- 評価活動を具体化した国語科の学習―評価票/評価シート/学習シート/小テストの活用―
- 提言
- 評価と授業改善
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- 評価活動の現状と課題
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- 評価規準の作り方・生かし方
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- 評価方法の工夫
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- 小学校実践事例
- 話すこと・聞くこと
- 「評価されたこと」を生かす場を連続して設定する(1年)
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- 話し合いの練習を生かし,観点に従って話し合う学習(4年)
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- 書くこと
- 自己評価・相互評価で書く力を高める(2年)
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- 形成的評価を学習過程や指導に生かす(6年)
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- 読むこと
- 声に出していろいろな読み方を楽しもう(1年)
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- 児童の実態を評価し学習活動を組み立てる(2年)
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- 読みの目標に収斂した評価の工夫(6年)
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- 言語事項
- ワークシートを活用した評価の工夫(4年)
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- 評価をステップにした書写指導のありかた(6年)
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- 小学校の実践事例を読んで
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- 中学校実践事例
- 話すこと・聞くこと
- 「わたしの一冊」を紹介しよう(1年)
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- 「論理的に話す力・聞く力」をつけよう(2年)
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- 日本語を巡って話し合おう(3年)
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- 書くこと
- スキルから実作へ(1年)
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- 根拠を明らかにした文章を書こう(2年)
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- 自己評価を用いた作文指導(3年)
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- 読むこと
- 疑問から主題に迫る学習(1年)
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- 読み取りをもとに感想・意見をもつ(2年)
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- 多様な情報を活用する読みの授業(3年)
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- 言語事項
- 生活に役立つ行書の学習(2年)
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- 書くことに役立てる「ことばのきまり」の学習(3年)
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- 中学校の実践事例を読んで
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- 実践事例に関連する評価規準について
- 小学校
- 中学校
- あとがき
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- 執筆者一覧
あとがき
松野 洋人
国語科の授業は,以前から,児童生徒にあまり支持されていなかった。その主たる要因は,国語科の「あいまいさ」にある。多くの授業は,育てるべき学力も,それを身に付ける方法・道筋も,そして,学習結果の見極め(評価)も,全てあいまいなまま行ってきたのではなかったか。この一時間の授業で身に付けさせることができた言語能力は何か,この教材を使って学習し獲得した言語能力は何か,これらの問いに対して,教師も学習者も確かな答えを得ながら授業を行ってきたであろうか。
「評価」の改善は,学習目標の具体化,学習活動の焦点化と連動し,結果として国語科の「あいまい」な部分の改善につながっていくものである。平成12年12月に出された教育課程審議会答申「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」以来,評価規準表づくりが盛んである。中には,評価規準表づくりに精力を使い果たし,その後の活用は休眠状態という学校もあるようである。評価規準表は学習や評価の具体化,目標に達しなかった児童生徒への適切な追加指導の保証などに役立ってこそ意味があるのである。
本書所収の実践は,
@ 山梨国語教育実践研究会で作成した「評価規準表」に基づいて授業を行うこと。
A 学習目標・学習活動・学習評価等の一貫性を重視し,できるだけ具体性のある授業展開を試みること。
B いわゆる「B」段階に達しなかった児童生徒に対して,きちんとした手立てを講じること。
等を重視したものである。
全体は2部構成とし,第1部は,文部科学省の河野庸介教科調査官(現在群馬大学教授)を始め4氏の評価の在り方に関する「提言」で構成した。第2部は,小学校9本(A領域2,B領域2,C領域3,言語事項2),中学校11本(A領域3,B領域3,C領域3,言語事項2)の実践事例を集録し,小学校については一之宮英文山梨県教育委員会指導主事(現在八代町立八代小学校教頭),中学校については保坂伸教諭(山梨大学附属中学校)の2氏にコメントを寄せていただいた。なお,実践事例の後に実践に関わる部分の評価規準表も集録した。
終わりに,本書を刊行するにあたって,公務多忙な中にもかかわらず玉稿をお寄せくださった河野庸介氏,企画・編集のご指導を懇切にしてくださった明治図書の間瀬季夫氏に感謝の意を表する次第である。
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