教育オピニオン
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冬休み明けにぴったり!「切り替え」レク5選+α
宮城県仙台市立片平丁小学校日野 勝
2023/1/1 掲載

休み明けの切り替えのポイント


 冬休み明けはどうしても、学習に向かう意欲が低下してしまいがちです。まずは新年から学校に来て、教室に入れたことを認めつつ、学級レクなどを通し生活を学校モードに切り替えていきましょう。
 また、冬休みが明けると、新年度まで残り3ヶ月もありません。学年末に向けてクラスを完成させていく時期でもありますし、次の学年を意識し更なる成長を促す時期でもあります。そのため、ただ漠然とレクリエーションを取り入れるのではなく、目的を明確にしたレクリエーションを選択していく必要があります。楽しければ何でも良いわけではありません。4月の新学期のレクリエーションの大きな目的が「友達づくり」なら、冬休み明けの1月は「関係を深める」「他者理解」を目的として意識します。
 そこで今回は仲間と協力する力、聞く力、話す力に焦点を当てたレクリエーションを5つ紹介します。 
 協力する力を育てるレクリエーションでは、目的に向けて誰かと共に行動する大切さや楽しさを感じさせます。9ヶ月一緒に生活してきた仲間だからこそ伝えられる声かけなどがあります。より関係を深めていくことも可能になってきます。
 聞く力を育てるレクリエーションでは、人の話を聞くという授業の基本となる雰囲気づくりを目的として行います。少しでも気持ちを学校モードにするためでもあります。
 話す力を育てるレクリエーションでは、友達に話をしたり、質問をしたりする活動を紹介します。冬休み中はあまり外に出ず、誰とも話をしなかった子もいるかもしれません。声を出すことで、受け身の学習ではなく能動的な学習に促していきます。
 学年や児童の実態に合わせて選択し、実践していただければと思います。

おすすめレクリエーション


1 ピピピゲーム

【育てたい力】聞く力
【概要】教師の声を聞いて左右に動き、最終的に教師と同じ方向を向いていたら成功
【所要時間】1回あたり3分程度
【形態】個人
【準備物】特になし

■レクの主な流れ
教師「これから、ピピピゲームをします。
先生がいいよと言うまで目を開けてはいけません。
先生がピッと1回ピと言ったら右を向きます。
ピピッと2回ピと言ったら左を向きます。
ピピピッと3回ピと言ったら回れ右をして後ろを向きます。
最後に先生と同じ方を向いていたら成功です!
それではその場に立って目を閉じましょう。
ピ!ピピ!ピピピ!ピピ!・・・終了です!目を開けましょう!
先生と同じ方を向いている人、大成功!」

子ども「イェーイ!」「あれー!?」「もう一回!」

■ポイント
 教師の話をしっかりと聞かないと成功しないので「話をしっかりと聞き、行動に移す」という力を意識することができます。セリフのスピードを早くしたり、言葉を「ピ」ではなく、子どもの好きなものなどに変え「りんごなら右、オレンジなら左、バナナなら回れ右」など言葉を変えたりするアレンジをすることで、低学年から高学年まで楽しむことができます。自分の席からは動かないので、他者との距離を保つこともでき、密にならずに遊ぶこともできます。


2 思い出クイズ

【育てたい力】話す力 聞く力
【概要】冬休みの思い出を話し、最後にクイズを出します。
【所要時間】1人あたり3分程度 5人グループで15分程度
【形態】グループや全体
【準備物】特になし

■レクの主な流れ
教師「これから冬休みの思い出を話します。
一人1分で思い出を話して、最後にクイズを出してください。
それではどんな話にするかとクイズにするか、考えてください」
(数分後)
子どもA「私の冬休みの思い出は3つあります。
1つ目は蔵王にスキーに行ったことです。・・・・・・。
大晦日には年越しそばを食べました。
・・・・・・これで思い出発表を終わります。
では、問題です。私が大晦日の日に食べたものは何でしょう」

聞く側の子ども「はい!おそば!」「はい!おもち!」

■ポイント
 それぞれ話すことをまとめるので話す力を伸ばすことが期待できます。冬休みの思い出は誰でも話したいもの。思い出をクイズにして共有することで、子どもたちの誰かに聞いてほしいという気持ちを大切にします。
 友達の話を聞いていないとクイズに正解することができないので、聞く力を促すこともできます。
 全員の前でやるのも良いですが、グループで一度行い、代表者が全員の前で発表にした方が時間がかかりませんし、聞いている人も飽きが来にくいです。
 冬休み中、特に大きなイベントがなかった子供もいます。「勉強を頑張った」「美味しいものを食べた」「家で◯◯というテレビ番組を見た」など、事前に発表のヒントを伝えておくと良いです。


3 えーっと干支ゲーム

【育てたい力】協力する力
【概要】干支の順番を正しくすばやく並びかえるゲーム
【所要時間】1回当たり2分程度
【形態】グループ
【準備物】干支カード

■レクの主な流れ
教師「今から各グループに干支のカードを配ります。
シャッフルをして裏返しにしましょう。
よーいスタートの合図でめくっていき、ネズミの子からイノシシの亥まで順番通りすばやく並びかえるゲームです。
完成したら手を挙げて『できた!』と言います。
速く完成したグループの勝ちです。
間違っていても『できた!』と言ってしまったら直すことはできません。
よく確認してから『できた』と言いましょう。
それでは、シャッフルをしてください。よーいスタート!」

子どもたち「みんなでまずは全部めくろう!」「ここが虎だよ!」・・・

■ポイント
 干支については一度全体で確認しておくと良いです。
 カードを干支の絵にしたり、漢字にしたりとアレンジもできます(図1参照)。難易度を上げる方法として、兎からスタートして、虎で終わるなど、その年の干支からスタートすることもできます。
 ロイロノートでカードを作り、並べ替えて提出する形で行うことで、簡単に個人戦も可能です。

図1

※図1


4 3ヒント人物クイズ

【育てたい力】協力する力 話す力
【概要】お題について3つの質問をし、誰のことかを当てるゲーム
【所要時間】1回当たり3分程度
【形態】全体
【準備物】ホワイトボードなど全体に示せるもの

■レクの主な流れ
教師「今から3ヒント人物クイズをします。
前に1人だけ出てきて、このホワイトボードに人物を書きます。
誰を書いたのか、3回の質問をして当てます。
前に出てきた人は『はい』か『いいえ』か『わからない』でしか答えられません。
質問の仕方に注意しましょう。
それではやってみます。Aさん、前へどうぞ。」

 Aさんにはお題となる人を考えてもらい、他の子はAさんが考えている人が誰かを当てるための質問を3つします。(例:「めがねをかけていますか?」「体育が好きですか?」など)
 Aさんは質問に「はい」「いいえ」のどちらかで答えます。
 グループごとに答えを予想して、的中していたらみんなで喜びましょう!

■ポイント
 クラスの友達をお題にすることで、お題に挙がった子の所属感とクラス全体の親密度を高めます。また、話し合い活動を取り入れることで、合意形成の大切さや大変さを感じさせます。


5 黒板福笑い

【育てたい力】協力する力 話す力
【概要】黒板の前にグループで一人ずつ立ち、黒板をみないように担当の顔のパーツをかいていく。
【所要時間】1回当たり3分程度
【形態】グループ
【準備物】グループ分のチョーク

■レクの主な流れ6人班の場合
教師「各班で1〜6番まで順番を決めます。
顔の形、耳、鼻、口、目、髪の毛のパーツに分けて、それぞれ1つ担当します。
一人ずつ黒板の前に立ち、黒板を見ずに担当のパーツを描いていきます。
時間は一人20秒です。よーいスタートと言われてから描き始めます。
できた絵が一番上手なグループに1ポイントです。ではいきます。
よーいスタート!」

子どもたち「もっと上に目を描いて!」「髪の毛はおもしろくしようかな」
・・・
教師「終了です!席に戻りましょう!
 では、どこが一番上手か、自分以外の班に手をあげてください。
1班の顔が一番だと思う人・・・。では、1班の勝ちー!」

■ポイント
 福笑いを黒板で行います。他のグループの作った顔も見られるので盛り上がります。協力しないとうまく描けないので「もっと上」「もっと下」など声を掛け合いながら完成していきます。
 ブービー賞として、2番目におかしな顔を選ぶなど、実態に応じてアレンジしても面白いと思います。
 下を向いて描く、目を腕でおおうなど、見えない工夫をしておくと「ずるい」などの声が出にくくなります。

他にもこんなものも!


 正月明けだからこそ、お正月に関するレクリエーションを取り入れてみるのも良いと思います。すでに知っているであろうレクリエーションをアレンジするのも一つの手です(上の福笑いもその一つ)。みんなが知っているレクリエーションをすることで混乱が少なく、特別なルールの説明をしなくても楽しむことができます。

  • カルタゲーム:干支のカードをカルタにして遊ぶ。
  • 落とし玉ゲーム:「お年玉」を「落とし玉」として、ハンカチ落としのルールで行います。ハンカチをピンポン玉に変えて行うだけのアレンジです。タイトルを変えるだけでも特別な感じがしてきます。
  • 音止玉ゲーム:「お年玉」を「音止玉」として、爆弾ゲームのルールで行います。ボールを順番に回していき、音楽が止まった時にボールを持っていた人の負けのルールです。これもタイトルを変更しているだけなので、爆弾ゲームを知っていればすぐにできます。
  • すごろくゲーム:教師の作ったすごろくや、マス目だけを用意して自分たちでマスの内容を考えたゲームをします。

 冬休み明けのレクリエーション、クラスの集大成、次年度への成長を意識して、楽しく取り組んでみてはいかがでしょうか。

日野 勝ひの まさる

1990年宮城県生まれ。
2014年に神奈川県教育委員会で採用後、現在は宮城県仙台市にて勤務。
情報教育や算数科を中心に、東北・全国大会で授業者として発表を行う。
初任校から特別活動を専門に担当し、特別活動を通した学級づくりを心掛けている。

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