教育ニュース
文科省の報道発表から研究会参加ルポまで、知っておきたい色々なジャンルの教育情報&ニュースが読めます。
全国学力テストの結果を発表、B問題に課題―文科省
kyoikujin
2009/8/28 掲載

 文部科学省は27日、全国の小学6年生と中学3年生を対象に今年4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を発表した。調査結果の概要と資料は国立教育政策研究所のホームページで公開されている。

 同調査の実施は今年で3回目。調査内容は前回同様、教科に関する調査(国語、算数・数学)と、生活や学習環境に関する質問紙調査の2つで、教科に関する調査では、知識を問うA問題と、知識の活用を問うB問題が出題された。

 3回の調査での各問題の平均正答率は下表のとおり。(今回、変化の大きかった項目は太字で示している。)

小学校平均正答率
国語A 国語B 算数A 算数B
21年度 70.1% 50.7% 78.8% 55.0%
20年度 65.6% 50.7% 72.3% 51.8%
19年度 81.7% 63.0% 82.1% 63.6%
中学校平均正答率
国語A 国語B 数学A 数学B
21年度 77.4% 75.0% 63.4% 57.6%
20年度 74.1% 61.5% 63.9% 50.0%
19年度 82.2% 72.0% 72.8% 61.2%

 小中学校とも複数の項目で正答率が向上しているが、前回の調査への反省から、今回、設問の数や問題文の分量を減らすなどの対策を取ったことにより、難易度が変化した影響であることが下表から推測される。このため、必ずしも「正答率の向上=学力の向上」と見ることはできない状況と言えるだろう。

解答時間が足りなかったとする児童の割合(小学校)
国語A 国語B 算数A 算数B
21年度 42.7% 37.4% 15.8% 28.6%
20年度 43.6% 40.9% 20.1% 30.9%
解答時間が足りなかったとする生徒の割合(中学校)
国語A 国語B 数学A 数学B
21年度 5.0% 8.0% 7.1% 13.5%
20年度 9.3% 31.0% 10.0% 30.4%

 また、3回の調査の結果から、知識の活用を問うB問題について、以下のような課題が報告された。

小学校国語
自分の見聞や体験に基づいて考えを書くことは比較的できるが、資料から情報を読み取り、与えられた条件に沿って事実や考えを書くことに課題がある。
小学校算数
与えられた複数の条件を整理して、すべての条件を満たす結論を導き出すことに課題がある。
中学校国語
文章や資料を読んで、示された条件に合った表現で書くことに課題がある。
中学校数学
日常的な事柄を、一次関数の問題としてとらえ、判断する方法を数学的な表現を用いて説明することに課題がある。

 この他、都道府県別の成績では、秋田、福井、富山などが上位をしめる一方、沖縄、北海道、高知などが下位となった。過去2回とも最下位付近に低迷した大阪は、小学校では33位にまで急上昇したものの、中学校では45位と下位にとどまる結果となった。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。