教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術
定時で帰りたいけど、授業も学級経営もうまくなりたい!
そんな欲ばりな先生のために、5つの主任業務を同時にこなしたスーパー教師がとっておきの時間術を大公開!
教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術(2)
仕事量は「リミットの80%」でセルフ・コントロール!
京都文教大学准教授大前 暁政
2016/7/25 掲載
  • 大前暁政の“欲ばり”時間術
  • 教師力・仕事術

 教師生活は多忙といえども、毎日時間に追われていたら、いい仕事はできません。時間の余裕を生み出すには、どうすればよいのでしょうか?

緊急の仕事を減らす

 仕事に追われないようにするためには、様々な工夫が必要です。
 教師の仕事には突発的に発生するものが数多くありますが、中には、緊急の仕事ばかりに毎日追われていている人もいることでしょう。
 しかし、緊急の仕事ばかりに対応していると、疲弊してしまううえ、他の大切な仕事に時間を割くことができなくなります。
 もし、子どもの怪我がよく放課後に起きているなら、怪我をしない環境をつくる必要があります。危ない遊びを禁止するとか、怪我を防ぐ補助具を遊具に取りつけるとか、環境を変えればよいわけです。
 子どもが困って教師に相談してくるなら、困らないようなシステムを組むのも1つの手です。プリントをなくした子のために、予備のプリントを入れたボックスをつくっておく、忘れ物をした子のために、貸し出し用のボックスをつくっておく、といった具合です。
 保護者からよく質問の電話がかかってくるなら、連絡を密にして、電話がかかってこないようにすればよいのです。例えば、学級通信で何度も連絡をするとか、繰り返し連絡帳に連絡事項を書かせるなどです。それでも質問があるなら、連絡帳での連絡を基本としてお願いします。

落ち着ける時間をつくることの大切さ

 そして、極めて重要なのが、仕事量のセルフ・コントロールです。
 人は、往々にして、余裕があるときの方がよいアイデアが思い浮かぶものです。
 それに、日々の教育活動の反省も、余裕がないとなかなかできません。
 多忙な教師生活ですが、時には教室で1人ボーッとして、景色でも眺めているような余裕がほしいものです。放課後に1人教室で、静かな気持ちでたたずんでいると、心がリフレッシュされたり、何かのアイデアに気づいたりできます。
 おすすめなのが、心を落ち着ける時間を1週間に1度予約しておくことです。例えば、「金曜日の放課後は、教室で1人、静かな気持ちで、1週間のことをふり返る時間にしよう」といった具合です。
 また、1日の仕事量は、 80%を目安に調整しましょう。仕事の時間に対して、仕事の量を、自分の能力でこなせる80%程度に留めておくのです。これで時間に余裕が生まれ、緊急の仕事が発生しても、次の日に仕事が残ることはありません。
 しかも、精神的にも余裕が出て、意外とサクサク仕事が進むものです。気分が乗れば、今日のうちに明日の分の仕事をやっておく手もあります。このあたりは臨機応変に、まさに気分次第で決めればよいでしょう。
 自分の気分次第で仕事を進めるためにも、1日の仕事量は80%を目安にしてみましょう。余裕がないと、よい仕事はできません。

@

 仕事に追われないようにするためには、仕事量をセルフ・コントロールするしかない。その際、自分の能力で時間内にこなすことができる80%の量が1つの目安になる。

大前 暁政おおまえ あきまさ

昭和52年生まれ。岡山県の公立小学校教諭を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)として赴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。著書に、『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』『プロ教師の「折れない心」の秘密〜悩める教師への50のアドバイス〜』『プロ教師直伝! 授業成功のゴールデンルール』『プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK―』『スペシャリスト直伝!板書づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝!理科授業成功の極意』(以上、明治図書)、『必ず成功する!授業づくりスタートダッシュ』(学陽書房)、『NHKおじゃる丸 クイズでおじゃる 目指せ小学校クイズ王』(執筆協力、NHK出版)などがある。
著者HP:『大前暁政の教育』

(構成:矢口)
コメントの受付は終了しました。