“学級リーダー”で集団が劇的に変わる!新システム&活用アイデア
驚きのリーダー選出システムと活用アイデアを本邦初公開! うまくいっているクラスには、必ず優れた学級リーダーが存在します!
“学級リーダー”新システム&活用アイデア(1)
クラスの未来をあなたに託します!
大分県由布市立西庄内小学校教諭首藤 政秀
2014/6/10 掲載

ポイントは、“クラスのみんな”が変わる!

 新学期が始まって約2か月。この連載を見ているみなさまの学級は、きっとうまく軌道に乗り、来春3月の学期末、笑顔いっぱいで進級・卒業する子どものイメージができていることと思います。
 さて今回、そんなみなさま方にはさらなるスキルアップができ、うまくいかないと嘆いているまわりの同僚、友人先生のためにも新たな提案ができる新情報を、連載することとなりました。その名も題して「“学級リーダー”で集団が劇的に変わる!新システム&活用アイデア」
 学級経営上、集団をコントロールする方法や手段は、いろいろあります。その多くは教師が仕掛け、子どもがそれに反応し、秩序が形成されていきます。
 今回は、そんな集団を劇的に変化させる新たな仕組みをご紹介します。このシステムの素晴らしいところは、一部の子ども、または多くの子どもが変化するのでなく、すべての子どもが変容していくところです。

“リーダー選び”は酋長にならえ!

 ポイントは、リーダー選びの方法にあります。みなさんは、学級のリーダーを選ぶ仕組み、どうしていますか? 立候補、推薦、選挙、じゃんけん? それとも先生が指名? このシステム、正確には「多段階信託変更リーダー選出システム」といいます。子どもたちが、自分たちの集団をよりよく向上させていく自治的なリーダー選びの仕組みになっています。
 この仕組み、ネイティブの部族などでの、酋長の決め方がモデルだとも言われていますが、自分の思いや意志決定を人に託していくというスタイルのリーダー選出方法です。

新システムを導入しよう

【不変のルール】

  • 立候補はなし。全員がリーダー候補です。
  • それぞれ、自分にとって都合の良い、託せるリーダーを1人だけ選びます。
  • リーダー選出のため各自が記入する用紙リーダー選出のため各自が記入する用紙紙には、@自分の名前、A日付、B託す人の名前、Cその理由を書きます(写真参照)。
  • 託す人の名前は以下の3パターンから選びます
  1. 自分以外
  2. 自分
  3. 白票

【集計は名票】

  1. 自分以外の時〜選んだ子の出席番号を書く
  2. 自分の名前を書いている時〜○を書く
  3. 白紙の場合〜△を書く。「正の字」を書きながら集計(下記の集計表)
名前 信託先 集計 順位
1 A 5 2 5
2 B 13 1
3 C 3 4
4 D 5 1
5 E 10 1
6 F 17 1
7 G 17 1
8 H 13 1
9 I 5 1
10 J 1
11 K 1 1
12 L 13 1
13 M 5 4 2
14 N 3 1
15 O 5 1
16 P 4 2
17 Q 3 1
18 R 2 5
19 S 19 1
20 T 17 1

〜集計結果と詳細〜

Eは全部で10票集め、リーダーです。

内訳:

  • BはMを選んだ
  • HはMを選んだ
  • LはMを選んだ
  • 3票獲得したMはEを選んだ
    →Eは4票獲得
  • KはAを選んだ
  • 1票獲得したAはEを選んだ
    →Eは2票獲得
  • DはEを選んだ
  • IはEを選んだ
  • OはEを選んだ
    →各1票でEは3票獲得
  • Eは自分を選んだ
    →Eは1票獲得
    ⇒4+2+3+1票で合計10票

    となります。

※Mは、Eを信託していますが、M自身が集めた票が4票なので、同じく4票を集め得たPと同数で2位となります。

〈ワンポイント解説〉

  • 実際に使用した集計表実際に使用した集計表得票の最も多い子をリーダーとします。
  • 委員長やリーダーは普通、1学期間、または前期(後期)間変えないことが多いですが、この仕組みは、いつでも、何回でも、変更自由です。ここがポイント!
  • リーダーの任期は、最多得票者でなくなるまでとし、毎週、集計結果を公表します。
  • 得票上位者の5人は、順位、票数、名前を公表します。

新システムのここに注目!

@ 「託す」ってどういうこと?
 「託す」とは、すっかり任せることです。その人の最終的な判断や決定に添うことです。自分が託した人が、自分の思いを裏切ったり、信頼できなくなった場合、その週に信託者を変更することができます。すると、その変更が票数の変化を生み、リーダーが交代する可能性を持っています。
 「どうする」という結果で物事を考えるのでなく、この人の考え、判断ならどんな提案をされても信頼・賛同できるといった、「人物」を見て判断することになります。

A 1人でもリーダー!
 「人は約60兆の細胞でできている」といわれています。その60兆の細胞のリーダーは、一人ひとりなのです。体によくない食事をしたり、あるいは食事をとらなかったり、また睡眠が十分でなかったり、いつもくよくよしてマイナス思考だったりすると、その人の体や心は不健康になり、体が不調を起こします。状態が悪くなると、健康だった細胞が癌になったり、機能が低下します。
 反対に、規則正しい食生活、睡眠、心の安定した状況で過ごしていると、すべての細胞が元気に働き、活力ある生活を送ることができます。
 60兆の細胞を生かすも殺すもその人の考え方、行動の仕方にかかっているのです! そういう意味で、人間は1人でもその体を形作っているリーダーなのです。

託された票の流れをみてみよう

 そんな一人ひとりの思いや考えを託し、リーダーを選出していきます。それでは、リーダー選出の流れを、図を使って説明してみましょう。
 先ほどの表を図にしたものが下記になります。

例
  • Eは、AとDとIとMとOに信託された10人の国の国王です。10人の国の未来は、Eに掛かっています。
  • 同様に、Aは、Kに信託された2人の国の国王です。2人の国の未来は、Aに掛かっています。
  • 実は、Kも、60兆の細胞に信託された国王です。60兆の細胞の未来は、Kに掛かっています。

※ループの場合

  • ループ外得票の最多者の信託投票のみ無効(白票)とします(図の「×」部分)。
  • 票数が同じ場合は、本人の信託更新日時の古い方を上位とします。
例

 リーダーに選ばれた子には、クラスのことで独自に判断決定していい権限を、年度当初は少しずつ、その後は様子を見ながら増やしていきます。
 最初は、班や座席について決定する権限を先生がリーダーに託し、リーダーの子どもに任せて決めてみるのがおすすめです。
 実際に集計をためしてみると、きっと疑問に思う点など出てくると思います。それぞれには意味があるのですが……それは次回以降に解説していきましょう。

〜つづく〜

首藤 政秀しゅとう まさひで

1968年2月生まれ。高等学校教諭、中学校講師、他業種を経て、現在大分県由布市立西庄内小学校教諭。本職の傍ら、様々なイベントの企画、プロデュース、演奏活動、講演活動、ワークショップを行っているマルチタレント教師。地方月刊誌上では夏目貫石として7年半、教育現場ルポを執筆。「人生とは良き出会い」を座右の銘に、各界のスペシャリストを招いての授業を展開。陶彩画家・絵本作家の草場一壽氏監督のドキュメンタリー映画「いのちのまつり〜地球が教室」ほかドキュメンタリー映画に4本出演。

(構成:木村)

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