- きょういくじん会議

事業仕分けの対象になったことで注目された、元宇宙飛行士の毛利衛氏が館長を務める日本科学未来館。
その日本科学未来館で、11月21日から開催中なのが、「‘おいしく、食べる’の科学展」です。食をめぐるさまざまなトピックスをパネルや実物、模型などで紹介するイベントで、そのひとつとして「ユーグレナ」を取り上げています。
皆さんは、「ユーグレナ」をご存知ですか。「ミドリムシ」という名前なら、なじみのある方が多いかもしれません。
2日の東京新聞の記事によると、今回の科学展にあわせて館内のショップなどで販売されている、ミドリムシを使用したオリジナル商品が人気を集めている、とのこと。クッキーとベーグルがあり、クッキー1枚には約2億匹、ベーグル1個には約15億匹のミドリムシが含有されているそうです。「ミドリムシが食べられるの!? 想像するだけでもちょっと・・・。」なんて思った方はいらっしゃいませんか。ミドリムシは、とっても小さいけれど、でっかい可能性を秘めたすごいヤツなんです。
ミドリムシは、地球上で現在発見されている唯一の、動物と植物の中間的な微生物です。その性質から、ビタミンやミネラルなど、人間にとって必要な栄養素のほぼ全てを天然で保有しています。さらに、栄養素摂取の妨げになる植物細胞特有の「細胞壁」をもっていないため、人間はそれらの栄養素を効率的に吸収することができます。先のクッキーやベーグルは、ミドリムシを加えることで、栄養価がアップした体によい食べ物なのです。
ミドリムシの高い栄養価は、先進国では食生活の乱れによって崩れた栄養バランスの改善のために、また途上国では貧困や食糧危機を救うために活用しようと研究開発が進められています。また、もう一つの特徴として、二酸化炭素固定効率の高さがあります。ミドリムシは、熱帯雨林の数十倍ともいわれる速度で、二酸化炭素を吸収、固定化するため、地球温暖化の手立てとして環境分野でも注目されています。
このように、食糧問題と環境問題の側面から、未来の救世主と期待されるミドリムシには、誰しもが、学校の授業で出会ったことがありますよね。その出会いを仕事につなげて設立された、その名も「ユーグレナ」というベンチャー企業があります。この会社をはじめ研究者の力によって、ミドリムシのもつ機能が実用化される日が待たれます。その前に、私たちが直面する問題に私たち自身ができることがあることを忘れてはいけませんが・・・。
