著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
見方や意識を少し変えるだけで、授業は大きく変わる!
株式会社フォー・ネクスト 代表コンサルタント大西 貞憲
2015/4/3 掲載
 今回は大西貞憲先生に、新刊『授業アドバイザーが教える「授業改善」30の秘訣』について伺いました。

大西 貞憲おおにし さだのり

 1955年生まれ。東京大学理学部数学科卒業。(株)フォー・ネクスト 代表コンサルタント。
 愛知県で公立中学・高校教諭を経て、民間企業で学校向けソフト開発に携わる。2000年に教育コンサルタントとして独立。現場に出掛けての学校経営や年間延べ200人以上に行う授業のアドバイスには「明日からの元気が出る」との定評があり、愛知県を中心に全国の小中高等学校や自治体から応援を求められている。また、NPO法人「元気な学校を支援し創る会」理事として「教師力アップセミナー」を通して実践に役立つ情報の共有化・見える化に注力している。
 主な著作に、「大西流・授業の見方 ―授業を見る目を高めるノウハウ25」「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(3)【授業編】」(以上、プラネクサス)などがある。

―全国各地で、数多くの授業をご覧になっている大西先生ですが、授業を見るときに特に注目して見る点はどこでしょうか?

 子どもたちの様子、特に視線です。子どもの視線は子どもたちの授業へのかかわり方を映し出します。教師を見ているようでも形だけで、実はただ前を見ているだけということもあります。これは、教師が移動した時に視線が動かないことでわかります。これでは、教師がどんなによい話をしていても意味がありません。
 また、友だちの発言に対して発表者の方を向いているかも気になります。友だちの発言を聞こうとしないのであれば、教室でみんなと一緒に学ぶ意味はありませんね。

―実際、現場でいろいろな先生の授業を見るなかで、気になっている部分はありますか?

 子どもに自分の求める答えを言わせようとすることが気になります。求める答えと違っていると、「他には?」と否定しないまでも、すぐに他の意見を求める。逆に、求めている答えに近いと、「そうだね、○○さんが言ってくれたように、……」と続けて、子どもが言っていないことを勝手に足したり、自分に都合のいいように言い換えたりする。これでは、子どもたちは自分の考えを持とうとせずに、教師の求める答えを探そうとしてしまいます。

―今回の本では、実際にある授業のケースを挙げながら、「どこに問題があるのか?」、そして「それを、どうやって改善していったらいいのか」が具体的に紹介されています。現場の先生には、どのような形で読んでいただきたいと思っていますか?

 この本で取り上げている授業のケースと似たようなことが、自分の授業でも起こっていないか想像してもらいたいです。その上で、どこに問題があるか、どうすればよいのか考えてみてください。まずは自分の授業を振り返るきっかけとしていただければよいと思います。授業を振り返るなかで、自分で改善策を見つけられることもあるかもしれません。
 この本ではいくつかの改善策が書かれていますが、それらを全部やろうとする必要は全くありません。1つでもいいので、「なるほど」と納得したことを試してみてください。

―日々の忙しさのなかで、「授業を変えたいんだけど、なかなか難しい……」というジレンマを抱えている先生も多いと思います。「まずは、ここから取り掛かってみるといいのでは」といったアドバイスはありますか?

 まずは、授業中いつも笑顔でいることから始めてください。例え間違った答えやピント外れなことを言っても、教師が笑顔で受け止めることが、子どもたちが安心して参加できる授業の基本です。
 また、子どもたちのどのような姿が見たいかを具体的にし、それを意識して授業をすることも授業改善への近道です。意識をすることで子どもたちの姿が気になり、しっかりと見ようとします。求める姿とずれていれば、自然に授業を工夫するようになり、改善されていくはずです。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 授業改善は肩肘張ってあれやこれやと試したり、いろいろと悩んだりしなければできないものではありません。先生方一人ひとりは素晴らしいものを持っています。ちょっとしたヒントやアドバイスがそれを活かすことにつながり、結果として大きく改善するのです。この本には、今まで多くの先生方に授業を見せていただき、アドバイスした経験から見つけた改善の秘訣をたくさん載せています。きっと皆さんの授業改善のヒントやきっかけになることが見つかると思います。

(構成:松川)
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