きょういくじん会議
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耳垢遺伝子研究、SOMEONE発刊―理科離れ解消の取り組み様々
kyoikujin
2007/9/22 掲載

 子どもたちの理系離れが話題になることが多い一方で、数学オリンピックのように、子どもたちを理系の世界に引き込む努力は官民問わずに行われています。そのような取り組みから生まれた成果の一つが、先日の日本人類遺伝学会で行われた高校生による研究発表です。

 読売新聞の報道によれば、今回の研究は耳垢の遺伝子を探るもので、全国の耳垢の遺伝子を分析し、西日本側に乾いた耳垢をつくる遺伝子(弥生時代の渡来人に由来するらしい)が多い傾向にあることを発見しました。
 この研究を可能にした771人分の遺伝子サンプルは、全国101校のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)のうち、42校が協力体制を取って集めたものです。この体制のおかげで、多くの県からサンプルが集まり「耳垢遺伝子地図」が作成できるようになリました。
 SSHは、文科省が認定する理数系教育に力を入れる学校であり、高大連携や研究発表などの取り組みを通し、国際的な科学技術系人材の育成を目的としています。昨年の研究内容を見ると高度な研究をしていることが伝わってきます。SSHの取り組みによって、高校生が科学や数学に関心を持ち、他の高校や大学との連携が見られるようになった結果、今回の学会発表のような大きな成果につながったともいえます。未来の日本を支える科学者や技術者が、SSHから生まれることに期待したいです。

理系離れを防ぐ、理系院生の無料雑誌が人気

 文科省を中心とした理系離れを防ぐプログラムがある一方で、民間でも理系離れを食い止めようとする動きがあります。
 「someone」は理系の大学院生や学生が、高校生に科学の魅力を伝えるために創刊したフリーマガジンです。企画からデザインまでの編集作業全てを、院生と学生がこなします。
 「someone」は「衣食住のサイエンス」や「チョコレートにかくされたサイエンス」など、身近にあるテーマから、高校生の科学的興味を引き出す企画が多くなっています。コンセプトである「いつもあなたのそばにサイエンス」の言葉どおり、手に取りたくなるポップな表紙も特徴の一つです。
 現在の発行部数は7万部で、学校で生徒に配布する場合のみ無料となります。また、10月1日からは全国書店やAmazonでも取り扱いを始め、一部300円で購入できるようになります。
 創刊以来多くの反響があるようで、この雑誌を見て理系を志す高校生が増える可能性も大いにありそうです。未来の後輩たちに科学の魅力を伝えようとする、先輩たちの取り組みに注目したいです。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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