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子どもの人口が27年連続減少、早急な少子化対策を
kyoikujin
2008/5/7 掲載

 総務省が4日発表した人口推計(4月1日現在)によると、15歳未満の子どもは昨年より13万人少ない1725万人で過去最少を更新したと、産経新聞が4日の記事で伝えている。1982年から27年連続の減少で、世界でも最低水準とのことだ。

 少子化に関連した話題は、きょういくじん会議でも数多く取り上げているが、子どもが数十年に渡って減少し続けている事実を毎年確認するたびに、国民年金制度など、将来への不安感を強める方も多いことだろう。そうした将来への不安が少子化に追い討ちをかけている可能性もあるのかもしれない。

 政府統計による日本の概算人口は、2008年4月1日現在で1億2773万人だが、国立社会保障・人口問題研究所による人口統計資料集(2008)を見ると、2030年には1億1522万人に、2055年には8993万人にまで減少すると推計されている。また、2005年の年齢別人口比では、高齢者(65歳以上)1人を、就業年齢層(20〜64歳)約3人が支えているといえる状況だったのが、2030年には約1.7人で支えなければならない。ちなみに国民年金法は1959年の施行だが、1955年当時は高齢者1人を約9.6人で支えていたのだから、今となっては計算が合うはずもないと言えるだろう。

 このような少子高齢化が本当に推計どおりに進むのか心配される状況が続いているが、一方で同研究所の「妻の年齢別予定子ども数」という資料では、20〜49歳の初婚どうしの夫婦が予定する子どもの数は、2005年では2.11人という数字を見ることができる。関連して、「出生コーホート別妻の出生児数割合および平均出生児数」という資料では、例えば、2005年時点で45〜49歳の妻が、それまでに出生した実際の子どもの数は平均2.2人となっており、前出の「予定子ども数」とおおむね一致していることも伺える。

 「予定子ども数」は文字どおり各家庭の予定を示す数字でしかないため、これを根拠に将来を楽観視することはできないが、それでも2005年時点の20代の妻を持つ世帯が約2.2人の子どもを望んでいること―子どもを望んでいないわけではないことに希望の光が見えるように思われる。こうした希望の前に立ちはだかっている「子どもを生み育てにくい環境」の改善が立ち遅れてはいないだろうか。早急な対策を願いたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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