向山型算数教え方教室 2004年12月号
ここが違う「向山型でする習熟度別・少人数指導」

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向山型算数教え方教室 2004年12月号ここが違う「向山型でする習熟度別・少人数指導」

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ジャンル:
算数・数学
刊行:
2004年11月8日
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
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目次

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特集 ここが違う「向山型でする習熟度別・少人数指導」
流れに追いつこうとするから子どもは伸びる
/水野 正司
習熟度別指導で向山型だけが生き残る
/根本 直樹
選択の場を与え途中変更を可能にしておく
/松本 俊樹
じっくりコースに何人来ても大丈夫
/迫田 一弘
あせらず、あわてず、あきらめず
/吉野 悠
向山型算数のシステムで習熟度別少人数指導を進めるポイント
/山下 敏彦
すぐれた技術、教材、教具を味方につけて
/高橋 実
ミニ特集 「暗算」指導―脳科学ではどう見るか
暗算指導は「記憶の干渉」をまねく
/齋藤 一子
脳科学の識見からも有効な補助計算
/大関 貴之
筆算の「方法を記憶」させよ
/西山 喜一郎
脳科学から見た暗算指導と向山型算数
/岩井 則義
ポイントは「視覚」と「ワーキングメモリー」だ!
/白瀬 嗣大
脳科学が示す暗算指導の限界
/小野 隆行
グラビア
“心地よいリズムとテンポで行う授業”それが向山型算数
/村田 斎
若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
日付ページで勝負
/小倉 郁美
向山型算数キーワード
先生にそっと教えてね
/木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
逐一(ちくいち)指導は向山型ではない
/向山 洋一
学年別12月教材こう授業する
1年
ひきざん
/角田 俊幸
たすのかな ひくのかな
/脇 規洋
2年
かけ算(2)
/橘内 求
かけ算(2)
/山川 直樹
3年
10000より大きい数を調べよう
/富樫 慎也
10000より大きい数を調べよう
/高橋 恵一郎
4年
およその数
/大石 貴範
計算のやくそくを調べよう
/藤�ア 富実子
5年
百分率とグラフ くらべ方を考えよう
/和歌 千明
分数
/榎本 寛之
6年
リサイクル
/福谷 崇
比例
/小峯 学
向山型算数に挑戦/論文審査 (第61回)
どの問題をどのように表記するか
/向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第63回)
向山氏の介入授業から見えた授業の原則(上)
/木村 重夫
〜1年「ふえたりへったり」〜
向山型算数の原理原則と応用 (第63回)
新教科書(平成17年度)は向山型算数でないと対応できない
/白石 周二
“問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
いくら子どもたちが優秀でも…
/渡辺 冨子
わり算の導入に見た実態
/浅野 あけみ
向山型算数WEBサロン (第57回)
再びM君に小さな成長のドラマが起きる
/赤石 賢司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第57回)
向山洋一氏「過不足の問題(中1)」の授業を追試する
/井上 好文
「親と子の証言!」向山型算数は公文を超える! (第21回)
「目線」を鍛えていないと「星印に指を置かせる」ことさえ突破できない
/松崎 力
〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
得意な部分を生かせ 視覚入力のフル活用
/森 玲子
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第63回)
低学年
/細羽 正巳
中学年
/玉川 徹
高学年
/石井 研也
ライブ体験で味わう“実力づくりへの道”向山弟子の介入を受けて
すっと流れた授業の落とし穴
/末冨 奈津子
緊張感の中で学んだこと
/赤木 雅美
向山型算数セミナー
2005年算数セミナーの会場が決まりました2月の申込を受付中!
/板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
百玉そろばんスキルに感謝
/石川 雅昭
我流の「個別指導」から脱出!
/鎌倉 輝美
算数がたのしかったです
/中村 雄司
子どもも親も教師もみんな幸せ
/浅野 美也子
子どもだけでなく自分も変わる
/齋藤 泰史
子どもがすべてを教えてくれた
/渡部 博子
算数が変わった
/足立 勝彦
算数大嫌いが大好きになる向山型算数
/上山 留美
分かる授業を目指して挑戦!
/大山 こずえ
論文ランキング
9月号
/木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
教科書にない部分を基本型で補う
/篠崎 孝一
読者のページ
子どもの事実に学ぶ授業や研究は楽しい!
編集後記
/木村 重夫・赤石 賢司
TOSS最新情報
/赤石 賢司
向山型算数に挑戦/指定教材 (第63回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

逐一(ちくいち)指導は向山型ではない

向山洋一


 熊本県の小�ア先生は,指導主事の学校訪問のとき,棒グラフと表について,次のように授業をしたという。

◆「東書」

(東京書籍『新しい算数3上』P.46)(1)教科書の「ぼうグラフのかき方」の手順に従い,教科書の棒グラフを完成させていった。

 一つ一つ確認する場面を設け,丸つけをした。

(2)次の練習問題�@では,先ほどの学習を使って,表をもとに教科書の棒グラフを完成させた(練習問題�Aは,横書きの棒グラフだったので,次時に取り扱うことにした)。

(3)最後に練習問題�@の棒グラフをノートに写すようにした。

 (3種類の見本も用意した)。

 続けて,小�ア先生は,次のように言う。

◆子どもたちは活動的だった。

 しかし,指導主事の先生に次のように言われた。

 私が先生の授業を受けたら,「あんなに一つ一つ区切るのではなく,自分一人でやるから考える時間を欲しい。一人で考えさせてくれと思う。」と思う。(文責・小�ア)というようなことを続けて言われた。それから授業について様々なことを言われた。こんなにも授業について批判を受けたのは,教師になって以来,初めてのことだった。

 私も必死に反論を試みた。しかし,向山型とは別の算数の授業をしてしまったため「子どもの事実」を見せることができなかった。それだけに反論も力のないものになってしまった。根本的な原因は,圧倒的な研究不足であったことだ。リズムも悪かったし,授業中で子どもの姿を見落としていることもたくさんあった。授業の力量不足でもあった。挙げ句の果てには,間違えた答えに丸をつけてしまった子もいて,その子を授業中,混乱させてしまった。これはもう授業技術以前の問題である。

 心構えが相当に甘かった。いい気になり,謙虚さに欠け,何とかなると思っていたのだ。

 問題解決学習を進めていこうとしている人の前で,それを否定する授業をするわけだから,それだけの覚悟をもって臨まなければいけなかったのだ。全く甘かった。

 少なくとも向山氏の算数に関する本を熟読すべきだった。

〈向山〉

 小�ア先生の授業は,向山と似ていながら,異なる部分がある。

 岐阜の浅野あけみ先生は,「挑戦論文」への便りの中で,次のように書いていたが,この場合も同じである。

 先日,D研のメールに,正木先生が「向山先生の思想を学ぶ」と書いてみえました。私は,今まで,「型」を知りたいと,ずっと思ってきました。でも,そうではないのですね。「逐一(ちくいち)説明する」一問一答式の授業に,ともすると,私は,誤解してしまいます。が,そうではなく,向山型算数には,子どもに自力で解かせ,自信をもたせる優しさがあると思います。でも,私の授業では,正解に導く,逐一(ちくいち)説明になってしまいます。

 どこがどう違うのか,分かりません。その辺りに,正木先生の言われる「思想を学ぶ」があるのだと思います。(浅野)

〈向山〉

 向山型指導は,「逐一(ちくいち)指導」ではない。

 1つ1つのことを,「噛んで含める」ような指導はしない。

 基本型は指導するが,後は,「やってごらん」という感じなのである。

 「向山はなまけもので,すぐに手を抜きたがる」と考えると分かりやすい。

 「方法」を「習得させるとき」,例えば,「わり算のアルゴリズムを身につけさせるとき」は,ステップが身につくまで,しつこくやる。

 しかし,それは,「大切な学習」の場面であって,「いつも,いつも」ではないのだ。

 「方法記憶」まで高めることと,そうでないことは,区別すべきなのである。

 さて,ぼうグラフのかき方を指導するときである。

 手順に従って「1つ1つ確認し,丸つけをする」ことは,向山はやらない。

 (飛び込みで,学力の低いクラスで教えるときにはやるかもしれないが…)。

 また,�@から�Dまでを,丸投げすることも,絶対にしない。

 「何をしたらいいのか分からない子」は,必ずいるのであり,目配りが必要だ。

 私なら,まず�@をやらせて,できた人から持って来させる。

 1人1人をチェックする。

 次に,�Cまで一気にやらせる。

 ただし,「�Cのやきゅうの棒を書いた人持っていらっしゃい」と言う。

 1つだけに限定してみる。

 次の観点だ。

 �@棒が,定規で書いてある。

 �A目盛りが正しい。

 �B2,3の項目が正しい。

 やきゅうのぼうグラフだけを見て,合格していれば,最後までやらせる。

 時間調整として,「早くできた子」に,棒を赤鉛筆でぬらせる。

 ぬり方をA,B,Cで評定する。

 極めて美しく書けている子がAだ。

 小�ア先生にはドラマがあった。

◆授業後,打ちひしがれる私を勇気づけてくれたのは,次の日の子どもたちの言葉だった。

 先生,算数って楽しいね。

 算数が苦手でも,作業が遅くても,線がうまく引けなくても,一生懸命がんばる子どもも,そう言ってくれた。心からありがたかった。この子どもたちに確実に力をつけられる教師になりたい,そんな授業ができるようになりたいと心から思った。

 数日後,指導主事の先生から葉書が届いた。授業へのご意見をいただいたことへのお礼の葉書への返信だった。葉書びっしり研究会の感想をていねいな字で書いてくださっていた。

 返信を期待していなかっただけに,とてもうれしかった。

 いつの日か,向山型算数でこの先生を納得させる授業をしたいと強く思う。

 そのためには,自分の実践を謙虚にふり返り,一歩一歩学び続けるしかない。

〈向山〉

 子どもたちは,「算数って楽しいね」と言ってくれたという。

 よい授業であったのだ。

 「ていねいで,分かりやすい授業」だったのだと思う。

 しかし,「熱中して取り組む授業」も,子どもたちに与えたい。

 指導主事からは,ハガキの返信がびっしりとあったという。

 素晴らしい先生だ。

 考え方は違ったとしても,学ぶべき点は多々あると思う。

 私も,若い頃,研究授業が終わった後,長文の手紙を講師に書いたものだった(ただし,あまりにもひどい講師には書かなかったが…)。

 そのときどきに,講師の先生方から,長いていねいな返事をいただいたものだった。

 それにしても,「逐一(ちくいち)指導は向山型でない」ことを,再度強調しておきたい。

 どの子も分かる授業を目指すということでは,「逐一(ちくいち)指導」になりやすい。

 しかし,「同時に勉強ができる子も熱中する授業」こそが,向山型なのである。

 「基本をきちんと教え」その上で,「ジャンプ」に挑戦させるのも,授業なのである。

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