向山型算数教え方教室 2002年4月号
「平均点90点」を実現する向山型ノート指導

V032

«前号へ

次号へ»

向山型算数教え方教室 2002年4月号「平均点90点」を実現する向山型ノート指導

紙版価格: 933円(税込)

送料無料

電子版価格: 839円(税込)

Off: ¥94-

ポイント還元20%

ファイル形式

PDF
ジャンル:
算数・数学
刊行:
2002年3月
対象:
小学校
仕様:
B5判 92頁
状態:
絶版
出荷:
ダウンロード
定期購読

目次

もくじの詳細表示

特集 「平均点90点」を実現する向山型ノート指導
『ノートスキル』の効果を倍増させる教師の指導
木村 重夫
1年/新・向山型算数ノートスキル1年
大坪 敏夫
2年/ノートスキルでやる気倍増!
春川 あゆみ
3年/百聞は一見に如かず
小池 哲也
4年/個別評定でぐっときれいになる
渡辺 佳起
5年/初めてのクラスでもすぐに効果が
平岡 大祐
6年/きちっと指導するためのポイント
大澤 智
ミニ特集 入門!「フレッシュ教師」のための向山型算数指導
進んで模擬授業に挑戦せよ
根本 直樹
なぜその指示なのか
馬場 慶典
あなたは算数の時間に涙できますか?
正木 恵子
9/10 の言葉の至らなさを自覚せよ!
星原 一宏
「授業の腕をあげる法則」に学べ
宮崎 京子
時間意識・追試・分析・ライブ
小貫 義智
グラビア
第15回向山型算数セミナー大宮会場 2001.11.3
村田 斉
〜原理は分けて,くり返し指導する〜
向山型算数キーワード
向山流テスト返しの指導
木村 重夫
論文ランキング
1月号
木村 重夫
巻頭論文 算数授業へのこだわり
小さなことも筋道を通す
向山 洋一
学年別4月教材こう授業する
1年
かずと すうじ
藤嶋 茂
なかまあつめ
菅野 裕紀子
2年
10がなんこあるかな?
日野 久子
たし算のしかたをかんがえよう
浅野 光
3年
九九を見なおそう
高杉 祐之
かけ算のきまり
山口 浩彦
4年
大きな数
小森 俊宣
一千万より大きな数を調べよう
高原 健次
5年
小数
千葉 康弘
小数と整数
山川 直樹
6年
整数の性質を調べよう
松本 隆行
倍数と約数
八巻 修
向山型算数に挑戦/論文審査 (第29回)
もっと言葉を削れ
向山 洋一
向山型算数実力急増講座 (第31回)
写真で見る百玉そろばんのテンポを高める微細技術
木村 重夫
向山型算数の原理原則と応用 (第31回)
定義は,変化のある繰り返しの「詰め」で習熟させる
大野木 一雄
向山型算数と出会ってTT授業・少人数授業が変わる (第1回)
子どもたちの熱中度が変わった!
平田 淳
向山型算数WEBサロン (第25回)
教科書通り教えて円周と直径の関係を求める
赤石 賢司
中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第25回)
4つのステップで教科書の基本型をらくらくマスター
井上 好文
『教え方大事典』を活用した算数授業体験
2年/かけ算っておもしろいね
鈴木 恵美子
3年/2学期の復習で,教え方大事典を活用する!
高橋 まゆみ
4年/教科書どおりの流れに追試を入れることにより「逆転現象」が生じた
戸井 和彦
5年/すぐれた論文をHP化して追試
杉本 任士
6年/「4+2」ここからドラマが始まった
新里 誠
中学/分けさせれば問題点がわかる
吉田 義章
もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第31回)
低学年
野中 伸二
中学年
飯塚 三千浩
高学年
廣川 徹
衝撃のライブ体験「向山洋一の介入模擬授業」を受けて (第1回)
自分の指導は我流だらけだった!
山田 仁
「基本型」にまっしぐら!
和嶋 一男
向山型算数セミナー
問題解決学習の結果は,カリフォルニアで実証済みか!?
板倉 弘幸
腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
できる喜びを与える「向山型算数」
持木 信治
落ち着いて勉強するようになった
二瓶 祐子
教科担任制で出会えた向山型算数
鈴木 滋雄
「向山型算数」がくれた幸せな時間
前島 康志
向山型算数=「やさしさ」+α
村山 由佳子
『短絡的だ!?』
野池 徹哉
すべては結果にあらわれる
坂口 慎英
自由投稿フリーページ
木村学級の算数グッズ
木村 重夫
実物ノートと指導のポイント
教師が実際にノートに書いてみること
下重 和也
読者のページ
教師の「気迫」を肝に銘じます
編集後記
木村 重夫赤石 賢司
TOSS最新情報
向山型算数に挑戦/指定教材 (第31回)

巻頭論文

算数授業へのこだわり

小さなことも筋道を通す

向山洋一


世の「算数問題解決学習」の「指導者」の中には,全く訳のわからないことを言う人がいる。

学校の校内研究で「向山型算数」を提言する。不思議なことに,いっぱいいる「問題解決学習」の先生が「研究授業」をすることは,ほとんどない。「向山型算数」はどこででも研究授業を引き受ける。

すると,「向山型算数」に対して「問題解決学習」の「元附属教師」とか「算数主任」とか「研究主任」が,意見やら質問を言う。

向山型算数をやると「今までテストで5点10点の子が80点90点をとるようになる。クラスの平均点も大巾に上昇する」という報告もする。

問題解決学習の人はそれに対して,次のように言う。

1)「点数で学力は測れない」

2)「数理を教えていない」

どちらも,問題解決学習を熱心にやっている教師から出される。

日本中ほとんど同じだ。どこでも出てくる。

すると,奇怪なことに気づく。

日本の大学,高校等の入学試験は,「点数」で示される。学力テストも「点数」で示される。

日本の教育界は,あげて「点数で測れない学力を点数で測っている」ことになる。

いや,日本だけではない。

先進諸国なら,世界中どこも「テスト」で「点数」で「学力を測り」「入学者」を決めている。

これら,日本中,世界中すべての「学力評定」の方法が間違っているということになる。

問題解決学習の主張だけが正しく,世界中は間違っていることになる。

文部科学省の「学力テスト」など問題外ということになる。何せ「テスト」で「学力」を測れないのだから,「学力テスト」という言葉自体がおかしいことになる。

「テストと学力」を結びつけないのが,問題解決学習の教師の主張だ。日本中でそのように主張している。

問題解決学習の(多くの)教師は,何とデタラメを言っているのかとあきれかえる。

もちろん,学力のすべてを一つや二つの方法で測ることはできない。

人間の学力の「ある部分」を測るのだ。そんなこと当然の常識である。

ある部分を切り取って,「教科」として教え,ある部分を「評価,評定」するのである。

それが,前提だ。

だから,「学力テスト」という言葉も全国あまねく通用しているのである。

料理コンテストでも,写真コンテストでも,芥川賞も,それぞれの能力のすべてを評定などできない。

ある部分に限定して,評価,評定をするのである。

まして,算数のテストは教科書で習ったことが,その範囲で出題されているテストである。

このテストが学力を測れないとしたら,一体どういう方法で測れるのか。

問題解決学習の学力論は歴史全体を敵にまわしている。

この一つだけでも変なのに,「数理を教えたことにならない」がくっつくと奇怪になる。

数理思想は,昭和10年,緑表紙の教科書から使われるようになった。

これは,「事象の中に数理を見い出し,事象を数理的に考え,行動する態度」を示している。

それを学ぶために,「教科書」が作られ,幾多の先人の努力で工夫がされてきた。

教科書は「数理思想」を身につけるための最良のテキストである。

何十年にもわたって,そうして作られてきたのだ。

それを学ぶことが,「数理思想を学ぶことにならない」などとなぜ言えるのか?

実に不遜な態度だ。何十年にもわたる多くの先人の努力を足蹴にするものだ。

私たちは「学力」という事象を「数理的」にとらえ,「5点10点の子が,90点100点をとるようなドラマが生まれた」と報告した。

実に数理思想に合っている。

しかし,問題解決の(一部の)教師は,テストで学力は分らないと言う。実に数理思想からはずれている。

問題解決の教師が,全国各地で主張している向山型算数への次の批判は,根本からおかしいのだ。

1)点数で学力は測れない

2)数理を教えていない

論理の根本となる,このような命題は,もっときちんと提出すべきだ。それが,数学を教えるものの誠実さである。

算数のテストで0点5点10点をとる子たちを,日本中で一人も救えないのが,問題解決学習である。

それは,彼等の論理が,思想が,根本からおかしいからである。

もちろん向山型算数の中にだって問題はある。「我流」のひどさが時に混在しているのだ。向山型算数を名乗ったからといって免罪されない。

向山型算数MLには,全国の教師の努力が流れている。その多くは,「地道な努力」ともいうべきであり,蓄積されてくると,大きな意味を持つと考えられる。

時には「オヤ」と思うこともある。

小さなことだが,きちんとすべきことだ。

福岡のNと申します。

うちのクラスでは,残念ながら,写すだけではできるようになった子の事実はありません。学力の厳しい子に,1学期から,「写していたらできるようになる。」と言い続けてきましたが,未だに成果は現われません。授業のま

ずさが如実に表れています。

もう一つ原因と考えられるのは家でもう一度その問題に取組んでいないことがあげられます。

他にも,写し方にも問題があるのではと思うようになりました。子どもたちを見ていると,例えば,わり算の筆算で商が2桁以上になる場合,上にある商をすべて書いてから,わる数,わられる数を写しています。

考えることなしに漠然と写しているので,なかなか,問題の解き方が入ってこないようです。

写し方にもコツがいるのでしょうか?

N氏の前提は次の命題だ。

A写すだけでできるようになる。

向山は,そんなことは一言も言っていない。

B写すこともお勉強です。

AとBは,全く異なる概念である。似ても似つかない。

子どもには,「教科書を使った正しい勉強方法」を教えるのである。

これは,一連の流れだ。システムである。

流れを理解すると,勉強の次の言葉に答えることができる。

C先生は,次にどんな問題を出しますか。(何といいますか)

Cは,子どもが「学習の流れ」をつかんでいるかどうかのチェックだ。

N氏がいけないのは,向山型算数を「流れ」としてとらえてないことだ。

「ブツ,ブツ」の「バラ,バラ」状態でとらえていることだ。

写し方にもコツがいるのでしょうか?

何というグロテスクな問い!

私は,しばし,呆然とした。授業をこんな風にしかとらえていないのか?と。

写していたらできるようになると言い続けてきたというが,私は,そんなことを子どもに言ったことは一度としてない。

向山の授業のテープを聞けば明らかだろう。

私は,「写すこともお勉強のうちです」と言ってきたのであり,「一番いけないことはノートに何も書いていないことです」と言ってきたのである。

「家でもう一度やってごらんなさい」などということも,多分,言ったことはない。

N氏と私は,授業が全く違う。

その違いは,絶望的なほどだ。

「この違いは絶望的なことだ」ということを自覚しなくては,前進はないのである。

大切なのは,「一連の授業の流れ」なのである。

その一つ一つの行為で,つまずく子がいる。「教科書を出せない」「ノートが開けない」「写せない」「続けて問題がやれない」…これらにテンポよく,リズムよく対応しなければならない。

わり算の筆算など,「書く順序」がきちんとしていて,ノートにもちゃんと書いてあるように全員分を確認するなど,当然のことだ。

そして,「練習問題」の時に,「時間内でできない子」が出てきて,「写すのもお勉強のうち」が出てくるのである。

「写す」のには,場所がある。時間もある。

45分授業で,「○○分後から何分間」と指定できるはずだ。

「写す」という大切な学習行為が,何か泥足でふみつけられている感じがして,淋しい。

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ