- 特集 脳科学が警鐘!「学校の常識」ここをチェック
- 特集のねらい
- 手段と目的を混同している学校現場をの脳科学の立場から検証する
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- 1―黒板周りに,前面掲示をするように指導される
- 現場教師から/教師の都合はNG。子どものための掲示物を考える
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- 専門家から/大好きな先生づくり
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- 2―板書は1時間の流れが分かるように,全てを書くことを指導される
- 現場教師から/特別支援を要する子がいる学級で「1時間の流れが分かるように,全てを書く板書」は有効なのか〜複数の障がい事例から考える〜
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- 専門家から/「たかが板書」「されど板書」−「書くことが困難」の理解と支援
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- 3―授業の初めに「気をつけ,礼」の号令をかけるよう指導される
- 現場教師から/形式だけを重んじるのは,子どもの実態を正しく見ていない証拠である〜学力は、授業の始まりに集中させ、やる気をもたせることで保障される〜
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- 専門家から/安心・安全な教室環境を構築するために
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- 4―学び合いの指導
- 現場教師から/「学び合い」では,発達障がいの子どもは決してできるようにはならない
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- 専門家から/学び合い学習への見解
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- 5―教室の机を常にコの字型にする
- 現場教師から/情報過多になる「コの字型」の机配置は,弊害が多い
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- 専門家から/様々な授業・学習活動に支障をもたらす
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- 6―漢字スキルではなくドリルを勧める
- 現場教師から/「漢字の覚え方」を教えることができるのは,「スキル」であって,「ドリル」ではない
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- 専門家から/特性を理解して教材を選び,笑顔でゆとりの授業を!
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- 7―宿題にたくさんの漢字練習を出す
- 現場教師から/量より質! 習得システムと復習システムで漢字を身につけさせる
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- 専門家から/子どもの学習スタイルに合わせた教え方を
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- 8―宿題で音読カードを使って音読練習をさせる
- 現場教師から/“読みきかせ”こそが効果を発揮する
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- 専門家から/学習障がいの子どもたちの音読指導とは
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- 9―算数の授業で,問題解決学習をさせる
- 現場教師から/土台を示し,場面を限定すれば,考えることができる
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- 専門家から/算数で発達障がいの子どもたちに問題解決学習法を行うことの危険性
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- 10―教科書を見させないという指導
- 現場教師から/教科書には上達論が内包されている。教科書をリズムよくテンポよく教える「向山型算数指導」はユニバーサルデザインの授業である
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- 専門家から/様々な種類の脳に対応するためには「整理された視覚情報(教科書)」が必要である
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- 11―甘やかしはいけない。厳しく指導する
- 現場教師から/望ましい行動を教えてほめよ
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- 専門家から/「厳しく」も必要だが,ワクに無理やりはめ込もうとしないこと
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- 12―時間割変更を平気で行う
- 現場教師から/急な予定変更は発達障がいの子どもにとって大変なことを,全校で理解しておく
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- 専門家から/慎重に,根気強く,そして基本方針を守って
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- ミニ特集 TOSSが手がける新しい「音声教材」の可能性
- ICT活用の特別支援教育に新しいムーブメントが起きる
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- イラスト,形,配置,全てに意味がありロジックがある驚愕の乳幼児教材
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- 発達段階に応じた歌唱教材を設定する〜「聴かせるための歌」なのか、「覚えて歌うための歌」なのか、目的に応じた条件を整え、教材を準備する〜
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- 「愛着形成を骨格とした教材」―これこそTOSSが開発する乳幼児教材の肝である
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- 乳幼児教材が社会を変える―世界初の教材が誕生した
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- すべてを調べ尽くした中から生まれた「一人ひとりを大切にする」音声教材
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- 乳幼児期の愛着形成を助ける音声教材群の展開〜乳幼児期の愛着形成を助ける新たな可能性〜
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- メロディ付インストラクションカードで親子のふれあいを創出する
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- ワーキングメモリの音韻ループを鍛える&パラ言語でミラーニューロンを鍛える音声教材
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- 4つのカテゴリーで愛着形成や言語能力を向上させる音声タッチシート
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- 知らず知らずのうちに幼児期に脳幹が鍛えられる「音声教材」〜身体機能、愛着形成、感覚統合の要素が満載の「音声教材」〜
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- グラビア
- 第5回 新型学級崩壊対策講座 ほか
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- 学校を変える校内特別支援教育通信 (第1回)
- 月に1回・30分の自主研修だから成功する
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- 写真で早分かり 子どもの特性に合わせた“情報伝達の構造化” (第19回)
- 「積み上げ型トークンエコノミー」
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- 〜評価が「つみあがる」ことを視覚的に示す評価法〜
- 教育の新課題と特別支援教育
- 子どもの未来を切り開く教師に
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- 巻頭言
- 特別支援教育コーディネーターを常駐させる。専門職として育てていくことが絶対に必要である。
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- 『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第18回)
- 「視機能」の知見を活かした授業つくり
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- 『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第14回)
- ほめる!ほめる!ほめちぎる!
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- 〜食事指導は1ミリからの挑戦〜
- 子どもに力をつけるTOSS教材教具
- 〈1分間フラッシュカード〉全員が熱中し、楽しく覚えられる
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- 〈アタマげんきどこどこ〉激変!教材の力が子どもをいい方向に導く
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- 〈特別支援・場面別対応事例集〉子どもの日常場面をもとに、効果的な対応・NG対応が演出形式で学べる特別支援教育入門テキスト
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- 〈TOSSメモ〉TOSSメモは子どもに成功体験を与え、やる気を起こさせる最強アイテムである
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- ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第12回)
- 「母と子の歴史」を認め「プラス1」
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- わが子の発達障がいを受容する日までの道のり!
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- 私は,この本をこう読んだ (第12回)
- 『生徒に『私はできる!』と思わせる超・積極的指導法』長谷川博之著(学芸みらい社)
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- 〜特別支援のシステム作りに役立つ一冊〜
- 『自立をかなえる!〈特別支援教育〉ライフスキルトレーニング実践ブック』梅岡雄二編著(明治図書)
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- 〜小・中・特別支援学校での具体的な実践例に学ぶ〜
- 特別支援教育を視野に入れた学校づくり (第11回)
- 3つの柱による校内体制づくり
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- 〜自校の事例から〜
- TOSS特別支援教育を知る前と後 (第4回)
- TOSS特別支援教育は精神的支柱
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- 成功体験を積ませることで,子どもが変化した
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- 学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第16回)
- DSM−WからDSM−Xの時代へ
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- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第33回)
- 翔和学園の診察同席レポートの書き方
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- 〜一流の先生3人による合わせ技から生まれたフォーマット〜
- 続・中学校を改革する 特別支援教育で中学校が変わる (第4回)
- 問題行動の「機能」を特定し,積極的に予防的対応を行う
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- 若手女教師の特別支援教育奮闘記 (第4回)
- やることを明確にして,短いスパンでほめる
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- 発達障がい児への食事指導 (第4回)
- 教師の共通理解
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- 発達障がい児へのキャリア教育/就労指導 (第4回)
- 小学生・中学生段階のキャリア教育
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- 特別支援学級経営&授業づくりのポイント (第2回)
- 授業を安定させる3つのこと
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- 誌上QAコーナー こんな時どうしますか
- 友だち関係をうまく築くことができない高学年の子への対応
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- 〜先生が仲介役になり他の子とつなげていく〜
- 特別支援学校・特別支援学級コーナー
- コーナー担当
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- 特別支援学校の実践
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- 〜教材を工夫することで、知的障がいのある児童が主体的に活動できるようになる〜
- 特別支援学級の実践
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- 〜一人で学習できるシステムを創る!〜
- 特別支援のモノ・ヒト・コト (第3回)
- 【島根県】島根県の特別支援教育における「医教連携セミナー」について
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- 読者のページ
- 42号の学びや感想
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- 編集後記
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- この号のバックヤード (第3回)
- 深読み人への関連情報
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- どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
- ノーベル賞級の発想と向山氏絶賛の教具! 輪郭漢字カード
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巻頭言 特別支援教育コーディネーターを常駐させる。専門職として育てていくことが絶対に必要である。
福井県福井市国見小学校/吉田 高志
◆乱暴な行動をとるA君
気に入らないことがあるといきなり暴力を振るうA君。興奮すると,親が迎えに来るまで帰宅できなかった。
調子が悪いときには,朝から職員室で預かり,勉強も教えた。
間違えることを極端に嫌い,間違い直しをさせようとすると,ノートを床にたたきつけた。
医療機関にかかるようになり,少しずつよい変化が出てきたが,変化はゆるやかだった。
腹を立てたことがあると,廊下のロッカーを蹴りながら職員室まで歩いてきて,
「むかつくんじゃ」
を連発した。落ち着かせて教室に帰すには,最低でも2時間が必要だった。
このようなことが毎日続いた。1日に2度あることも多かった。
教室で,落ち着いて授業を受けることができるようになるのに3年かかった。
◆不登校傾向のB君
突然不登校になったB君。
担任の働きかけもあり,ようやく学校にやってくるようになった。
とはいえ,学校に入れるのは一苦労である。毎回,出迎えを必要とした。
登校時間は,ばらばらであった。授業を抱える担任では対応できない。
結局,教頭である私が対応するようになった。相談室に入れて話を聞き,ゲームをやり,勉強も少しずつ進めた。
学校から帰る時間も問題だった。
1時間で帰ると言い出す日もあった。説得して午後までいることもあった。給食も食べたり食べなかったりした。
その度に,保護者と連絡を取る必要があった。もちろん私一人で対応してきたわけではない。支援員や無担任に助けられてのことである。
B君が,学級に復帰するのには半年が必要だった。
◆信頼できる大人が一人いること
同じような事例は数多くあった。複数の事例が並行して進行していることもあった。
共通して言えることは,担任だけの対応には限界があるということである。
特別な支援を要する子にとって,必要なのは,次のことである。
信頼できる大人が担任以外にもう一人いること。
教室で興奮した子には,気持ちを落ち着かせる場所と気持ちを落ち着かせる大人が必要である。
ところが,この仕事を担当する教員が,学校現場にはほとんどいない。多くの学校では,教頭や校長が担当している。
もちろん,特別支援教育コーディネーターはいる。
しかし,対応できる範囲は限られている。コーディネーターの多くが担任を兼任しているからである。授業中に起こっていることには対応できないのである。
◆専門機関につなぐ
専門機関との連携も重要である。
福井市の場合には,県の特別支援教育センター,特別支援学校の教育相談チーム,市の指導主事などが相談に乗ってくれる体制ができている。不登校の子どもたちに対しては,チャレンジ教室という機関もある。
大変ありがたいことである。
とはいえ,専門家や専門機関につなぐのは,簡単ではない。親の了解が得られないからである。
学級での不適応が強い場合,私は次のような手順を踏んできた。
@支援員をつける。
A個別指導を入れる。
B専門機関による観察を提案する。
C専門機関による検査を提案する。
D専門機関による観察や検査結果を親と一緒に聞く。
まず,学校としての最大限の努力をする。
その上で,専門機関の観察や検査を親に勧める。
ただし,これは担任に任せておけることではない。下手をすると,担任と親の信頼関係にひびが入る恐れがある。多くの場合,教頭である私がやってきた。
専門家を交えた話し合いまで持ち込むことができれば,親の理解も得られる。学校と親が連携した取り組みもできる。
ただし,ここまで話を進めるには,短くても4ヶ月はかかる。
◆特別支援教育コーディネーターの常駐
現状では,特別支援を要する児童への対応の多くを管理職が行っている。
このような状態が続いているのは,決して望ましいことではない。管理職には管理職の仕事がある。
特別な支援を要する児童への対応には,高い専門性が必要となる。継続して係わっていくための時間も必要である。
特別支援教育コーディネーターを常駐させる。
これが絶対に必要である。相談の会議を何回開いても現状は変わらない。
人を配置することである。
(事例は,脚色をして内容を変更しています)
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