きょういくじん会議
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鑑賞授業の助っ人? TV番組「名曲探偵アマデウス」
kyoikujin
2009/1/13 掲載
アマデウス オリジナル・サウンドトラック盤(ディレクターズ・カット版)

 「アマデウス」といって最初に連想するのがモーツァルトなら、あなたはクラシック好きな方かもしれない。一方、「天出臼夫」という名の探偵が思い浮かんだのであれば…、クラシック通といえるかも!?
 本日は、鑑賞授業のネタづくりにもおすすめのテレビ番組をご紹介しよう。

 NHK(ハイビジョン、BS)で放送されているクラシックミステリー 名曲探偵アマデウスという番組。これは、その名も「天出臼夫(あまでうすお)」という探偵と、助手の「響カノン」のいる探偵事務所に悩みをもった依頼人が尋ねてき、彼らの悩みを見事解決するという1時間弱の番組だ。依頼人の悩みはいつも必ずクラシックのある曲に関連しており、番組内ではその曲の謎にあらゆる方面からせまりながら依頼人の悩みを解決していく。

 事務所にくる依頼人の面々は、教頭先生、サラリーマン、主婦から、クラブのママ、医者、作家、八百屋のおばさんに至るまでバラエティーにとんでおり、彼らの悩みというのがまた、「奥さんの浮気の疑いを暴いてほしい」だとか、「商店街を一致団結させてほしい」などなど、クラシックとどう結び付くか?というような内容で、クラシックの敷居の高さをとっぱらっているところが魅力だ。そしていつも「名曲探偵始まって以来の…」というお決まりのセリフで謎解きが始まる。

 学校音楽のクラシック鑑賞の時間といえば、大抵1つの曲をみんなで聴いてその感想を発表して終わり、という形ばかりのものが多く、今回の指導要領改訂の際にもそのことが問題視された。もっと積極的な鑑賞の授業を!ということで、その曲のどこを聴けばよいのか、どんな点に注意して聴き、何を聴き取ったらよいのか、という点の指導をもっと充実させるべきだ、と。
 そんな意味で、この番組の曲へのせまり方は参考になるかもしれない。その曲を作ったときの作曲家の心理や状況といった「曲の背景」の部分と、音型・強弱・テーマ・テクスチュア等々、「曲そのものの構造」、この両方の視点からせまり、どの部分に注目して聴けばよいのかが明確になる。これこそ、今回の改訂で提示されている形の鑑賞の仕方だ。

 これまで番組で取り上げられている曲をざっとあげてみよう。

ラヴェル ボレロ
ブラームス 交響曲第4番
バッハ ゴールドベルク変奏曲
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
シューベルト 弦楽四重奏曲ニ短調「死とおとめ」
ドビュッシー 前奏曲集
モーツァルト ピアノ協奏曲第20番
シベリウス フィンランディア
ベートーヴェン ピアノソナタ「月光」
シューマン こどもの情景
ベルリオーズ 幻想交響曲
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ドボルザーク 交響曲第9番「新世界から」
ショパン 24の前奏曲
ガーシュウィン ラプソディー・イン・ブルー
ムソルグスキー 展覧会の絵
リスト ラ・カンパネラ
ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ
サティ 3つのジムノペディ
ベートーヴェン バイオリンソナタ第9番「クロイツェル」
チャイコフスキー くるみ割り人形
モーツァルト クラリネット五重奏曲
ベートーヴェン 交響曲第9番

 これを見ても分かるように、かなり有名な曲が多く、鑑賞共通教材や教科書で取り上げられるクラシック曲も含まれている。
 次回の放送は1月10日午後7時(BShi)、1月18日午後11時(BS2)。是非、ご覧あれ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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