと同じである。

 まねができる,他人の行為を再現できるのも,高段者の証明なのである。

 なお,2人の文は,「句,読点」が違う。

 「原文はどちらなのか」

 それとともに,「読み方」は,どうだったのかが問題となる。

 ちなみに,他の人の文を示す。

 愛知の堀先生。

商はAに立ちますか。Bに立ちますか。

挙手で確認する。

 これだと,原実践から,大きくずれる。

 宮城の藤野先生。

 商はAに立ちますかBに立ちますか。Aだと思う人?Bだと思う人?Bですね。

 藤野先生には,読点がない。「読点がないような感じで一気に読む」のだが,気分としては「読点」があるのだ。

 「読点」が「あり」ながら「一気に読む」という「微妙」なところが分かるだろうか。

 わずかな違いが「表現」の違いとなる。

 岩手の皆川先生。

84÷21をします。10の束と考えて,4と1を隠して,8÷2をします。4をたてます。

4はAに書くのですか。Bに書くのですか。

 これは,「向山型とそっくり」ではあるが,向山型ではない。

 順序が逆なのである。

 逆では,全く違うことになる。

 お風呂に入って,「せっけんをつけてから,お湯をかける」のと,「お湯をかけてから,せっけんをつける」のでは,全く事態が違ってしまう。

 向山型算数を実践している人の中には,「向山型とそっくり」でありながら,「全く違う」ことをしている人が結構いる。

 「あかねこスキル」は,授業としてやるから「実力がつく」のであり,「宿題に出」しても,何の意味もない(もちろん,ドリルに比べれば,すぐれてはいるが……)。

 さて,「たてる」という,部分について,次の記述が1人あった。

 商はAに立ちますか,Bに立ちますか。

(ここまで一気に言う)Aだと思う人?

Bだと思う人?(挙手させる)Bですね。

 どうだろう。私が言ったことを,見事に表現している。

 神奈川の森川先生である。3段の実力は,こんな,ほんの小さなことの中に出てくるのである。

 さて,「指定教材」で,ポイントとなる所は5つである。

 その1つ1つが大切である。

その1 簡単なのは,6ページの@Aの練習問題

 黒板に書かせるのだが,できるだろうか。

その2 その前の星4の問題

 「けん算」の書き方が悪い。

 教科書の書き方が悪いのだ。

 簡単な問題なので,次までの宿題としよう。

その3 6ページの上段,「アルゴリズム」を教えるところである。

 ここに「補助計算」が入らねばならない。

 「うつす」が必要となる。

 「たてる」→「かける」→「ひく」ではない。

 「たてる」→「かける」→「うつす」→「ひく」となる。

 有名な,「次に何をしますか?」という発問が出てくるところだ。

 ちなみに,「次に何をしますか?」に対して,「21と4をかけます」では駄目だ。

 向山一門でさえ,ここを間違う。

 「かけます」でなくてはならない。それに対して,教師は「何と何をかけますか」と聞くのである。

 ここらへんは,精密機械のように厳密でなくては駄目だ。完全に,再現できなくては駄目だ。「うろ覚え」では,駄目なのだ。

その4 5ページ下段。「たてる」指導。冒頭で,取り上げた。

その5 5ページ上段。大切に扱う。ただし,スッキリと,シンプルに扱うのだ。流れるように「式」「答え」まで,書いてしまう。

 答えが分かってから,筆算の練習に入るのだ。

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ