現代教育科学 2007年11月号
道徳教育の強化は戦後教育の転換か

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現代教育科学 2007年11月号道徳教育の強化は戦後教育の転換か

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2007年10月5日
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
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目次

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特集 道徳教育の強化は戦後教育の転換か
提言・道徳教育の強化で戦後教育は変わるか
「教科としない方針」の再吟味
菱村 幸彦
教育基本法と学校教育法の改正で戦後教育の理念は変わった
八木 秀次
道徳の内容や方法よりも教育の根底に流れる子ども中心主義からの脱皮を図れ
山極 隆
めざす育ちの姿の把握と共有化から始まり、「自分づくりのプログラム」としての教育課程全体を統合したカリキュラム開発を
加藤 明
公教育の再生が道徳教育の基本
貝塚 茂樹
「道徳の時間」は道徳理念が欠落していた
教育勅語と学習指導要領の「間」
江間 史明
理念を教材化・授業化できる力が必要である
松野 孝雄
それが「道徳崩壊」をもたらした
長野 藤夫
見直される「教育勅語」の価値とは
古今に通じて謬らず、中外に施して悖らず
野口 芳宏
品性陶冶を核に「徳育科」の設計を
安藤 豊
教育勅語の戦後世代的意味
長瀬 荘一
「国語」・「社会」への徳目重視は教科が変質するか
二一世紀を生きる人間像を求めて…
浜本 純逸
豊かな心を育む言葉の教育へと
花田 修一
「人間力」の育成をめざす「社会研究科」としての社会科を
片上 宗二
いま日本人に必要な徳目とは
人間愛・思いやり
宮川 八岐
有りすぎる私から「無私」の私へ
平野 久美子
「正直」「正義」などの家庭で教える理念の形成を
金久 慎一
道徳教育の強化―小学校教師はどう見ているか
社会的規範を教える場をつくることが大切である
甲本 卓司
理解はしているが、手だてに苦慮している
大江 浩光
再生会議の提言を生かした授業プランを創る
奥 清二郎
道徳教育の強化―中学校教師はどう見ているか
中学生に《生き方》を示すための道徳教育の強化であってほしい
染谷 幸二
「授業が基本」という教師の本分抜きには語れない
向井 ひとみ
教師は学級経営と授業で勝負するのみ
松原 大介
人権教育時代の同和教育の実践 (第8回)
人権教育からみたいじめ問題
桂 正孝
教育再生に向けて (第8回)
教育三法案の改正は学校再生に不可欠である
大森 修
論理的思考力の鍛え方 (第8回)
小論文の指導技術の核心「添削」
市毛 勝雄
人間力を育てる理科教育 (第8回)
学力低下の原因:日本の小理には基礎基本が存在しない日本の教師は、どの項目もほとんど教えていないと回答
武村 重和
TOSS授業技量検定の成果 (第20回)
高校教師TOSSで学ぶ
向山 洋一
教育行政をめぐる論争と問題点 (第8回)
新たな職の設置をめぐる対立と運用上の課題
若井 彌一
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

○…政府の教育再生会議は五月下旬、安倍首相に報告する第二次報告原案を基本的に了承したと新聞が報じていました。その原案によりますと、児童・生徒に規範・規範意識を教える道徳教育の充実が重点となっており、さらに「国語」や「社会」などの教科に関しても奉仕の精神や友情といった徳目教育を盛り込み、地域や歴史上の偉人に関する教育を拡充するよう提言しています。また、「徳育」を教科化し、点数評価はしない、ことも求めているようです。

○…一九四五年の末日、GHQの指令によって、修身、歴史、地理が軍国主義的、超国家主義的イデオロギーとして授業の停止を命じられ、その後、一九五一年の学習指導要領(試案)では、道徳教育のための特別教科を設けることなく、学校教育の全面において道徳教育を行うという方針を示していました。ところが、一九五八年の小・中学校学習指導要領の改訂で大きな転換点を迎えることになります。一九五八年三月発表の小・中「道徳実施要綱」に基づき「道徳の時間」が同年四月から実施されることになったからです。さっそく特設「道徳」は国家が国民の価値観を統制するものだとする批判が高まりました。しかし、他方で一九六六年には「期待される人間像」(中教審答申の別記)にみられる考え方も同時に話題になりました。

○…しかし、八木秀次氏が指摘されていますように「道徳理念が欠落したままの戦後教育」は今日に至っています。このほど国会を通過した「教育基本法の改正」によって、ようやく戦後教育は終わったといえるようです。特に、道徳教育の改革、充実がどこまで進められるか、注目を集めています。本号は、そのための改革課題をしぼり特集を組みました。

(江部 満)

○…「言語力の育成」が教育課程改定のキーワードだといわれます。「生きる力」もまだ生きてはいるようですが、それよりは言語力の方がずっとマシのように思えます。

 高瀬淳一氏の「言葉政治」の指摘通り、大衆社会を引っぱっていく言葉の力≠ェ注目されていますが、教育界は今、どういう言葉力で動くのでしょうか。

 小泉政治の言葉政治「自民党をぶっ壊す」は、イメージが湧きやすい言葉ですが、「美しい国」はせいぜい郷愁を誘う程度の言葉力しかない…ように思います。

 「生きる力」も、どういうイメージが浮かぶ…のか、どうも私のような貧弱な想像力の持主には「医療現場が最終段階で使う自己弁護の言葉」のようにさえ思えます。

 今、世間が教育に求めているものを言葉として表わすとすれば、「競争なき?格差、どうしてくれる」でしょうか。森口朗氏のようにカーストとまでいう方もいるのですから。それにしても「モテ格差、恋愛格差…」とくるともう格差エンドレス…ですね。

(樋口雅子)

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