- 特集 発達障がい児の「自立」―本気で挑む教育実践
- 小学1年生
- この子たちに力をつけ,笑顔を与えてやれるのは,自分しかいない
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- 自信をもたせながら言葉を教え,目で字を追わせていく
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- 小学2年生
- できるようになるまで根気強く「教えてほめる」
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- 家庭との連携を密にしない
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- 小学3年生
- 「書く」ことが苦手な子が直写ノートで変わった
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- 9歳の壁を突破する第一の方策は向山型指導法とTOSS教材である
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- 小学4年生
- 自立の3つの目標を意識し,教室で実践する
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- 「授業の原則 第十条=激励の原則」を意識し続ける
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- 小学5年生
- 手数が多ければ,子どもに合わせた自立支援ができる
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- 「適切な指導」と「予防策」が子どもを成長させる
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- 小学6年生
- トラブルの原因となるこだわりを認め対応する
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- 学習への参加方法を教えることで自信をもたせ,進学への不安解消の対策を取る
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- 中学1年生
- 一緒にいることで見えてくることがある
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- 部活動でも「教えて,ほめる」を繰り返し,できることを増やす
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- 中学2年生
- 特性を理解した上での対応が心理的な安定をもたらす
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- どんな子だって成長させる
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- 中学3年生
- 自閉症児の「よい行動の選択肢」を増やす
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- 中3開始までに全体を「自立」させておくことである
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- 高校生
- すべての教師ができることを,すべての教師が身に付け,すべての教師が実践する
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- 叱っても何も変わらない。「勉強の方法」を教える。どんな生徒だって,できるようになりたいと思っている
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- 1時間の中でどれだけほめられるか。ほめ続けることで自信をもたせる
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- 特別支援学級
- 特別支援学級から通常級で,一人で過ごせるようにする
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- 一人一人の子どもに合わせた「自立」を考える
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- 「受け身」から「できることは自分で行う」へ
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- 特別支援学校
- 個別指導の方針は,教員の具体的行動を示せる程度まで絞り込まねばならない
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- 集団の一員であることを感じさせるマスゲーム
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- A君が職業自立できたわけ
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- 訓練ではなく,楽しいコミュニケーションの指導をする
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- ミニ特集 医師との連携で“見える化”する教師の仕事
- 宮尾益知ドクター
- どんな発達障がいかを想定して対応をする
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- 「判定」で終わるのではなく,「対応」が大切である
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- 「共感する」「相手の得意に入る」「ほめ続ける」ことで変化した
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- 「君はこう思ったんだよね」と気持ちを言ってあげ,子どもの行動を見えるようにする
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- 川端秀仁ドクター
- 漢字の習得に関する認知を分析し,つまずきを追求する
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- 「見え方」を理解することが急務である
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- 平岩幹男ドクター
- ゴールは自己肯定感(セルフ・エスティーム)の高い子に育てること
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- 医師・専門家の知見を根拠に,就学時健診が変わった!
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- 伝授 困っている子どもたちを救う教師の仕事
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- できていなかった! 子どもを理解することとほめること
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- 大野耕策ドクター
- 医療からだけでなく,学校からの発信も含めたツーウェイが,医―教連携である
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- 米子の地から特別支援教育の新たな提案を!
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- 家島 厚ドクター
- 事例の豊富な医師からの助言は即効果が期待できる。その指導は向山型と一致する
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- 指導の原則がある―そこを拠点として様々な事例から自分の指導法を強化していくことが必要であるー
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- グラビア
- 第24回日本教育技術学会つくば大会ほか
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- ギフテッド もう一つの特別支援教育 (第4回)
- 認知特性を知ることで才能を伸ばす
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- 〜「認知面の長所」活用型指導を考える〜
- 写真で見る構造化 分かりやすい情報伝達の工夫 (第4回)
- 「iPad」でビジョントレーニング―iPadが秘める無限の可能性を開花させる―
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- 教育の新課題と特別支援教育
- 感動とやる気をよんだ日本教育技術学会での特別支援への報告
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- 巻頭言
- 教師が作り出してきた方法・技術と教育・医学の連携が特別支援教育を激変させる
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- 『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第3回)
- 事例から見る支援への提言
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- 子どもに力をつけるTOSS教材教具
- 〈ペーパーチャレラン〉気になることがあっても,集中してしまう魔力
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- 〈うつしまるくん〉10分間スピードチェックのチカラ
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- 〈おてほんくん〉あの子が飛びついた,あの子が夢中になった
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- 〈輪郭漢字カード〉ひらがなが読めなくても漢字が読める
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- 若葉マーク必見―これだけは知っておこう 特別支援教育の基本用語 (第1回)
- そもそも“特別支援教育”って?
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- 【最新】特別支援教育―最新用語や最新情報 (第1回)
- CHC理論とWISC-Wの登場
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- “あの有名人”も実は〜 教室で読み聞かせ:元気が出る実話シリーズ (第3回)
- 「坂本龍馬」人は変わることができる:教えられ,よさを認められて伸びていく
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- 特別支援教育で学校は変わる (第13回)
- 特別支援教育コーディネーター 最前線!
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- 学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第1回)
- 脳の報酬作動系を育てよう!
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- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第18回)
- 教室を飛び出したり休み時間にけんかしたりする子どもへの指導
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- 〜子どもが学校の中で一番落ち着ける場所や落ち着いてできることを把握しておくことが大切である〜
- コーディネーターのお仕事拝見 (第7回)
- 生徒指導にかかわる
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- 誌上QAコーナー こんな時どうしますか
- 若い教師はこんなことで困っている ベテランから若い教師へ向けてのQA
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- 特別支援学校・特別支援学級コーナー
- コーナー担当
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- 特別支援学校の実践/知的障がい特別支援学校(中学部,高等部重度知的障がいグループ)の歌唱学習システム
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- 特別支援学級の実践/TOSS教材のパーツで授業を構成する
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- 論文ランキング
- 27号/本誌でも医教連携を進めていきます ドクターの論文が2本ランクイン
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- 読者のページ
- 27号の学びや感想
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- 編集後記
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
- 『直写』の教材です。東アジアに伝えられてきて、日本は戦後ほとんど捨ててしまいました。わずか写経に残りました。幾百、幾千のこの伝統学習法をTOSSは教育に復活させました。
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巻頭言
教育が作り出してきた方法・技術と教育・医学の連携が特別支援教育を激変させる
長岡造形大学教授/大森 修
『特別支援教育教え方教室』28号は,ふたつの点で画期的である。
実践の校種を小学校から高等学校までとしている。その上,特別支援学級と特別支援学校もカバーしている。
さらに,小・中学校はすべての学年の実践を公開しようとしている。
このような企画はあるようで,実は希有である。特別支援教育は,個人のニーズに対応した個別指導が主だからである。
個別指導では解決できない課題への対応が緊急であるという事態が明らかになったのは10数年来の話である。
通常学級における発達障がいのある子どもの対応が,喫緊の課題と認識されたからである。
・うつしまるくん ・直写スキル
・輪郭漢字カード ・漢字,計算スキル
これらの教材は,喫緊の課題を大幅に緩和させることに貢献している。
第一の理由は,通常学級に在籍している発達障がいに共通している次の項目に対応しているからである。
・視知覚の課題 ・空間認知上の課題
・協調運動上の課題・短期記憶上の課題
・言語認知上の課題
発達上の課題に対応しているというだけでは,効果は半減する。
効果を上げている秘訣は,各教材のユースウェアが示されていることである。
ユースウェアが示されているために安心して教材を使用することができる。
しかし,である。
ユースウェアのとおりに使用しても効果はあるのだが,これだけでは,発達障がいのある子どもが抱えている重大な課題に対応しているとは言われない。
それは,何か。
自尊感情(セルフエスティーム)の涵養
自尊感情は,文字どおり「涵養」である。「涵養」というのは,「自然に水がしみこむように徐々に養い育てる」という意味である。
自尊感情がもてないのは,幼児期における「愛着形成」ができていないからだという指摘もある。
この課題に対応するために,先に示した教材を使った実践では,例外なく次のことが報告されている。
ほめて,ほめて,ほめまくる。
「ほめて,ほめて,ほめまくる」というのは,言うほど簡単なことではない。子どもがほめられる事態をつくり出さなければ,ほめようがないからである。
「子どものどのような事態」をほめるのかである。
このことについても数多くの実践の知恵が報告され,集められてきている。
小生が編集した『場面サインを見逃すな!通常学級担任用:特別支援教育対応シート』(明治図書)もまたそうした知恵を集めたものである。
ほめて,ほめて,ほめまくる実践を,次のように言うこともできる。
エラーレス・ラーニング
エラーのない学習である。エラーレス・ラーニングは従来の学習(ラーニング)概念に一打を浴びせた試みであり,今後が注目される。
このように,通常学級における特別支援教育は確実に一歩前に進んでいることはまちがいない。
画期的な二つ目が次である。
教育と医学の連携
この連携ほど,口で言うは易く行うは難くはない。
何回言ったか数えられないくらいだ。
教育研究者と医学研究者そしてわれわれ教師
まずは,これら三者が同じテーブルについて,就学の現場で起きている課題を解決するためにタッグを組んでほしい。
なぜか,教育研究者も医学研究者も消極的である。分野外だとでも言いたそうなニュアンスがある。
特別支援教育の課題は,学校などという狭い世間の話ではないのだ。社会的自立の課題を考慮すれば,世間の在り方が問われているとてつもなく大きな課題なのである。
なぜ,「連携」ができないのだ!と,いらだちを募らせてもいた。
「連携」の前に立ちはだかる「壁」はベルリンの壁のようだ。
しかし,である。その「壁」が崩れだしているという予感を感じさせてくれる「動き」を今回の企画が示している。
求めよ! されば得られん。
本誌の読者である多くの教師が求め,実際に動いた教師がいたことは永く記憶にとどめなければならない。いかなる動きも,だれかが,その第一歩を印したのである。
・宮尾ドクター ・川端ドクター
・平岩ドクター ・大野ドクター
・家島ドクター
さらに,山田みどりドクターによる教材・教具の解説もある。
教育と医学の連携の内容が,今,明らかになる。こんなに喜ばしいことはない。
小学校1年生から高校生、特別支援学級や学校といった、それぞれの学年の自立についての実践が収録されている本特集は必見でした!!
次号も楽しみです。(年4回は少ないです,隔月希望します!)