現代教育科学 2010年11月号
戦後の「基礎学力論争」を読み解く

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現代教育科学 2010年11月号戦後の「基礎学力論争」を読み解く

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2010年10月5日
対象:
小・中
仕様:
A5判 115頁
状態:
絶版
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目次

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特集 戦後の「基礎学力論争」を読み解く
提言・論争から読み解く「基礎学力」の概念
基礎学力とは何かを改めて問う
無藤 隆
実践スキルの構造モデルを定義する時代になった
田中 博之
定型知、科学知、教養知の計画的育成
岩田 一彦
「単元学習」を克服し、学力保障の数学教育を求めて
横地 清
今、何が必要なのか。論争の見取り図から考える
谷 和樹
論争から「児童中心主義教育」を読み解く
児童中心主義教育がもたらしたもの―綺麗ごとと美辞麗句に塗りつぶされ、結果責任と説明責任から目をそらした教育の実態
山極 隆
現実の子供の実態に学ぶ―児童中心主義の虚妄性
野口 芳宏
日本には児童中心主義教育はそもそもなかった
大森 修
論争から「ゆとり教育批判」を読み解く
「ゆとり教育批判者」の落とし穴は何か
明石 要一
ゆとり教育は、失敗だった。確かな学力には、確かな指導者が必要である
甲本 卓司
そうしたのは誰なのか
長野 藤夫
国語科基礎学力論争から何を学んだか
国語力は価値ある言語経験の反復と統合によって伸びるということ
花田 修一
国語科「書く」指導の可能性を学ぶ
市毛 勝雄
戦後実践の法則化と活用化
岩下 修
もはや二者択一の時代ではない
青木 伸生
算数・数学科基礎学力論争から何を学んだか
いかなる権力・権威を纏い、多数を頼もうと数学教育学に建つ教育論は阻めない!
菊池 乙夫
教師自身の問題解決能力の乏しさが学力形成方法を形骸化させてきた原因である
田中 博史
学力向上や学力保障を支える学習内容吟味のきっかけを得る
板倉 弘幸
算数の面白さを改めて【体感させる】ことを学ぶ
福山 憲市
社会科低学力論から何を学んだか
切実な問題から「鋭い観察力」と「調べる力」へ
有田 和正
社会的態度も知識も基本学力
北 俊夫
習得学習と探究学習を分けて行う
吉田 高志
理科低学力論から何を学んだか
期待は、教師一人ひとりの教育力に
森 一夫
実感を伴った理解に迫る授業づくりの重要性―六年「血液の循環」
小林 幸雄
「体験不足」を前提に授業を組み立てる
新牧 賢三郎
科学技術教育立国論 (第8回)
シングル・エイジ・サイエンスの充実を
小森 栄治
宗教教育における教師の責任 (第8回)
聖地と布教活動
平野 久美子
新教授学理論に学ぶ (第8回)
「一斉授業」の教授学
深澤 広明
不適格教員の問題 (第8回)
大学には「やる気を奪うシステム」がある
向山 洋一
道徳教育のこれからの課題 (第8回)
スピリチュアリティと道徳教育
貝塚 茂樹
編集後記
江部 満樋口 雅子

編集後記

○…学力という言葉や概念が明確な意識を伴って用いられ、論争の対象とされるようになったのは、第二次大戦後以降のことであり、その発端となったのは、昭和二四、五年頃のいわゆる「基礎学力」の低下をめぐる問題であった、との指摘があります。(『日本教育論争史録』第四巻から)

○…確かに、戦後新教育は、戦前の国家主義教育、教師中心主義教育に対する反省のもとに、児童中心主義、経験主義、生活主義の教育原理に立脚して、「民主主義教育」の実現をめざして新教育が展開されてきたともいえます。

 そこで展開された「新しい学力」は、生活単元学習、問題解決学習などを軸にして、「生きて働く学力」「生活問題処理としての学力」「問題解決能力」などでした。(前記同書の解説から)

○…これに対して、基礎学力を「読・書・算」としてとらえ、その重要性と必要性を主張し、新教育を批判する人々が現れたわけです。論者たちは基礎学力の軽視、学力低下を追及し、国民の基礎教育における意義づけを行ったわけです。

 さらには、基礎学力を軽視する「戦後新教育」を植民地的愚民化政策の典型として批判する論者も現れています。しかし、新学力=問題解決学力は、アメリカ市民社会を典型とする後期資本主義社会の「生活力」の構造、「生活論理」を基本的に反映したものであるとの指摘もあります。

○…一九五〇年代後半から六〇年代にかけての学力論争は、戦後文教政策の変遷、転換との緊張関係において展開されたが、同時に、経験主義カリキュラムの否定の上に推進された教科研究、授業研究の発展とともに展開されてきたという事実にも注目する必要があるようです。本号は「基礎学力論争」を読み解くことから、これからの実践課題を明らかにしたいとする特集です。

(江部 満)

○…「事故に遭う確率は、信号無視より信号を守っている歩行者の方が高いということだ。信号無視は注意深い証拠≠ニでもいうのだろうか」

 ニューヨーク市交通局が出した過去の死亡事故の分析結果を産経コラムが紹介していました。

 車が来そうもない時に信号待ちをするぐらい、緊張感のない姿はないナーと常々、公言している私は、思わずニヤリ。

 だって、無視できるうちは、敏捷性に自信がある証拠?!

 このテーマ、今、大人気のハーバード大学サンデル教授なら、どう取り上げるのか―ということが頭をカスメました。

 先生のベストセラー本『これからの「正義」の話をしよう』で取り上げられているテーマより、ずっと誰でも自分のこととして考えられるテーマだし、ジレンマ体験がない人は、おそらく皆無。ルールとモラル≠チて、じっくり取り上げたい、深いテーマですね。

(樋口雅子)

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