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巻頭論文
算数授業へのこだわり
「そんな奴は最低だ」とどなった問題解決学習の教師が,来年指導主事になるという
向山洋一
算数の問題解決学習の教師のひどさを訴える親からの便りが続いている。
算数の問題解決学習をやる教師の多くは,「算数が分からない」授業をするだけではなく,仕事のやり方がデタラメ,人格的にひどい人らしい。
神奈川県の巨大都市にある小学校の母親からメールをもらった。
自分の子どもが,算数の授業中に「黒板を写すような奴は最低だ」と,どなられたという。6年生の教室での出来事だ。
どなられた子どもは,何人もいて,親は怒りのあげく,「PHP」誌に連載中の向山先生にメールを出そうということになった。
「PHP」誌の読者は百万人,その連載の中で私は,「算数の問題解決学習のひどさ」をとりあげている。
逆に「赤えんぴつ,ミニ定規」を使う担任なら,赤飯をたいて喜びなさいとその意味を説明している。
「先生のやり方って,すごいんだ」と,コピーを持ってきた子どももいるという。
主婦の友社から,『お父さんが教える算数』の高学年編が発刊される。
低学年編は再版になった。
「向山型算数指導」の本である。PHPからも,母親向けの向山型算数の本が出ている。
各社編集者の絶大な協力を得て,向山型算数は各方面に広がっており,「算数の問題解決学習」のひどさも知られるようになってきた。
神奈川の親は,我が子が「最低だ」とどなられたのである。
その教師は,来年(2003 年)には,指導主事になるのだという。
授業中に子どもに「最低だ」とどなりつける教師が算数の指導主事になるのである。
神奈川の昇任には,試験はない。校長二人などの推薦があればなれる。
実力でなるのではなく,推薦でなる。
どうなるかお分かりだろう。
上の方ばかり見て,オベッカを使う平目の教師がなっていく(ことが多い)。
上ばかり見てオベッカを使い,子どもには「最低だ」とどなっているのである。
算数の問題解決学習バリバリの教師だが,学年主任をして,学年会が夜の7時8時になるらしい。
無能の証拠だ。
時間通りに終えて,しかも中味が濃いのが有能な証拠である。
すぐれた教師は,時間の使い方もうまい。
駄目な教師ほど,時間が守れない。
5分でできることを30分も1時間もかけるのである。
しかも,上にオベッカを使って指導主事が内定した教師は,「夜遅くまで学年会をやる」ような見栄えで仕事をやっているのである。
上にどう思われるかが大切なのだ。
まわりの教師は大変だろう。
こんな人事がまかり通っているとしたら,神奈川の教育は,芯の部分がひどくなっている所があるのではないかと心配だ。
さて,神奈川の親からの訴えである。
その子(たち)は,小学校に入ってから,ずっと算数が苦手だった。
算数大嫌い,勉強も分らない状態だった。
多くは,算数の問題解決学習のためだ。
ところが,ある年の先生は,今までのやり方と全く違った。
教科書をていねいに教えてくれたのだ。
できない時は,「黒板を写しなさい」と言ってくれた。
写しているうちに分るようになる。
子どもは,学校に入って,初めて算数が分るようになり,算数がちょっぴり好きになったのである。
5点,10 点だったテストは,70 点,80 点をとれるまでに回復した。
ところが,今年,少人数学級のためクラスが解体され,一部の子どもが,学年主任の算数問題解決学習の教師に教わることになった。
親に言わせると,子どもが日に日に暗くなっていったという。
算数の授業がまるで分らないという。
「教科書は見てはいけない」と言われるので,わけの分らない話をぼーと聞いているだけだという。
苦痛の日々が続く。
算数の授業が全く分らないのだ。
しかも,練習問題は,ほとんど宿題である。
授業中やるべきことを,宿題にするのだ。
算数の問題解決学習とは,このようにひどい方法なのだ。
とりわけ,勉強ができない子,障害を持った子に冷たい。
こんな教師が,来年は市の算数の指導主事になるのである。
お母さんの話は続く。
わけの分らない授業をじっとがまんして聞いて何か月。やっと,分ることがあった。
ある子が,やり方を黒板に書いたのである。
あれなら分る。
その子は,黒板の計算をノートに写しはじめた。
その時である。問題解決学習の教師がどなったのは。
「黒板を写す奴は,最低だ!」
「向山先生,こんなこと許せますか。こんな人が,算数の指導主事に内定しているらしいのです。」
もちろん私は言った。
「絶対に許せない。」
そして,抗議の方法を教えた。
「ここまでひどいと,校長先生に言っても無理です。教育委員会に言いなさい。25%くらいは,とりあつかってもらえます。」
「しかし,親として絶対許せないというなら,市会議員,県会議員に実状を話し,教育長に直接訴えなさい。これは99%聞きます。」
但し,と私は言った。
「もし,『がまん』できるなら,がまんするのも一つの選択です。人生には,いろいろなことがあります。
つらいことでも,親がフォローして,子どもを強くしていくというのも大切なことなのです。
私は,このことを雑誌に書きます。もちろん,少し変化させます。
このようなひどい目にあっている子どもはいっぱいいますから,意味のあることです。
又,私は『算数の問題解決学習』のひどさを,その犯罪性を,しつこく,しぶとく書き続けます。
こうした点を考えて,『教師の中にあるひどさ』の改善に,もう少し時間をいただけたらありがたいのです。」
教師に悪人はいない。しかし鈍感な教師は山ほどいる。真実,事実が見えない教師も多い。その鈍感さ,その知性の欠如が子どもを傷つけている。
傷つけられているのは,弱い子どもたちなのである。
算数の問題解決学習を推進する教師は,犯罪的であると書き続けている。
自分一人でやればいいものを,人に押し付けるから犯罪的なのである。
しかも,校長,主任,指導主事の権力を使ってやっているから最悪なのである。
そうした犯罪行為に,TOSSは真正面から斗う。斗いだから,私たちが痛い目を見るときもあるだろう。
しかし,「子どもの事実」が,私たちを支えてくれる。力を与えてくれる。
私たちは,教師なのだ。
「できない子をできるようにさせる」ということでは,一歩もうしろにひかないつもりである。
もし,問題解決学習で「できない子をできるようにさせた事実」があるなら,私たちはそこからも学ぼうと思う。
しかし,これまでに,一例もないのだ。
算数の問題解決学習が,「5点,10 点の子を70 点,80 点,90 点にした事実」は,ただの一つも発表されてない。
むしろ,「点数など,とれなくてもいい」と言っている教師が多い。
「教師をやめろ! それが子どものためだ!」と,私は思う。
しかし,それにしてもである。
算数の勉強がわからないで,やっと黒板に書いた友だちの計算を写し始めた子に,「そんなことをする奴は最低だ」と,どなりつける人を,立派な人だと思えるだろうか。
子どもの悲しみはいかばかりだろう。
親の怒りは,どれほどだろうか。
算数の問題解決学習を私が駄目だというのは,「口先だけのきれいな言葉,実態としてのできない子,障害のある子の切り捨て」にあるのだ。
何というむごたらしい指導法か?!
この教師が,算数の問題解決学習の代表として,政令指定都市の指導主事になるという。
指導行政の人々は,何を考えているのだろう。こんな人間に,日本の教育を託しているのである。
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- 明治図書