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「言語力検定」今秋開始!
kyoikujin
2009/3/26 掲載
言語力検定公式ガイド

 20日の読売新聞の記事等で報道されたが、今年10月から「言語力検定」が始まる。この検定は(財)文字・活字文化推進機構によるもの。第一回目は中高生レベルの3・4級のみで、来年以降、1級〜6級まで順次拡大させていく予定だ。実施要領等は以下の通り。

第一回言語力検定 実施要領

■実施レベル=3・4級、難易度は中学・高校生レベル。

※同一問題で上位3級・下位4級・不合格を判定する。

■試験期間=2009年10月17日〜11月15日(予定)
■申込期間=2009年6月15日〜9月18日(予定)
■受検料=一人3000円
■解答時間=80分
■申込方法=学校単位などで10名以上の団体申込み。

 団体受検を指定している点で、現実的には中学・高校での学校ぐるみの取り組みを求めていると言えるだろう。ただ一方で、学校現場では「言語力とはなんぞや」という共通認識ができていないのでは?という声も。
 今後の高校入試や大学入試が「言語力」の方向にシフトしていけば、言語力検定への注目は次第に盛り上がっていくのではないだろうか。

どんな問題が出る?

 合言葉は「読み、書き、考え、伝える力」。漢字の書き取りや文法事項などのいわゆる知識的な問題ではなく、文学的文章、科学的文章、社会的・公的文章を元にしたPISA読解力調査に準じた問題が出る。
 注目したいのは全体の40%を占めると言われる、テキストに基づいた「自由記述問題」。一朝一夕に身につく力ではないので、教師による日ごろの指導が試されるとも言えるかもしれない。

教育界への貢献度は?

 全国学力調査では、一部の自治体で過去問や予想問題を用いて事前対策を行ったとして問題になったが、言語力検定などでは事前対策は当たり前のことになるだろう。現に公式テキストが刊行されている。
 練習問題を解かせることで力がつくのならば、練習させること自体はとても重要なことだといえるかもしれない。その意味では、学力調査の事前対策がすなわち悪だとも言えなくなるだろう。

 ちなみに、主催者である(財)文字・活字文化推進機構の役員・評議員は教育学者よりもマスコミ・書店などの企業人、作家などが多く名を連ねている。「読書量の向上が言語力の向上に結びつく」と考えられていることもあって、同検定は「活字離れ対策」というねらいがあるようだ。
 言語力検定が読書量の向上や言語力の向上に一定の役割を果たせば、現在の学校教育に対しての一種のアンチテーゼになりかねない点もまた大きな貢献かもしれない。いずれにせよ、言語力検定を一つの機会と捉えて積極的な活用をする学校がどれくらいあるか、今後を見守って行きたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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