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期待にこたえる制度の充実を―認定こども園
kyoikujin
2008/10/19 掲載
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 保育園のような長時間保育で、幼稚園のように「教育」もしてくれる施設、「認定こども園」をご存知ですか? 「保育所待機児童ゼロ」「幼稚園と保育園の一元化」を目指し、一昨年の10月にスタートした制度です。0歳〜就学前の子どもを対象としており、入園するのに保護者が共働きかどうかは問いません。地域のお年寄りとの交流会、英語教室など園によっては特色のある活動を行っており、地域の子育て支援も担っています。しかしこの「認定こども園」、なかなか数を増やせずにいるようです。

 便利そうな施設なのに、なぜ数が増えないのでしょうか? 現在全国で229件の施設が認定を受けており、これは1年前の94件と比べれば倍増していますが、まだ満足のいく数字ではなく、いくつもの審議会などが提言を重ねて普及促進をアピールしています。

 数がなかなか増えないのは、理念だけが先行してしまったため、という見方があります。認定こども園は、新たな制度ではありますが、既存の幼稚園・保育園を改編したものであり、全くの新しい施設というわけではありません。改編とはいえ、それまでとは異なる機能を持たせる以上は人員も施設も整備が必要ですが、現時点ではこれに関する補助制度はなく、財政的な負担は設置者が負わねばなりません。こども園のスタート以前から、預かり保育を実施する幼稚園や、幼稚園・保育所連携園など、幼保一元化に取り組んでいた施設は決して少なくありません。負担を増やしてまで認定こども園に移行するメリットが感じられずに改編を見送っている園も多く、数が伸びない一因となっているようです。
 財政的な負担を減らすため、乳幼児施策を担う「子ども庁」の創設、文科省・厚労省の補助金を統合した「こども交付金」など、さまざまなアイデアが出ています。先に「こども園」という施設はつくったものの、肝心の中身はこれから、といったところでしょうか。

 認定こども園を利用している保護者の約8割が、こども園を評価している、とのアンケート結果(PDF)がある一方で、「理念は認めるが、乳幼児からの長時間保育を助長しかねない」といった声もあがっているようです。ライフスタイルが多様化している今、確かに保護者にとって子どもを預けられる選択肢を増やすことは必要だと考えられます。しかし、保護者にとって便利で助かる、という大人の視点だけを優先するわけにもいきません。課題は多いですが、子どものことを第一に考えた、バランスのとれた制度になることを期待したいところです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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