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武道必修化―体育授業での柔道の実施における安全対策のいま
教育zine編集部
2012/3/16 掲載

 あと二週間で新年度。前回の教育ニュースでもお伝えしたように、中学校では新学習指導要領が完全実施となります。実施を目前に、最近メディアでもしばしば取り上げられているのが、武道の必修化。特に、柔道についてはその安全性に不安の声が聞かれます。

◆これまでの柔道事故
 全国柔道事故被害者の会のホームページによれば、中学・高校における柔道事故の死亡者は、1983年から2010年の28年間で114名にのぼるとのこと。中学校の部活動における死亡事故の発生件数と発生確率(10万人あたり)は、柔道では2.376と、次点のバスケットボール(0.371)、サッカー(0.275)に比べて、際立って高いことが名古屋大学大学院の内田良准教授の調査(※1)によりわかっています。

(※1)学校リスク研究所
http://www.geocities.jp/rischool_blind/

 
◆柔道を選択する学校が多数
 しかしながら、15日の時事通信社の記事によれば、全国の公立学校での種目選択状況として、柔道を実施する予定の学校が、64.1%にのぼるそうです(47都道府県から各20校ずつ計940校による抽出調査、複数回答方式)。次いで、剣道(37.6%)、相撲(3.4%)、空手(2.3%)と続いていることからも、その選択状況が突出していることがわかります。

◆具体的な対応策は?
 文部科学省では、保護者らからの不安の声を受け、去る3月9日、指導の態勢が整わない場合には、授業の開始を遅らせ早急に条件整備を進めるなど、子どもの安全に配慮した適切な措置を講じるよう全国の都道府県に通知しました(武道必修化に伴う柔道の安全管理の徹底について(依頼))。

 通知では、次の4点について確認するよう求めています。(通知より引用・抜粋)

(1)指導者について
  一定の指導歴又は研修歴を持った教員が指導に当たることができる体制、もしくは適切な外部指導者の協力を得ることになっているか。
(2)指導計画について
  3年間を見通した上で、学習段階や個人差を踏まえ、段階的な指導を行うなど安全の確保に十分に留意した計画となっているか。
(3)施設設備等について
  施設設備及び用具の安全が確保されているか。
(4)事故が発生した場合の対応について
  応急処置や緊急連絡体制など、対処方法について関係者間で認識を共有しているか。

 特に(2)の指導計画については、受け身の練習を十分に行い、その上で段階的に技の練習や簡単な試合等をするように繰り返し述べるとともに、学習指導要領解説で示している「大外刈り」などの技は、あくまでも例示であって記載されたすべての技を取り扱う必要はないということを強調しています。
 また、作成・配布された「柔道の授業の安全な実施に向けて」では、授業に入る前と、実際の授業の中とで、安全管理のポイントが示されています。技ごとに、どんな事故に注意すべきで、防止のためにはどうしたらよいのか具体的に示されていたり、万が一の場合の対応や留意すべき点についても記載されているので、授業の組み立てやチェックリストとしても役立つでしょう。

 私自身、中学生のときには選択種目で柔道を選びましたが、最初の授業で、絶対にふざけて技をかけたりしないこと、遊び半分でやらないことなど、その危険性について先生が真剣な顔で話してくださったのを思い出します。また対戦では、寝転がった状態から、技をかける側と、それをはずす側とにあらかじめ役割が決まっており、今思えば初心者が頭を打ったりしないよう配慮がなされていたように感じます。大きな技ができるようにはなりませんでしたが、初めての武道の体験はとても新鮮で、できないながらも柔道着に身を包んで体を動かしていると、気持ちがすっきりし、あまり好きではなかった体育の時間がちょっぴり楽しみにもなりました。

 これまでの経緯を踏まえれば、柔道の実施にあたっては、様々な立場からいろいろな意見があって当然です。だからこそ、それを踏まえたうえで準備・管理をしっかりと行い、子どもたちが安全に楽しく学べることを願ってやみません。

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