- 特集 リズムとテンポが体に染み込む「ライブ体験」
- 計算スキル1つ1つのパーツがライブを通じて初めて理解できる
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- 酔いしれてはいけないライブ体験
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- 木村重夫氏に斬られ,鍛える祭ばやし!
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- 「本物」を見てイメージ化し,「模擬授業」を通して血肉化する
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- ミニ特集 向山型算数公開授業の「反響」
- 「授業の事実」は「空理空論」を駆逐する
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 「向山型算数」を名のるための条件
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
「向山型算数」を名のるための条件
向山洋一
向山型算数メールに大切な意見が出ていたので取り上げます。
昨日,うちの学校の算数主任が私に話し掛けてきました。「ちょっとAさん…これ見てよ。どう思う?」見せられたのは,算数の指導案。同じ市内の学校の研究会のものです。算数主任は,その研究会に助言者として呼ば
れていたのでした。
なんと,その指導案には,「法則化の実践です。ご指導・ご批判をよろしくお願いします」と書いてあります。
算数主任は,私が向山型算数を実践していることをよく知っています。(私が県算研の先生方から攻撃されそうになったのを,守ってくれた人です。)そこで,私に見せてくれたのでした。
「教科書通りに教える」「先生問題」
「そっくりそのまま写す」「指を差す」
「平均点を示す」「黒板を見て写す」
「あかねこ計算スキルで終わる」
等々,言葉上は明らかに「向山型算数」の授業として書かれていました。しかし,その中身たるや,向山型算数とは似てもにつかぬものでした。ぞっとしました。(さすがに,内容までは書くのをひかえます。)
主任「どう? 向山型算数って,こんな感じなの?」
A「いいえ,とんでもありません。これは法則化の実践と書いていますが,そんなはずはありません。」
主任「やっぱりね。おかしいと思ったよ。いくら何でも,これはないよね。実習生の方がましな授業をするよ。」
A「先生,この授業の助言に行くんですか?」
主任「そうなんだよ。勘弁してほしいよ…」
算数主任は,私にその指導案のコピーをくれて,「よかったらAさんだったらどう授業するか,(向山型で)書いてきてよ。たぶん,この授業者の人は,向山型だと思ってやってるのだろうから。」と言いました。
算数主任は,問題解決学習の授業をされる方です。でも,向山型算数については印象批判をしません。「いいものはいいのだ!
Aさんのやっていることを非難する権利のある人間はいないんだ!」と言ってくださいます。
その後,算数研究部の他の先生からも「Aさん,例の指導案見た?」と話しかけられました。「向山型算数って,ああいうものじゃないよね?」とその先生。やはり問題解決学習の先生です。「きっと,東京とか仙台とか,お金を出して遠くまで勉強にいってる人じゃないんだろうね。多分,雑誌とか本とかだけで分かったつもりになっているんじゃないかな?」とも言っていました。
昨日,向山型算数関連の本を全て読み返し,TOSSランドでも先行実践を探しました。やはり,例の指導案の参考にされたようなものは見つかりませんでした。
校内研で,批判覚悟で堂々と授業を行う姿勢は素晴らしいと思います。しかし,それが向山型でないのに「向山型」として提案されることが残念です。算数主任も同意見でした。だからこそ,私に意見を求めてくださったのだと思います。
その校内研はあさって行われるそうです。代案を算数主任にもっていっていただくことで,少しでも役に立てるかもれません。算数主任は,「うちの学校に,TOSSの先生がいるんだけれども,その先生の意見は…」と話すつもりだそうです。心して代案を作ります。
問題解決を実践されている先生から「向山型算数」への実践家としての清清しい対応を知り,ありがたく思いました。筑波大附属の坪田先生についで,お二人目の実践家らしい反応でした。
また,「法則化」を名のる若い教師への誠実な準備を知り,感謝の心でいっぱいです。
これは,本来私達,TOSSの教師が解決していくべき問題だからです。
問題の根本は,どこにあるのか簡単に述べて見ます。
私は,向山型算数とは教科書をその通りに教える方法だと述べました。但し,教科書を教えられる教師は1000 人に1人もいない,本音を言えば10000 人に1人だと書きました。「そんなことはない」と思った人もいるようですが,これは本当です。向山のライブを見た人は,「教科書を教えるとは,こんなに難しいのか」と実感したと思います。
落語を見ていて楽しいのですが,自分がやると難しいのと同じです。プロの域には軽く十年の修業は必要です。
私は更に,向山の授業は三つのパーツから成り立っていて,それぞれが十ほどの技術で組み立てられている,一つ一つをみがくことが大切だと言いました。
とりあえず分りやすいのは,「ムダな言葉を一切削る」ということです。何百,何千と口から出てくるムダな言葉を,チリクズに至るまで,削るということです。
自分の授業をテープにとり,「これなら大丈夫」と自分が納得するまで修業するのです。
私の授業をテープにとると,あまりのひどさ,言葉の多さにガクゼンとします。
私も,自分の授業を,テープにとって,文章にすることをやっていました。新卒の一学期からです。その記録は,私の資料集に入っています。自分のひどさを確認しなければ伸びないのです。自己満足で終わるのです。
私は更に,リズムとテンポの大切さを言いました。私の授業は,早口ではありません。
ゆったりとしています。しかし,一時間でカリキュラムの1.5 倍は進んでいるのです。
技術は本でも分るが,それを使いこなす技能はライブでないと伝わらないと主張してきました。
メールに流れた先生は,本を読んで分ったつもりになったようです。
しかし,それは無理なのです。
「落語の本」を読んで,落語がしゃべれるようになりますか?
無理です。
せめて,「テープ,CD,放送」を聞く必要があります。
そうすれば,少しはできるようになります。
でも,ライブで聞き,ライブで教えられるようにはなりません。
ポイントが分らないのです。
一回ライブを聞けば,すべてが分るでしょうか。
無理です。何回も聞いて,やっと「ポイント」が見えてくるのです。
ライブで学べば大丈夫でしょうか。
無理です。
自分で練習してみることが大切です。それも真剣にです。サークルでの模擬授業が一番いい方法です。五分でいいのです。
その五分こそ,技量をあげてくれる最高の学習方法です。
すると,「私は法則化だ。向山型をやっている」と名のるには,次のようなことをしなくてはならないと思います。
1.「向山型算数」誌や本の「向山の授業記録」を何度も読む。
2.本誌の「手ごたえ」の記録を読む。
3.向山の授業CD(十時間分程度)を,それぞれ十回以上聞く。
4.「向山型算数セミナー」「向山洋一教え方教室」に合計十回以上参加する。
5.TOSSサークルで十五回以上の模擬授業をする。
以上の条件のすべてをクリアすることが,「私は向山型算数をやっている」と表明する条件です。
月刊『向山型数学授業』9月号で,中学校教師三瓶貢氏は,次のように述べている。(雑誌は,TOSSランドNo.4000006 へ)
本とライブは大違い
荒れている学校を離れ,新しい学校に来た。このままではいけないと思い,雑誌で知った東京のセミナーに申し込んだ。一昨年のことである。井上好文氏の模擬授業,向山洋一氏の介入授業を見た。
衝撃的だった。教科書通り教えることがなんとむずかしいことか。今までそのような視点はまるでなかった。
『向山型算数教え方教室』を購入したり,メーリングリストに参加したり,ホームページを見たりしていた。自分では向山型をしているつもりが,一向にリズムとテンポはあらわれなかった。業者テスト80 点など夢の夢,自分には無理なのだろうかと思っていた。
東京のセミナーで知り合った高橋薫氏,西野一葉氏が北海道のセミナーに参加していることをメーリングリストで知った。今度仙台でセミナーを開くのでとTOSS中学宮城に誘っていただいた。
誘われるがまま出席し,サークルの例会で初めて模擬授業をした。仲間の模擬授業も受けた。あまりの差に愕然としてしまった。自分では算数教え方教室の本で勉強したつもりでいたが,リズムもテンポもまるでなく,まるで楽譜を見て音階や曲調が読めないのと同じように,本を読んだのと生で聞くのとは大違いだということがわかった。
本は大切な情報源だ。
多くを学べる。
しかし,「芸」の高いものほど,ライブで見ることが大切になる。
「活字とライブの差」,それにショックを受けることから,始まるのである。
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- 明治図書