著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教室環境を美化するためのヒント
北海道札幌市立幌東中学校教諭山下 幸
2015/2/5 掲載
 今回は山下 幸先生に、『THE 教師力』シリーズの最新刊として発刊された『THE 清掃指導』について伺いました。

山下 幸やました みゆき

1970年北海道苫前町生まれ。北海道教育大学岩見沢校卒。現在、札幌市立幌東中学校教諭。1995年「研究集団ことのは」に入会。『THE 給食指導』『目指せ!国語の達人 魔法の「音読ネタ」50』『目指せ!国語の達人 魔法の「スピーチネタ」50』『目指せ!国語の達人 魔法の「聞き方ネタ」50』(明治図書)など著書・編書多数。

―たかが清掃指導、されど清掃指導。子ども達の集団としての協調性を養う絶好の機会でもある清掃指導ですが、まず、教師が大切にすべきことは何でしょうか?

 清掃の目的や方法を明確にする指導力はもちろん大切ですが、それ以上に教師自身の感化力が大切だと思います。例えば、教師は何もせず黙って清掃当番を監視する指導の仕方もありますが、私は子どもたちと会話しながら一緒に清掃します。笑いあいながら清掃することで、面倒くさい清掃から楽しい清掃へと子どもたちの清掃に対するイメージが変わればしめたものです。

―清掃指導については、学級開きの時期など、まず初めの指導が大切と言われます。最初の指導で重要なポイントはどのようなものでしょうか?

 私の場合、「役割分担」の大切さを説くために、班ごとに分担表に基づいて、日替わりで自分の役割を決めさせます。そしてその役割に基づいて実際に清掃させますが、大切なのは自分の役割が終わったら必ず「遅れている人を手伝う」ことです。これにより時間の効率化・短縮化が図れます。「早く・楽しく・協力して」が掃除当番の合い言葉です。

―清掃指導でまず挙げられるのが、「さぼる子」への対策です。特に1年生などの低学年では、掃除について「家の誰かがやっているもの」であり、「させられている」という気持ちが強くなってしまうと思います。そのような子ども達に意義を体感させるにはどのような取り組みが必要でしょうか?

 きれいになったときの達成感や爽快感を味わわせたいですね。先日、中学2年生の生徒が雑巾で机を丸く拭いている姿を見かけて、「四角い机は四角く隅々まで拭くんだよ」と言ってお手本を見せました。すると、「初めて知った!」と純粋に感動し、隅々まできれいに拭いていました。「よかったね。これで君もお掃除マスターだよ!」と褒めるととてもうれしそうでした。小学生も中学生も、掃除の意義だけではなく、それに伴う達成感や爽快感をつかみ取ることができれば、サボることなく次につながるように思えます。

―清掃活動については、道具を大切に扱うことも、重要なテーマです。本書でも様々な取り組みが紹介されていますが、意識を高めるために有効な方法があれば教えて下さい。

 「割れ窓理論」ではありませんが、普段からきれいな状態を保つことが大切だと思います。汚れた雑巾はきれいに洗う。壊れかけのほうきは取り替える。私の学校ではゴミ箱も定期的に洗います。きれいな状態が当たり前の環境を整えたいですね。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 これまでにあまり類書がない一冊です。たかが清掃指導、されど清掃指導でありつつも、当番の役割分担や清掃用具の扱い方、清掃中のマナーや美化のコツ、そうじサボりへの対応、日常美化への心配りなど、毎日欠かせない大事な清掃指導のコツを小中の実践家が具体的に語っています。ぜひ一読いただければ幸いです。

(構成:及川)

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