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「留学生30万人計画」発表―教育の国際競争力を向上
kyoikujin
2008/7/30 掲載

 政府は29日、「留学生30万人計画」の骨子(PDF)を発表した。同計画は、2020年をめどに留学生30万人の受け入れを目指すもので、政府が2006年に決定した「グローバル戦略」の一環と位置づけられている。

 近年、経済の急速なグローバル化や、少子高齢化の進行に伴い、日本の国際競争力の低下が問題視されているが、同計画は、以下の5つの方策によって体系的に優秀な留学生を獲得し、教育・研究機関の国際的な競争力を高めることを狙いとしている。

  1. 日本留学への誘い
    〜日本留学の動機づけとワンストップサービスの展開〜
     母国であらゆる留学情報の入手を可能に
  2. 入試・入学・入国の入り口の改善
    〜日本留学の円滑化〜
     母国で入学手続きを可能に
  3. 大学等のグローバル化の推進
    〜魅力ある大学づくり〜
     国際色豊かなキャンパスに
  4. 受入れ環境づくり
    〜安心して勉学に専念できる環境への取組〜
     宿舎・奨学金・交流支援・日本語・生活支援
  5. 卒業・修了後の社会の受入れの推進
    〜社会のグローバル化〜
     留学生の雇用の促進

 中でも卒業後の就職支援については、せっかく育成した優秀な人材が海外に流出してしまっては日本の国際競争力の向上にはつながらないことからも、重要な課題と考えられるだろう。方策として、産学官連携による就職支援や、企業側の受入れ体制の整備、就職活動のための在留期間延長などが提示されている。

 しかしながら、自国の研究者の就職もままならない現状もあり、留学生の就職支援には困難が予想されるが、そんな折、30日の読売新聞の記事では、2007年に日本国内で就職した外国人留学生が初めて1万人を超えたことを伝えており、グローバル化に対応してか社会にも変化の兆しが伺えるようだ。

 留学生の大量受け入れは、大学による大学全入時代の生き残り戦略と見られなくもないが、大学が国際交流の場として活性化することは、卒業すればグローバル社会の矢面に立たされる日本の学生にとっても有意義なことではないだろうか。質の低下が危ぶまれる大学教育へのカンフル剤となることを期待したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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