特別支援教育教え方教室 2014年8月号
42号 “支援か指導か”迷う場面=QA相談28例

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特別支援教育教え方教室 2014年8月号42号 “支援か指導か”迷う場面=QA相談28例

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2014年7月23日
対象:
幼・小・中・他
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
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目次

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特集 “支援か指導か”迷う場面=QA相談28例
特集のねらい
Q&Aは、昔からの重要な『教育方法』である
桑原 和彦
1 『発達障がいの特性に応じた教師の対応Q』
Q1 小学生と中学生とを比べて,共通点と相違点を教えてください。
A:対応の原理・原則は同じだが、中学校には固有の困難さがある。
井上 好文
Q2 しょっちゅうちょっかいをかける子がクラスにいます。
A:まずは、衝動的な行為が出にくい授業の組み立てを考えること。
小野 隆行
Q3 興味のあることに集中してしまい,私の指示が聞けません。
A:「こだわり行動」の分類を確定し、共感的対応により、「誤学習」を防ぐ。
小嶋 悠紀
2 『教師同士に関係したQ』
Q4 通常学級を持てない教師が担当するものという考えが職員間にあります。
A:闘いは「自分自身」と実践に於いて行う。
伴 一孝
Q5 ケース会議や話し合いを持っているのですが,今ひとつ共通理解が図れません。
A:何度も同じことを言い続けることで共通理解していく。
間嶋 祐樹
Q6 学習のきまりについてです。本校は「3年生以上は赤ボールペンでも可」というきまりです。
A:特別支援の子にとって、赤ボールペンは赤鉛筆よりもリスクが大きい。
山 佳己
Q7 準備しておく「おススメのモノ」を教えてください。
A:TOSS教材と百均で、ソフトとハードを揃える。これだけあるとすぐに子どもたちに対応できる。
川原 雅樹
3 『教科・教材に関係したQ』
Q8 フラッシュカードについてです…ハイスピードに,子どもがついてこれるのかどうか心配です。
A:実態をとらえ、ねらいを明確にし、方法を様々に考えること。
谷 和樹
Q9 サッカーやドッジボールといったチームでの活動場面でのトラブルが絶えません。
A:負けを認める指導と、ルールの工夫〜我慢できたらほめること〜
甲本 卓司
Q10 ほぼ毎日百人一首をしています。しかしどうしても負けを受け入れない児童がいます。
A:まずは、30日続ける。100日続ければ必ず効果が現れる。それまで万策を尽くせ。
椿原 正和
Q11 校内研究で『単元を貫く言語活動の研究』をすることになりました。
A:国語力を高める発問を通して、パンフレットづくりの取材をさせる。
松崎 力
Q12 「協同作業」場面でのトラブルが多いです。
A:その子の「すごい」「面白い」面を見つけ、プロデュースする。
河田 孝文
Q13 お手本を見ても簡単な平仮名を書くことができません。
A:子どもの認知・発達過程を見ての手立て
神谷 祐子
4 『小学校での発達障がい児に関したQ』
Q14 自分の思いどおりにならないとすぐキレてしまいます。
A:問題行動を分けて対応すること。そして「教えてほめる」こと。
高野 宏子
Q15 自分の前に一人でも他の子がいると1秒も待てません。
A:ほめ、自己肯定感を高め、耐性をつけていく。〜教師は平然と構え、少しでもできたらほめ、できた瞬間をほめていく〜
関根 朋子
Q16 知的障がいはなく多動傾向ありと診断されています。
A:感情と行動を分けて教えてあげる。
大関 貴之
Q17 廊下を通る時に自動車になった気分で「ウウ〜〜〜」と大声で…
A:「時と場合による」。まずは行動の背景を考え、それに応じた対応をする。
樋口 正和
Q18 お楽しみ会や体育のゲーム等,ルールが守れません。
A:ルールを守って遊ぶことの楽しさを体験させよ!!
星野 裕二
Q19 漢字テストは100点でないと受け入れられません。
A:すぐれた教材や指導によって、安定と自信を導いてやることです。
木村 重夫
5 『中学・高校での発達障がい児に関したQ』
Q20 中学校1年生で完全緘黙の女生徒がいます。どのような方針で指導していくべきか…
A:意思疎通はできる方法で行い、話ことを無理強いしない。
進士 かおり
Q21 些細なことで切れて授業中も教室や廊下で大暴れします。
A:警察との連携と傾聴の姿勢で対応する。
吉原 尚寛
Q22 授業中,些細なことで「あっはっは」とかん高い声で笑ったり…
A:ゲームのルールを通して指導、その後「ほめる」。
田上 善浩
Q23 個別に話をするとすぐに怒り出し…教師の対応方法について怒鳴ります。
A:支援の場面を3つに分けて対応する。
佐藤 泰弘
6 『特別支援学級・学校での発達障がい児に関したQ』
Q24 何人もの児童が教室にいる場合,個別対応が難しいところがあります。
A:小刻みに指導し、作業の時間を確保する。
平松 孝治郎
Q25 いざとなると登校できず,そのたびに何かと理由をつけて人のせいにしています。
A:まずはその子にとって今日一日が「楽しかった」「安心できた」と思えるようにかかわっていく。
西村 純一
Q26 自立活動で悩んでいます。どのような自立活動が大切でしょうか。
A:子どもの実態に合わせ、自己抑制スキルとコミュニケーションスキルを重視する。
川口 達実
Q27 鉄棒やなわ跳びなどの運動が継続しません。
A:「ミッション」では続かない。どの刺激を増やすのか考え、子どもが楽しめる活動を取り入れることが大切である。
加賀谷 晃子
Q28 グループの一人の男子をやたらと気にします。
A:他人の気持ちを理解することは難しい、ということを理解して、適切な行動を教える。
富山 比呂志
ミニ特集 通知表所見欄の表記
読み上げるとクラスの誰のことを言っているのか分かるほどの具体的内容が必要〜そのための記録方法の工夫〜
五十嵐 勝義
具体的な事実をもとにほめる所見の書き方
団野 晶夫
子どもと保護者の思いを生かす事実を作ってほめる
赤石 賢司
子どものよさを見逃さず,文章で書いた記録をもとに,よい所を具体的に記述する
井戸 砂織
伸びたこと,努力したこと,よさに焦点を当てて書く
上木 信弘
いいことしか書かない。具体的に書く
田村 治男
「子どもの行動の変化を具体的にほめる」ことで,子どもの自尊感情を向上させる
千葉 康弘
所見は,愛おしい子どもたちへのラブレターである
近江 利江
保護者の思いに沿いつつ,子どもの見方を伝える所見
奥田 純子
マイナスをプラスに!―子どもを変える所見の書き方
大森 和行
グラビア
第2回TOSS全国1000会場教え方セミナー
小野 隆行
子どもが変わった教師の対応力
その子に必要な「モノ」を用意し、継続する「時間」を設定する
桑原 和彦
写真で早分かり 子どもの特性に合わせた“情報伝達の構造化” (第18回)
特別支援学級の授業の進め方
小嶋 悠紀
〜具体的に見通しの持てるシステム・自学ができるシステムを導入する〜
教育の新課題と特別支援教育
特別支援級の子どもは,「学童が嫌い」と訴える。いじめられるからだ
向山 洋一
巻頭言
何をどう教え,何をどうほめるか
酒井 臣吾
〜シナリオ「先生の顔」から考える〜
『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第17回)
両者の得意と不得意から,連携を考える
和久田 学
『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第13回)
望ましい行為はやってみせ,無くしたい行為は置き換える
佐藤 学
子どもに力をつけるTOSS教材教具
〈TOSSメモ〉作文が苦手な子も千字程度の作文を書くことができた
臼井 崇
〈アタマげんきどこどこ〉情緒の安定に効く!コミュニケーションツール
牧山 誠一
〈ワークテスト・国語〉他にはない工夫が満載のワークテスト
井上 敬悟
〈あかねこ中学読解スキル〉エラーレスで高校生の意欲も喚起した「解き方」
坂本 佳朗
ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第11回)
共感,子どもの事実,情報提示で保護者の「信頼」を得る
西尾 文昭
能力や可能性を保護者に伝える
田中 すみ枝
私は,この本をこう読んだ (第11回)
『みんなの自立支援を目指すやさしい応用行動分析学』高畑庄蔵著(明治図書)
上野 一幸
〜応用行動分析を学ぶと、子どもを見る目が180度変わる〜
『明日』佐倉淳一著(角川書店)
高橋 正和
〜読んだ翌日から、あなたを悩ませているあの子が愛おしくなる〜
特別支援教育を視野に入れた学校づくり (第10回)
間違った学習規律が子どもと教師を苦しめている
吉田 高志
TOSS特別支援教育を知る前と後 (第3回)
児童に対する対応が変わり,子どものパニック回数が激変
古井 貴子
「教えて,ほめる」で子どもは変わる
堂前 直人
学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第15回)
授業における刺激対策とは?
平山 諭
〜検査の報告書を読んでみよう!〜
教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第32回)
パニックを起こしている生徒への指導・実況中継
伊藤 寛晃
〜ノートに言葉を書き込みながら生徒の思考を整理する〜
続・中学校を改革する 特別支援教育で中学校が変わる (第3回)
共にアセスメントを重ねて,思い込みを外す
長谷川 博之
若手女教師の特別支援教育奮闘記 (第3回)
「保護者の安定⇔子どもの安定」という視点
岸上 水月
発達障がい児への食事指導 (第3回)
安心な食事環境づくり
河村 要和
発達障がい児へのキャリア教育/就労指導 (第3回)
進路指導と現場実習
富山 比呂志
特別支援学級経営&授業づくりのポイント (第1回)
「交流中心」と「支援学級中心」−2つの型から考える
野口 澄
誌上QAコーナー こんな時どうしますか
周りの子と同じように行動できない子への対応
平山 諭藤原 能成
〜行動の裏に隠れている理由を考えて対応することがポイントとなる〜
特別支援学校・特別支援学級コーナー
コーナー担当
五十嵐 勝義間嶋 祐樹
特別支援学校の実践
大恵 信昭
〜特別支援学校の子どもたちに、ヨーガでセロトニン5をかけていく〜
特別支援学級の実践
毛利 康子
〜その子が集中できる教材を選ぶ〜
特別支援のモノ・ヒト・コト (第2回)
【沖縄県】専門家(ヒト)、特別支援の資料(モノ)からの最先端情報をキャッチし、対応について練習(コト)することで身に付けていく
太田 輝昭
読者のページ
41号の学びや感想
桑原 和彦
TOSS特別支援教育イベント情報
桑原 和彦
編集後記
桑原 和彦
この号のバックヤード (第2回)
深読み人への関連情報
小野 隆行
どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
生活科や理科の授業で大活躍! わくわくずかん こんちゅうはかせ・しょくぶつはかせ
桑原 和彦

巻頭言 何をどう教え,何をどうほめるか〜シナリオ「先生の顔」から考える〜

酒井式描画指導法研究会/酒井 臣吾


酒井式シナリオの中で追試が一番多いのが,「先生の顔」である。「友だちの顔」や「自画像」「家族の顔」も含めたら,圧倒的な追試の数になるだろう。しかも,そのほとんどが成功し,子どもたちの大きな満足感の中で終了しているのである。その理由は何か検討してみよう。

まずその第一は,徹頭徹尾「教えてほめる」ことを貫いているからである。

鼻の描き方を徹底して教える。完成したらほめる。口の描き方を徹底して教える。完成したらほめる。こうして進めると,描き終るまで最低でも13回はほめることになる。

というよりも,これは意図してほめる時と場を設定した形になっているといっていい。

第二は,シナリオ全体に「全員合格」の原則を厳しく課していることである。

これは当り前のこととも思えるだろうが,特に表現の苦手な子に対する配慮は実に細やかで,その上かなりしつこい。

これだけやれば,視覚認知の弱い子を含め,現在明らかになってきた発達障がいの子もきっと描くことができるだろうと思えるのである。くわしくは後述する。


ここで少しだけ,このシナリオが生まれた背景について述べておきたい。

私が35歳の時に行った指導主事訪問時の授業研究で,このシナリオの骨格ができた。

初めての一年生担任。クラスは45名の大人数,しかも全く絵を描こうとしない子が2名いた。この2名は現在でいえば,軽い自閉症と精神遅滞であったと思われる。

今から45年前。当時は自由画全盛時代で,絵は教えるものではないという指導がくり返されている中でのこの授業,今思えばかなり無鉄砲な授業であった。しかし,どうしても自由と称して放任している状態に一石を投じたかったのである。そんな訳で,この授業の作りは,これでもかと思うほど細かく教えまくる。指導過剰と言われることを覚悟の上で,これでもかと教える内容を並べたてている。

むしろ,そのことが生き残る原因になったとも考えられる。

まず,何をどう教えるかを見てみよう。

教える中味は「部分」に限定される。もっと言えば,部分の部分といってもいい。

例えば鼻である。鼻を描かせる前に鼻を教えない。鼻を三つの部分に分解して教えるのである。鼻の穴,小鼻,鼻柱の三つである。口を描く時は,上唇,下唇,歯の三つに分けて教える。分割の上にも分割である。

しかもそれらを見せる時は,他のものは見せない。いらない情報は一切遮断する。子どもたちはひたすら部分に集中すればいいわけであり,これは部分認知しかできない子にとっては実に有効な手段となっている。

また,部分と部分,つまり目や鼻の大きさや位置関係などは全く無視されている。目が大きすぎるとか,鼻の割には口が大きすぎるとか,左の目と右の目の大きさが違うとか,又は,目と目が離れすぎているとか近づきすぎた等々,そんなことは一切かまわない。

その上,描く前には,そのパーツにしっかり触らせて触覚の上でも認知を補う工夫までしている。あの時代によくこれだけの濃い指導を組み立てたと我ながら感心している。


次に「ほめる」ことに関して言えば,前述したように,ほめざるを得ない構成になっている。はじめに描くのは鼻の穴が二つだけ,つまり円が二つである。あれだけ見たり触ったりしたのだからマルを二つは描ける。それでも描けなかったら手を取って描いてあげればいい。大きかろうが小さかろうが,ゆがんだ円であろうが,そんなことは一切かまわない。力強く,しかも断固としてほめ上げるようシナリオには明記してある。

描くものがギリギリに限定され,五感を動員してゆっくりとした線で描き進めるのである。やってみればわかるが,部分が積み上げられ次第に顔の全体がみえてくると,子どもたちの意欲は自然に高まってくるのがよくわかる。

特に,目と眉が描かれた時に教室の空気は一気に変わる。子どもたちの机上に出現した顔,顔,顔。異様なほどの生命感をもって押し寄せてくるような感じがする。私などはこの時の感動をそのままぶっつけて「バンザーイ」などと叫んでしまうほどである。

いつも思うのだが,教師の感動ほど最高のほめ言葉はないのではなかろうか。

こうして,ほめられ続けた子どもたちは,絵が完成した時は自分の絵をかざしてピョンピョンと跳ね回る。この様子は何度見ても飽きない。

このように,正解のある教科ではほめられにくいことも,絵の指導では教え方次第でいくらでもほめられる。ほめることのくり返しで子どもたちには強い肯定感を与えることができるのである。

その意味でも,この「先生の顔」や「友だちの顔」「自分の顔」などを是非追試してみていただきたい。


私は杉山登志郎氏の「彼ら(自閉症者)は異文化であっても異星人ではない」という考え方が好きである。

異星人でない限り,ほめられればうれしい。叱られれば悲しい。成功すればうれしい。失敗すれば悲しいのである。

いつも教師を困らせているどんな子どもも異星人ではないのだ。よく噛みくだいたものを具体的に与え,その表現が終ったら思いっ切りほめられるこの教材を是非実践してみていただきたい。必ず子どもたちの肯定感は高まってくるだろう。

私も障がい児のみならず,グレーゾーンの子も,そして健常児も,全ての子どもたちが,自らの自尊感情を育めるようなシナリオを創っていきたいと考えている。

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      明治図書
    • 支援か指導かは、日々悩みどころです。どんなQ&Aが読めるのか、今から楽しみです!
      2014/7/1つばさ

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