向山型算数教え方教室 2005年4月号
平均90点への布石! 教科書を授業する「黄金の3時間」

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向山型算数教え方教室 2005年4月号平均90点への布石! 教科書を授業する「黄金の3時間」

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2005年3月9日
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 平均90点への布石!教科書を授業する「黄金の3時間」
1時間目からチャイムと同時に授業に突入 隙を作らない先手必勝
甲本 卓司
授業のシステムを組み込み 授業のしつけを教え 授業へのやる気を呼び起こす
河田 孝文
「授業の原則十カ条」こそが、学力を保障する
松崎 力
指示を全員に徹底させて、子どもに達成感をもたせる
末冨 奈津子
スッと入れる作業指示を心がける
井上 嗣祥
1時間目から学習技能の定着を図る
横崎 邦子
趣意説明でリズム・テンポを生み出す
□□□□□
ミニ特集 学力向上の決め手『TOSS算数ワーク』を活用する
一番人気の学習ゲームで子どもたちは集中を見せていた
板倉 弘幸
向山型のエキスがつまった『TOSS算数ワーク』
神谷 祐子
準備が簡単!少人数指導で大活躍
小野 隆行
あかねこ計算スキルの原形がここにはある
松藤 司
シーンとなった状態で、子どもは熱中して取り組む
赤石 賢司
学力向上のワークシステムをつくる
雨宮 久
グラビア
D表クリアはプロ教師への大きな一歩である
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
赤鉛筆
小倉 郁美
向山型算数キーワード
子どもの常識をくつがえす
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
『学力向上算数ワーク』は、子どもを魅きつけた
向山 洋一
学年別4月教材こう授業する
1年
かずのなまえ
磯部 智義
かずのなまえ
梅沢 貴史
2年
計算のしかたをかんがえよう
蔵田 紀子
たし算
末宗 昭信
3年
たし算とひき算
平田 千晶
わり算
吉田 晴美
4年
大きな数
臼井 俊男
千万より大きい数を調べよう
深野 美保
5年
小数
大貝 浩蔵
小数
奥原 淳子
6年
倍数と約数
戸村 隆之
整数の性質
林 健広
中学難教材こう授業する
2年/1次関数 動点の問題
西野 一葉
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第61回)
反抗期の兆しを見せ始めている中学生だから向山型が有効
井上 好文
向山型算数に挑戦/論文審査 (第65回)
グチャグチャになる操作活動をどのように位置づけるか
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第67回)
公開授業で問われる授業力と子どもの学力(上)
木村 重夫
向山型算数WEBサロン (第61回)
向山氏のビデオで学んだ“指名の間でリズムを作る”を追試
赤石 賢司
“若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第1回)
「若葉印」時代の修業方法5つ
西田 裕之
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
子どもの努力が報われない
大関 貴之
問題解決学習は学級崩壊を目指しているとしか思えない
八巻 修
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
衝撃を受けた言葉「90%ほめる」
岩本 友子
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第67回)
低学年
佐藤 志保
中学年
遠藤 祥一
高学年
春山 和順
【学年別】『TOSS算数ワーク』活用事例集 (第1回)
1年/変化のある繰り返しでばっちり!
鰺坂 菜月
2年/シンプルだから子どもは分かる
太田 政男
3年/授業開始から学習に引きずり込む
山本 昇吾
4年/単元のまとめで力をつける!
平山 勇輔
5年/3つの「C」で学力をつける!
千葉 康弘
6年/おもしろい!心をつかんだワーク
小森 俊宣
向山型算数セミナー
4月東京会場は定員増で参加のチャンスです!
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
できる!やれる!がんばれる!
三浦 健太朗
校長が向山型算数を認めてくれた
赤西 和子
教師としての目覚め
前田 吉法
計算スキルを素直に追試せよ
辻岡 義介
教師が伸びて,生徒も伸びる
小林 英世
「もっとやりたい!」
浅井 孝信
教科書と格闘せよ!!
木伏 伸之
論文ランキング
1月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
低学年から「うっとりするノート」
川口 智子
読者のページ
教師としての生き方が変わった瞬間
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第67回)
向山 洋一

巻頭論文

算数授業へのこだわり

『学力向上算数ワーク』は,子どもを魅きつけた

向山洋一


 向山全集第5期13巻セットは,『学力向上のTOSS算数ワーク』である。

 向山が基本コンセプトを決め,向山が設計をして,私が見込んだ方々に「高松国際ホテル」まで,二度出かけてもらって作った教材である。

 セシール通信用教材として作ったこの教材は,セシールが通教から撤退したため,世に出なかった。

 私は,「せっかくの知恵の結晶」を,いつか世に出したいと思い,セシールの責任者と交渉し,出版権を入手しておいた(著作権は,私どもにある)。

 言うならば,いわくつきの歴史的教材だ。

 このような教材は,そのとき入手しておかないと,後から手に入らない。「向山洋一実物資料集」「向山洋一年齢別著作集」を入手しておけばよかったと思っている人は多い。

 十年昔の向山が作った『算数ワーク』がどのようなものか,山口県の木田先生の指導を紹介する。「やりなさい」だけでシーンと取り組んだ。

1 早速子どもにやらせてみる!

 向山全集第5期13巻セットが届いた。『学力向上のTOSS算数ワーク』である。

 5年担任で今学習しているのが「面積」ということもあり,まずめくったのが67巻・小学5年「量と測定」編だ。

 三角形の面積,平行四辺形の面積を求めることが主な学習内容である。そのページを見た瞬間思った。

 「子どもにやらせたい!」

 まえがきに書かれている。

 自分1人で学習して,公立高校に入学できる学力を保証するのがねらい。ということは,配ってやらせるのみ。教師はごちゃごちゃ言わないに限る。

 まえがきには,こうも書かれている。

 本書が,新しい教育界の動きの中の,新しい教材として「帯の時間」「朝学」「発展学習」「自宅学習」用として活用されることを願う。

 「朝学」の時間にやらせよう!

 10月21日の朝学を迎える。5年生23名に実施した。

2 配って「やりなさい」それだけ

 プリントにして配った。

 P.6 1 面積 @平行四辺形の面積の求め方

 一言。

指示 やりなさい。

 大きく2つに分かれた。

 目線を左側に送る子ども。プリントをじっと見つめる。左半分の説明文を黙読している。

 そして,目線をいきなり右側に送る子ども。問題を解くのは右側だけと判断したのだろう。すぐに,鉛筆を持ち,書き込む。質問が出ない。

 本当に出ないのだ。

 「えっ?」というようなリアクションもない。極めて自然な流れでワークを始めたのである。

 しばらくして言った。

指示 全部できたら,答えを取りに来なさい。

 プリントにしたので,全部できたら,答えを取りに来させた。答えも人数分印刷しておいた。

全員が答えを記入していた。

 「あかねこ計算スキル」で残り問題をやるとき,いつも答えを参考にやっている子も,全部解いたのである。シーンとしていた。

 最初から最後まで,どの子も集中して取り組んでいた。

 プリントの裏に感想を書かせて「朝学」を終えた。

3 子どもの感想

 子どもの感想を紹介する(原文のまま)。

 「平行四辺形は,ちょっと,分かりやすくて,ときやすい,もんだいで,すぐ,できました。つぎは,三角形は,やりたいです。三角形の,もんだいは,平行四辺形とちがって,むずかしいです。やりたいです。」

 「きょうは,かんたんのもんだいでした。わたしは,ぜんもんせいかいでした。たのしかったのでまたやりたいです。(かんたんのもんだい)」

 「すこしむずかしかったです。だけど感がえてみると,すこしだけかんたんになってすらすらとできました。左もやるのかと思いました。ヒントがあったからできたと思いました。」

 感想から次のことが言える。簡単だった。

 「簡単だった」「分かりやすかった」「すぐできた」ということを書いた子が23人中13人だった。なお,「ヒントを読んで分かった」という子が5人いた。またやりたいと思っている。

 「またやりたい」ということを書いたのは5人だった。しかし,「やりたくない」「嫌だ」といった感想を書いた子は1人もいない。「難しかった」と書いた子が10人もいたにもかかわらず,である。自分1人でできる。

 解いて丸付けをする。これを自分1人でできることを子どもの姿が証明した。

 これからも『学力向上のTOSS算数ワーク』を活用したい!子どもの姿を目の当たりにして強く思った。〈向山〉

 教師は,すぐれた教材教具に助けられる。

 だから教師は,「すぐれた教材を見分ける力」をもたなくてはならない。

 プリント教材なら,次の2点である。

(1)プリントを配ってやらせたとき,質問が出ない。

(2)熱中して取り組み,教室がシーンとなる。

 これは,自分でプリントを作るときの目安ともなる。この2つを満足すれば,合格点だ。

 教師は「見分ける力」をもつとともに,「ユースウェア(使い方)」の大切さを知らねばならない。

 正しいユースウェアは,「すぐれた授業」そのものなのである。

 「細長いドリルをやらせっぱなしにする」ことをいつもやっているようでは,腕は上がらない。

 効果もほとんどない。

 「細長いドリル」は,一見子どものためのようだが,本当は教師の「手抜き用」なのである。

 「目安としてやらせる」「宿題としてやらせる」ためのものであり,「教師の手抜き用」だ。

 学校で使うすぐれ教材は,必ず教師が授業するものなのである。

 短い時間での授業(ユースウェア)これこそが,すばらしい効果を発揮するのだ。

 『TOSS算数ワーク』は,家庭用教材として作ったものだ。

 学校用教材と作り方は違う。

 家で自分1人でやって,学習効果が上がるように作られている。

 20年昔,進研ゼミ小学校教材の全部を設計した向山が,それを抜くものとして設計した教材である。

 木田先生の報告のように,「学校の朝学」の時間に「やらせただけ」なのである。

 それなのに,子どもたちは「難しかったけどまたやりたい」「分かりやすかった」と感想を書いているのである。

 すぐれた教材,教具は世界共通だ。

 先日,トモエそろばんの社長さんが,アメリカで流行している「アメリカ版百玉そろばん」を持ってきた。

 大きさは,日本の子ども用と同じくらい。

 玉は,プラスチックの円盤形である。

 これでは,軽度知的障害の子は操作しにくいと思った。この子たちは,指先が不器用なのだ。厚い手袋をはめて,操作していると思えばいい。

 算数セットの「タイル」や「ブロック」など,この子たちには地獄の教材だ。しかも,入学早々,扱うことになるのである。

 百玉そろばんは,不器用な子でも扱えるのだ。これは,すごく大きな違いだ。

 ところで,アメリカ版百玉そろばんの価格を中央事務局で考えてもらった。

 最も安く値をつけた先生が300円。多くは,800円前後。一番高くつけた先生は1500円だった。

 正解は100ドル。1万1千円である。

 一同,日本の百玉そろばんは,何と安いのだろうということになった。

(※別に約75ドルのものもあります)

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