向山型算数教え方教室 2005年2月号
まだ間に合う“学力保証の向山型補充学習”30

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向山型算数教え方教室 2005年2月号まだ間に合う“学力保証の向山型補充学習”30

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2005年1月6日
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 まだ間に合う“学力保証の向山型補充学習”30
教科書・TOSSランド・難問・TOSS算数ワークで決まり!
有村 紅穂子
向山型指導法はどの子にも優しかった
河原木 孝浩
TOSSランドで短時間に楽しく学習する
大関 貴之
思い立ったが吉日。よい教材を使おう
皆川 佐恵子
小学2年生のつまずきに使った教材・教具
細羽 朋恵
自宅学習習慣がつくTOSS算数ワーク
竹森 正人
4年生東京書籍単元別 便利な道具&効果のあった指導
藤野 美紀
ミニ特集 成果が分かる「計算力到達度テスト」
1年/子どもの実力を客観的に知る
高杉 祐之
2年/小さな工夫、大きな違い
斉藤 維人
3年/「基礎基本」を数値で測定し、公開する
賀本 俊教
4年/1年間の学習の成果を確認する
深野 美保
5年/小数の計算が鍵
奥田 嚴文
6年/客観的データが教師の通知表である
小森 俊宣
グラビア
難教材を向山型算数ならこう授業する
村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
指2本文の間
小倉 郁美
向山型算数キーワード
TOSS算数ワーク
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
算数の問題解決学習は、算数学習の本当の問題『重要五項目』を解決できただろうか!
向山 洋一
学年別2月教材こう授業する
1年
たすのかな ひくのかな
鯵坂 菜月
たしざんと ひきざん
金子 政利
2年
図をつかってかんがえよう
鎌倉 輝美
図をつかってかんがえよう
長畑 美穂
3年
かけ算のひっ算(2)
宮崎 京子
かけ算の筆算(2)
遠藤 祥一
4年
算数と生活
臼井 俊男
1より大きい分数
平山 勇輔
5年
割合
内永 加奈子
円をくわしく調べよう
平田 真紀
6年
世界の時刻と時差
河中 淑恵(仮名)
生活と算数
佐藤 美果子
向山型算数に挑戦/論文審査 (第63回)
「はした」の意味にもっとこだわること。分数と小数では違う部分があることを知ること
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第65回)
思考を促す「つなぎ言葉」に着目せよ
木村 重夫
向山型算数の原理原則と応用 (第65回)
指導ステップを細分化すれば完璧!
岡田 健治
〜6年「倍数と割合」〜
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
分かる喜びを奪う卑劣な行為
山本 隆信
問題解決学習が子どもをダメにした
伊藤 洋子
向山型算数WEBサロン (第59回)
スマートノートブックを用いた図形の面積コンテンツでM君は大活躍
赤石 賢司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第59回)
最初に答えが分かるから、数学が苦手な生徒やグレーゾーンの生徒も安心して授業に参加
井上 好文
「親と子の証言!」向山型算数は公文を超える! (第23回)
誰だってできるようになりたい 勉強が苦手な子たちのいじらしい挑戦
松崎 力
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
WISC−Vの結果からのスタート!アルゴリズムで計算博士
蔵田 紀子
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第65回)
低学年
桑原 泰樹
中学年
林 健広
高学年
戸村 隆之
ライブ体験で味わう“実力づくりへの道”向山弟子の介入を受けて
河田氏から学ぶ「我流向山型から向山型へ」
中山 崇
「言わせる」より「思考させる」
田村 治男
向山型算数セミナー
2005年より内容がグレードアップします
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
どの子にも「優しい」授業を目指して
川上 勤
教科書活用で子どもがフル活動
山田 恵子
私の目標80〜100点です
あべ松 龍矢
新採1年半でもできる向山型算数
鈴木 崇之
感謝される喜びを知って
海老名 久美子
D表で気づいた子どもへの対応
佐埜 健
教師も子どもも笑顔!笑顔!
平山 優希
百玉そろばんの一瞬のドラマ
坂元 弘平
できた!やる気が生まれた
藤ア 富実子
論文ランキング
11月号
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
高学年女子,ノートとの闘い
奥原 淳子
読者のページ
子どもの事実に学ぶ本物の授業公開
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第65回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

算数の問題解決学習は,算数学習の本当の問題『重要五項目』を解決できただろうか!

向山洋一


 算数の問題解決学習は,算数学習の本当の問題を解決しただろうか。

 算数学習の本当の問題を認識し,その問題の解決方法を示し,実践の結果,問題を解決しただろうか。

 それとも,本当の問題を見逃し,その問題を解決する方法を示すことができず,その結果,教室における問題点は解決できないままに放置されているのだろうか。

 審判を下せるのは,1人1人の教師である。

 教師なら,多くの人は,算数の問題解決学習を体験してきたからである。

 教師なら,算数の問題解決学習を熱心にすすめる教師の教室を見ており,研究授業も参観しているからである。 1人1人の教師は,自分の体験に基づいて,自分が見たこと聞いたことに基づいて判断を下すべきなのである。 子どもたちの1人1人が,教えてくれる。

 子どもたちの1人1人が,訴えている。

 現場こそ,教育の根本を考える場なのである。

 「算数の授業」における,本当の問題点は何だろう。

 1人1人の教師が,毎日毎日の算数の授業の中で,悩みもがいている問題である。

 現場で,1人1人の教師が,毎日毎日直面している問題,それこそが「算数授業の本当の問題」なのである。私は,何千人,何万人という教師と出会ってきた。現場の教師が,直面している問題点とは,次のようなことである。 第一は,基礎学力の問題だ。クラス全員に基礎学力を保障する問題である。

 保護者からの強い強い願いだ。 文科省,教育委員会も次々と提案している基礎学力とは,「教科書の内容ぐらい,ほとんどできるようになる」ということだ。

 教科書の内容は,法律である学習指導要領に定められたものであり,教師は法律によって使用することを義務づけられている。

 教科書を使わないのは,明白な法律違反であり,処分の対象となる。

 この教科書内容に準拠した市販テストなどで,学級平均点90点以上を取ることが保護者から強く求められているのである。

 この問題を,算数の問題解決学習をする教師は解決しただろうか。それとも目をつぶったり,言い逃れをしたりしてるだろうか。

 第二は,「できない子」の問題だ。

 教室には,理解の遅い子がいる。テストをすると5点,10点,20点しか取れない子が何人かいる。

 教師なら胸が痛む。

 何とかしたいと思う。

 多くの教師は,何らかの努力をしたと私は信じている。しかし,うまくいかない。

 やっても,やってもダメだ。これが,多くの教師の実感である。

 この「できない子の問題」を,算数の問題解決学習を熱心にすすめる教師は,解決しただろうか。

 日本中で,たくさんの「算数科出身教師」が問題解決学習に取り組んでいる。

 その中の何百人が,何千人が「できない子をできるようにした」だろうか。その実践研究は,どこで,どの本に発表されただろうか。

 第三は,「特別支援教育」の子どもの問題だ。

 ADHD,LD,アスペルガー症候群など軽度知的障害の子が,ほとんどのクラスにいる。

 正しく指導をすれば,その力を伸ばしていく。理解せずにデタラメ指導をすると,反抗し,あばれ出すときもある。 多くの教師が,直面している問題だ。 文科省も「特別支援教育」を1つの重点にしたほどの重大問題だ。

 算数の問題解決学習は,この問題を解決しただろうか。 障害のある子を理解し,それにあった学習

方法を呈示し,学習の中に巻き込んだだろうか。

 それとも,理解せず,独断と偏見の指導法を押しつけ,その子たちに反乱,反抗されただろうか。

 第四に,「算数嫌い」の子の続出の問題である。 近年「算数が嫌い」と言う子が増えている。

 中学に入るときには,「大嫌い」になっており,中1の数学の授業は,困難を極めいる。

 これも,多くの教師の実感だ。 算数の問題解決学習は「算数嫌い」の子の問題を解決しただろうか。

 それとも,算数の問題解決学習は「算数嫌い」の子を大量に生み出してしまったのだろ

うか。 第五に,「学習態度」の問題である。 算数の授業のとき,子どもはおしゃべりを止めないで,うるさいことが多いという。 算数の授業が騒然としているのである。 なかなか,クラス全員が集中しないというのが,多くの教師の実感である。 算数の授業のとき集中しないという問題を算数の問題解決学習は解決しただろうか。

 それとも,算数の問題解決学習は,授業の乱れをますます拡大し,傷を大きくしているのだろうか。

 以上,現在の日本の「算数の授業」における「重要かつ基本的な五項目の問題点」を示した。

 算数の問題解決学習は,この重要五項目を解決したのだろうか。それとも,解決できなかったのだろうか。

 この結論は,1人1人の教師が下せるのである。自分の体験,子どもの事実が教えてくれるのである。

 私の結論は,次の通りだ。

 算数の問題解決学習は,重要五項目を1つも解決できなかった。

 それのみではなく,重要五項目を作り出した元凶である。

 原因は,算数の問題解決学習にある。

 直ちに,算数の問題解決学習を止め,多くの教師の知恵の集結である「教科書を授業する」ことに戻ることが,解決への唯一の道である。

 教科書の指導法は,いくつもある。向山型算数は,その1つである。

 子どもの事実,具体的証拠によって,よいものが残っていけばよい。

 算数の問題解決学習は,基礎学力をつけるどころか,低下させた元凶である。

 「考える力をつける」とうそぶき,基礎学力保障が論理からはずされた。

 教科書を使わないため,学力形成の基本が失われた。練習問題,ドリル,スキルを宿題にしたため,中位から低位の子を,ゴソッと落としてしまったのである。

 算数の問題解決学習は,「できない子」をできるようにできなかった。5点,10点の子を80点,90点にした実例が全国で1つもない。

 10年近く前から,向山が雑誌で書いているのに,未だに成功例が1つも出ない。

 そもそも「できない子への指導方法」が開発されてない。役に立たない「ヒントカード」と「子どもに反発されるひどい個別指導」ぐらいしか方法がないのだ。

 貧弱な指導法であり,こうした方法では「できない子」は,できるようにならない。教師なら,誰でも知っていることだ。役に立たない,効果のない方法を今もやっている。

 問題解決学習では,特別支援の子は救えない。それどころか「反抗挑戦性障害」まで悪化させてしまう指導法だ。

 算数の問題解決学習を熱心にやる教師によって,どれだけ特別支援の子が,痛めつけられてきたことか。

 何なら,全国の実例を示して論じてもいい。TOSSの教師になった途端,「解決した」実例が山ほどある。

 算数の問題解決学習の教師のベテランがADHD等の子を「問題児」「ひどい子」と排除し,痛めつけた例を,私はいくらでも提供できる。

 算数の問題解決学習を熱心にやった後を,TOSSの教師が担任する。アンケートをとると,ほとんど「算数大嫌い」と出る。

 逆もある。TOSSの教師によって「ほぼ全員が算数大好き」のアンケートなのに,問題解決学習の教師になって1か月もすると「算数大嫌い」となる。親からの訴えも多い。

 授業中の学習態度。向山型算数では,教室がシーンとなる,技量があがると,実に熱中するようになる。

 算数の問題解決学習は,騒がしくなる。力で押さえつけている教師も多い。

 算数の問題解決学習は,重要五項目を何も解決できなかった。いや,悪化させてきた。

 だから,次々と向山型算数へ来ているのである。若い教師もベテランも参加してきている。

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