特別支援教育教え方教室 2008年2月号
17号 あなたの指示では伝わらない〜原因と代案〜

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特別支援教育教え方教室 2008年2月号17号 あなたの指示では伝わらない〜原因と代案〜

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2008年1月17日
対象:
小・中・他
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
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目次

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特集 あなたの指示では伝わらない〜原因と代案〜
全ては授業技量検定D表の項目に凝縮されている!
神谷 祐子
作業を通して理解させる。使わない物は机の上に出さない
松藤 司
カメじゃねえんじゃ。ノコノコじゃ! 行き違いをつなぐ指導の大切さ
小野 隆行
授業の腕をあげる法則に反しているから指示が通らない
松本 俊樹
授業開始の指示が通じない
小松 裕明
指示を出したら確認しなければならない
松野 孝雄
指示が多くて伝わらない!
柿崎 厚子
伝わりやすい指示 ―4つのポイント―
白瀬 嗣大
アスペルガー症候群の子に言われた人の気持ちになって行動しようでは伝わらない。しっかりと行動を教え込もう
梶野 修次郎
一度の指示では伝わらない子への対応
自閉症生徒への効果的な指示とは,目の前の事実を受け止め工夫すること
金子 誠
ソーシャルストーリーで子どもが変わる
喜屋武 綾子
一時一事の原則,ほめて始めることで「音楽が楽しい」と言ってくれたA君
金城 貴裕
言った通りの指示しか伝わらない。ニュアンス,意図を説明する必要がある
高杉 祐之
授業開始を告げるチャイムの前に教室に入るだけで,指示が伝わりやすくなる
井上 好文
子どもは,言葉を言われたとおり受け止めがちである
山田 高広
《理想的な状態》のイメージを教師と生徒が共有する
染谷 幸二
絵を描く抵抗感を少なくする直写型指導
川口 達実
状況をみきわめることと,短くて理解される言葉の吟味が必要
石川 裕美
耳からだけでなく目からの情報で補う
小森 栄治
局面限定・具体的行動・緊張感・確認・見通し
河田 孝文
時間の感覚を考慮した指示をせよ
雨宮 久
指示を細分化する。子どもの脳に刷り込まれるぐらいに繰り返すことが重要である
勇 眞
「不幸せサイクル」から脱却する指示のコツ
小田原 誠一
初任者の授業に見られる事例研究=点検&変化のある繰り返し=
木村 孝康
アスペルガー児には,「写真のように想像ができる指示」を出す!
小嶋 悠紀
手に物を持たせない
伊藤 雅亮
ミニ特集 発達障害の子が活躍するミニ・イベント活動
子どもを動かす原則に貫かれた指導は成功体験を保障する
中村 朋彦
「子どもを動かす法則」と「授業の原則10カ条」で挑んだミュージカル
三村 理恵
熱中する係活動が満足感を導き,子どもたちを安定させる
松崎 力
無理だと思える中に大切なこともある
甲本 卓司
体育館全てを使った18名の「源平合戦」
椿原 正和
「会社活動」でのミニ・イベント活動。その子の良さが発揮され,認められる
谷 和樹
係り活動,ミニ・チャレラン大会で障害を持つ子を輝かせる!!
星野 裕二
風船アートで一躍ヒーロー!
木村 重夫
「そのままの姿で最大限の楽しい場面」を設定すれば,劇で活躍できた
新里 誠
裏文化遊びの中で認められ,活躍した子
古堅 加恵
特別支援学級の学習発表会への取り組みは「段取り力」がものを言う
川神 幸
「たのしい」「単純(簡単)」「充実」が活躍するキーワード
三輪 仁志
チャレラン大会で障害のあるなしに関係なく
富山 比呂志
イベントを自立の契機に
室木 義治
日々の小さなイベントの積み重ねで成長する
井川 裕子
グラビア
第9回ADHD授業作りセミナー in岡山 ほか
小野 隆行
イラストで学ぶ特別支援教育のキーワード (第2回)
素早いフィードバック
小嶋 悠紀田畑 玲子
向山一門が見た向山先生の特別支援教育の思想 (第2回)
小松 裕明
教育の新課題と特別支援教育
現代の奇蹟,翔和学園の映像
向山 洋一
巻頭言
基本文書を読み込み,新しい教育の流れに対応した準備を具体的に進める
五十嵐 勝義
特別支援教育で学校は変わる (第2回)
見せよ! TOSS教師の真骨頂
小嶋 瑞紀
伴一孝の特別支援教育だより (第2回)
体力・知力をフルに遣う
伴 一孝
大森修の一刀両断 教育再生にもの申す (第2回)
システム化で教育実践を豊かにしたのは向山型授業だけだ!
大森 修
吉田教務主任からみた特別支援教育 (第3回)
最前線で奮闘している担任をサポートする体制を作り上げる
吉田 高志
保護者と教師の連携で作る特別支援教育 (第3回)
大切なのは親と先生の信頼関係
木下 カオル
機能をしなくなった特別支援教育のシステム
大場 寿子
教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第7回)
パーティーで子どもらしさと本気さを引き出す
伊藤 寛晃
LD/ADHD・ASの子を伸ばす指導のポイント (第10回)
障害理解と対応スキルがない教師はこうなる―怒鳴って授業をする教師―
平山 諭
ママがする自閉症児の家庭療育HACプログラム (第2回)
「聞く」をつくる
海野 健
教師のための応用行動分析入門 (第2回)
支援ツールのパワー
高畑 庄蔵
誌上QAコーナー こんな時どうしますか
「訳わからん!」「何でしなくちゃいけないの!」と言われたら
平山 諭大場 寿子
特別支援学校・特別支援学級コーナー
コーナー担当
五十嵐 勝義
特別支援学校の実践
大恵 信昭
特別支援学級の実践
近江 利江
論文ランキング
翔和学園・伊藤寛晃氏の論文に大きな反響! 必読!新生特別支援教育の指針を示した向山氏の論文
小野 隆行
読者のページ
小野 隆行
編集後記
大場 龍男
TOSS特別支援教育イベント情報
五十嵐 勝義
酒井式描画法で授業する!
酒井式「電柱のある風景」の描かせ方
高橋 正和

巻頭言

基本文書を読み込み,新しい教育の流れに対応した準備を具体的に進める

〜「人間関係の形成」に関する指導を充実させる〜

富山県立となみ養護学校砺波学園分校 五十嵐勝義


 3年先,5年先の教育の流れはどうなるのか。特別支援教育は何に重点が置かれるのか。誰もが知りたい内容である。

 なにを見ればそれが分かるのか。その答えの1つが,文部科学省「審議会情報」にある。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/main_b5.htm

 審議会では資料が配布されるが,それがインターネットで公開されている。この資料は今後の教育を知るための第一級の情報である。

 『言語力の育成方策』『小学校の教育課程の枠組み』(中央教育審議会)などについてはマスコミで取り上げられたので,大まかな中身については知っている人も多いと思う。

 しかし,それらの資料そのものを読んだという人はどれくらいいるだろうか。

 こういった資料は「原文」にあたるのが基本である。マスコミがまとめたものだけを読んで分かったつもりになっていると,ときに本質を読み違えてしまう。

 原文をプリントアウトしてノートに貼り,自分で書き込みをするなどして,しっかり読み込む必要がある。

 特別支援教育においては,次が基本文書である。

 『特別支援教育の現状と課題,改善の方向性』(中央教育審議会)

 その他にも,『特別支援教育の具体的な改善の方向性』『自立活動の内容について』も読んでおく。

 これらには特別支援教育の「現状と課題」及び「今後の方向」が示されている。

 全体のタイトルワードはいくつあるか,キーワードは何か,これまでと比べて変化はあるかなどの観点で読む。

 具体的な改善の方向の1つが次であることが分かる。

 社会の変化や幼児児童生徒の障害の重度・重複化,自閉症,LD,ADHD等も含む多様な障害に応じた適切な指導を一層充実させるため,「自立活動」*1 に,新たな区分として「人間関係の形成(仮称)」を設ける。

 「人間関係の形成」の内容として挙げられているものとして,「他者とのかかわり」「他者の意図や感情の理解」「自己理解と行動の調整」「集団への参加」がある。

 これらの内容を発達障害がある子どもにどのように指導するか。これが,今,現場に問われているのである。  向山洋一氏は次のように言う。(本誌9号)

 小学校,中学校は,将来,自立して生きていける人間に育てることを目的としている。

 つまり,「仕事をしてお金をかせげる」「人々と一緒に生活していける」人に育てることを目的としている。

 特別支援教育は,この面で,「きびしく責任を果たす」ことが要求される。

 自立のために,「学力」を身につけさせ,将来仕事をしてお金をかせげるようにする。

 同様に,「人間関係の形成」に必要なことを学ばせ,人々と一緒に生活していけるようにする。

 「学力」「人間関係の形成」。この2つは,特別支援教育の場に限らず,車の両輪のようにいずれも学校で指導すべき内容である。

 「学力」を身につけさせることに関しては,これまで本誌などで実践研究が進んでいる。

 例えば,学級にLD,ADHDなどの児童がいる場合での次のような指導や対応である。

 1 作業記憶が少ないことに対応する

 2 微細運動障害に対応する

 3 長い個別指導をしない

 4 リズムとテンポがある授業

 5 教科書中心に指導する  など

 向山氏の「授業の原則10カ条」,バークレー氏の「14の原則」なども極めて有効である。

 これに対して,他者とのかかわり,他者の意図や感情の理解など,「人間関係の形成」に関する実践研究はあまり進んでいない。(ソーシャルスキルトレーニングカードを使った指導くらいである)。

 これをこれからやっていく必要がある。

 人間関係について,うまく習得していない障害を挙げるとすると,「反応性愛着障害」が頭に浮かぶ人は多いと思う。

 生後5歳未満までに親(その代理となる人)と愛着関係がもてず,人格形成の基盤において適切な人間関係をつくる能力の障害が生じるに至ったものが,反応性愛着障害(以下,愛着障害)である。

 虐待やネグレクトが原因でそのような障害になるケースも最近は増えている。

 大人を信頼せず,良心,倫理観,正義感などが十分に育っていない。自分の行動に責任を取らず,弱い子や動物をいじめたりする。

 愛着障害の子どもの特徴的な行動は,自分を愛そうとする親や教師に拒絶反応や攻撃性を見せ,自分には関係のない人には愛嬌をふりまくことである。これが愛着障害を見極めるポイントの1つになる。

 このような子どもに人間関係の形成に関する指導を行うのである。

 愛着障害の子どもが学校現場に増えてきているとも言われている。その特性と指導法について十分に理解しておく必要がある。指導法については文末の引用文献が参考になる。

 特別支援教育の改善の方向として,「人間関係の形成」が挙げられた。

 基本文書を読み込み,必要な準備を具体的に進めることが,早急に必要である。

※資料の読み方については,向山氏に指導いただいた。

※引用文献:『子を愛せない母 母を拒否する子』ヘネシー・澄子(学研)『子ども虐待という第四の発達障害』杉山登志郎(学研)


*1 特別支援学校の教育課程には,障害に基づく種々の困難の改善・克服を目的とした「自立活動」がある。自立活動の内容は,現在,5区分(健康の保持,心理的な安定,環境の把握,身体の動き,コミュニケーション)に分かれている。

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