向山型国語教え方教室 2011年10月号
向山型で熱中!“言葉の特徴やきまり”の授業

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向山型国語教え方教室 2011年9・10月号向山型で熱中!“言葉の特徴やきまり”の授業

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ジャンル:
国語
刊行:
2011年8月23日
対象:
小・中
仕様:
B5判 96頁
状態:
絶版
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目次

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特集 向山型で熱中!“言葉の特徴やきまり”の授業
新学習指導要領「言葉の特徴やきまり」を向山型で授業する
教師は「言葉」に無神経である
伴 一孝
「言葉の特徴やきまり」向山型指導でなぜ力がつくのか
システムを構築する三つの視点にヒントがある
椿原 正和
長音・拗音・促音・撥音=向山型指導一覧(1・2年)
教師がわざと間違えることで、子ども達は熱中し、文字を意識することができる
小松 和重
助詞「は」「へ」「を」=向山型指導一覧(1・2年)
向山氏の「くっつきの『を』の指導を分析し忠実に追試することで、子どもが熱中する授業が可能になる
滝澤 隆幸
句読点・「 」=向山型指導一覧(1・2年)
句読点は読み先習でドラマを生み出す
山西 浩文
主語と述語=向山型指導一覧(1・2年)
主語と述語の学習は、書いてゲーム形式で楽しく行う
有村 紅穂子
敬体=向山型指導一覧(1・2年)
「目線を下げた問い」「教師が間違えてみせる」「変化を付けて繰り返す」で低学年は熱中!
馬場 慶典
言葉の働き=向山型指導一覧(3・4年)
「たくさん集める→名前をつける→分類する」のパターンが子どもたちを熱中させる
松山 英樹
送り仮名=向山型指導一覧(3・4年)
送り仮名についての定義を明確にする
中野 幸恵
句読点=向山型指導一覧(3・4年)
説明しない「丸、点、かぎ」の指導
小田 哲也
修飾・被修飾=向山型指導一覧(3・4年)
「○○しい」の授業で修飾語を楽しく指導する
石田 寛明
指示語・接続語=向山型指導一覧(3・4年)
指示語は文章で、接続語は短作文で指導する
岩井 俊樹
話し言葉・書き言葉の違い=向山型指導一覧(5・6年)
普段話している言葉の間違いを授業することで、言葉に敏感な子どもを育てる
光村 拓也
時間による言葉の変化=向山型指導一覧(5・6年)
向山洋一氏の「俳句の授業」を追試し、中国の詩と日本の俳句の文化交流のすばらしさに気付かせよう
齋藤 一子
送り仮名・仮名遣い=向山型指導一覧(5・6年)
新教科書教材における「送り仮名」「仮名遣い」の実践漢字教材・古典教材は「送り仮名」「仮名遣い」指導の素材がいっぱい
師尾 喜代子
語句の由来=向山型指導一覧(5・6年)
用例をできるだけ多く列挙し、それを分類する。それに分析を加えることで知的な授業になる
田代 勝巳
比喩や反復=向山型指導一覧(5・6年)
技術を教え、例文を示し、活用した短い文を書かせる
許 鍾萬
言葉の特徴やきまり=中学校での向山型指導一覧(中学校・高校)
列挙・分類の形で、どの中学校教材にも応用可能
木村 祐美
言葉の特徴やきまり=高校での向山型指導一覧(中学校・高校)
言い換えによって文芸としての美しさに気付かせる修辞法指導
坂本 佳朗
ミニ特集 教室が「まっぷたつ」に分かれるこの発問
『大きなかぶ』〜1年生が論破しようと必死になる「向山発問」
阿部 梢
すぐに討論ができるこの発問
梅沢 貴史
読者の位置を問う発問で意見が分かれる
中谷 康博
視点の位置を問い、討論する
奥 清二郎
「海の命(立松和平)」太一とおとうを対比させることで、太一の成長を読み取る
大牧 丈夫
中学生が熱中した発問5
渡辺 大祐
向山型国語初心者の挑戦―手ごたえを得たあの瞬間―
授業の原則十箇条が指導の原点
鈴木 崇之
新規採用の教師にもできる,分析批評の素晴らしさ
高橋 恒久
自薦他薦子どものノートづくり
ノートづくりの極意 第7条「矢印」を使わせる
小田原 誠一
満員御礼!「向山型国語教え方教室」
テーマ「ぎりぎりの学習内容」
小嶋 悠紀
巻頭コラム
物語の学習では次の作品でも活用できる「読み取り方」を授業すべきである
向山 洋一
巻頭論文
向山氏の言葉の授業。それは知的で楽しく,言葉の感覚が研ぎ澄まされる
谷 和樹
向山洋一国語著作の「読み方」
「向山型教材研究法」その五つの手順を解明し、発問を作り出す力を身につける@
谷 和樹
向山氏の骨太の方針から30年。新教科書に向山型指導が数多く取り上げられている
椿原 正和
向山型で言語力育成授業を行うとこうなる
2年生「知らせたいことを話そう」
太田 千穂
〜やり方を教え,継続して取り組む〜
一目でわかる! 実録向山型国語指導案集
「芦田恵之助」の授業
椿原 正和
向山実践から学ぶ「発問づくり」の型
向山型で「自由度」の高い教室実践を創る
伴 一孝
百人一首・名句百選指導の「奥の手」
数々の逆転現象が起きる「学級内五色百人一首大会」
山田 仁
暗唱プリントと暗唱タイムで子ども達がもっと熱中する!
井戸 砂織
向山型国語に挑戦/論文審査 (第62回)
さすがに有名実践だ。しかし、差もあった
向山 洋一
新卒教師が追試できる!おすすめ向山型国語実践
作文指導の目標は,まずなによりも「正確に文が書けること」。作文ワークで基本を鍛え,文を長く書くことと魅力的な書き出しを教えよう
前田 利憲
この「授業システム」でできない子ができるようになった!
低学年/1年生で百人一首は5月から始められる
服部 賢一
高学年/フラッシュカードで授業開始。特別支援を要する子もできるようになる
大恵 信昭
発達障害の子どもの自己肯定感を高める向山型国語
向山型作文でプラスのエピソード記憶を増やしていく
伊藤 寛晃
新分析批評の授業が読解力をあげる
図式化で人生の教訓を見つける―2年「スイミー」
松藤 司
江副文法の授業のススメ
江副文法で受験作文の指導をする
小田 昌宏
向山実践を読み解く
まずは自分自身が教材と向かい合う
向山 洋一東田 昌樹甲本 卓司
〜教材文『暗夜行路』(志賀直哉)A 2008年1月 TOSS箱根合宿〜
教材分析から発問・指示づくりへのステップ
教材分析の手はじめの一歩をはじめよう(4)
大森 修
女教師がすすめる向山型国語
分析批評入門 視点を教える
森川 敦子
向山実践「大造じいさんとガン」に学ぶ「問題作りの授業」試されるのは、教師の目と腕
赤木 雅美
向山型国語で生み出す「中学生の事実」
ライヴに出て,技を磨き続ける
長谷川 博之
国語デジタル教科書への対応
すべての教員に求められる基本的な資質能力
許 鍾萬
そのまま使える,ちょっとした隙間時間にできる教材
新聞日記
河田 孝文
「伝統的な言語文化」の授業づくり
教科書を使って熱中する「季語」の授業
小塚 祐爾
漢字の成り立ちを考える
刀祢 敬則
学力テストB問題対応授業を創る
話し合い活動をテーマにした問題を創ってみよう
松崎 力
テーマ別 向山型国語QA
全学年でできる分析批評の授業
小田 哲也
読者のページ
「テーマがタイムリー」「さっそく論文を活用した」等と「初登場教材の発問と作業指示」が大変役に立ったというご意見を頂きました。常に最新重要情報のある向山型国語誌を目指します
編集後記
谷 和樹雨宮 久杉山 裕之長谷川 博之
向山型国語最新情報
雨宮 久
向山型国語に挑戦/指定教材 (第64回)
谷 和樹

巻頭コラム

物語の学習では次の作品でも活用できる「読み取り方」を授業すべきである

本誌編集長 向山洋一


物語の教材をどのように授業しているのだろうか。

教材として扱う物語は,質の高いものを与えるべきだ。質の高い作品なら,当然多くの子にある種の感動を与える。

しかし,感動をしない子も中にはいる。これも当然だ。

物語の感動を強いた授業がある。教師が感情表現豊かに読むのです。時には涙をうかべながら。

私は,このような授業に心の底からの嫌悪感を覚える。教師の仕事は,多くのすぐれた作品に出会わせることであり,その中の一作の感動を強いることではない。

夏目漱石の言葉を借りれば,作品を科学者のように分析することなのである。

「分析する方法」「読みとる方法」「批評する方法」を教えるのが授業なのである。

板倉先生が,このような「国語教育の流れ」について,まとめてくれた。


国語の気持ち主義の終焉と向山先生の先見性

<板倉弘幸>

本校では国語を研究教科に勧めている。

研究主題は「国語力を高める」ことである。

物語文の読み取りを通しての研究授業である。

教材研究をしていた時に面白いことに気付いた。

全国いたるところで,人物の気持ちを読み取ることが主流となっている。

向山型国語ではずっと人物の気持ちを読み取ることは重視していない。

その一つの原型は向山先生の次の国語教育への提案にあった。

1982年「文学の授業は感動重視だけでよいか」『国語教育』明治図書

それから,何年後かに出た本に次のようにあった。

1987年『いい授業の条件』青木幹勇

「気持ちを尋ねる発問はそのものがマンネリになり,応答もおざなりになりやすい」青木幹勇氏は東京教育大付属小の教官であり,当時の国語教育の実践家全国ナンバー1であった。

1994年『自立した子を育てる年間指導』落合幸子・築地久子

「同じ気持ちを問うのでも,気持ちを考えようと〜の気持ちはさみしいかうれしいか,と選択肢を出すのでは授業が違ってくる。斎藤喜博は後者のような課題を出していた」

そして2010年『読解力が飛躍的に向上するブッククラブの実践入門』有本秀文

「感想交流と気持ちをやめないとPISAに対応できない」

こうした変遷を読むにつけ,文学教材の「気持ち読み取り主義」はすでに時代遅れとなってしまっていることがわかる。

現在の国際的学力調査の流れを知るにつれ,向山先生の提案は時代を先取りしていたといえる。

(向山)

教科書は,授業のテキストである。そのテキストを活用して,言語能力を育成するのが国語教育である。

「人物の気持ち」の読み取りも大切だが,それ以上に,「作品の構造」「文学表現の約束ごと」(設定,人物関係,視点,クライマックス,構造,表現,等)を,理解させることが大切なのである。一学年で,一つか二つの観点を学習すれば良い。それは次の学年でも利用できるのだ。

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      明治図書

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